表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カミツキ!  作者: .png
28/51

其の壱拾八

「清浦さん!兄さん知りませんか!?」


昨日のようにドアにぶつからずに怒鳴って聞いてきたヘルさんはそういった。


「いや、知らないよ。」


「そうですか。」


昨日のように隠したりはしていない。


「ねえ、景。遅刻するよ。」


「そうだ。やばい!」


今日は二学期最後の日だ。要するに終業式。

遅刻するわけには行かないので彼女を追い出し、学校へと向かった。




  カミツキ! 其の壱拾八 「二学期終業式」




うちの学校は三学期制だ。最近では二学期制の学校――隣の市にある相沢高等学園などだ――も増えてきているがこの学校は三学期制だ。

だから十二月で二学期が終わり、冬休みに突入することになる。


「ええ〜、だから健全な高校生として、えー・・・」


しかし、冬休みの前、終業式にて最大の敵。校長の話がある。

近くに座っている生徒をざっと見渡すと、3割睡眠、4割睡眠一歩手前、2割雑談、そして1割が話を聞いている。

俺はその中の2割、雑談チームだ。でも雑談仲間が揃って撃沈してしまったので一人寂しく校長の話の中に入っている「え〜」とか「あ〜」とかの数を数えていた。その結果なんと100を軽く超え、今は200に向かい突き進んでいる。


「・・・であるからして、え〜、不純異性交遊などの〜、あ〜・・・」


二つ増加。お、201になった。


「ふぁ、あ・・・まだ終わってなかったんだ。」


隣で撃沈していたアマが起きたようだ。

この学校の出席番号は男女混合の50音順なので同じ苗字なら出席番号は自然と並ぶ。


「うん、始まってからもう30分は経ってるな。」


「じゃ、寝るから終わったら起こしてね。」


そう言って彼女は未だに着地点の見えぬ校長の話をBGMに夢の世界へと入り込んでいった。

お、校長の「え〜」「あ〜」が観測史上最高の234を突破した。


「・・・また、え〜冬休み期間中の外出時間は・・・」


先ほど生活指導の教師から聞いたはずの事をなぜか校長はもう一度言う。だから嫌がられるんだよ。

結局これから校長の話は20分ほど、合計50分ほど続いた。ちなみにカウントした結果あの言葉は350ほどだった。






「それじゃ〜、成績表、渡す。」


相変わらずのうちの担任のやる気のない声。

そういった声の主はめんどくさそうに出席番号1番、つまり安倍勇(“あ”べゆう)の成績表をひらひらと頭上に掲げている。そんなんだからクラス全員に中身が見えてしまっている。


「ん、あれは俺のか。どうせ最高なんだ。皆、見ておけよ。」


そう余裕を見せながら教卓へと向かう。しかし・・・


「メタミドホスッ!?」


成績表を見た途端、結構昔に餃子に混入していた毒の名を叫び、地面に伏した。否、倒れこんだ。

しかし、皆それを気にせず淡々と成績表を受け取る。たまに勇は踏まれていたが・・・気にしないでおこう。

まあ、皆渡されるということは俺も貰うわけで・・・


「どうだった〜」


まあ、当然クラスはこの話題で持ちきりになる。

隣に座るアマともそんな話題になったのはごく自然だろう。


「まあまあかな。」


うん、まあまあだろう。殆どの成績は中の上ぐらいだ。ちなみに勇は下の中だ、馬鹿め。

アマは聞かなくても見せてくれてそこにあったのは・・・


「高っ。」


「そうなの?」


このクラスで一番頭のよい凛と同じぐらいの成績だ。

なんか、すごい劣等感に襲われるんだが。親しい知り合いのうち二人が天才って・・・


「ああ、お前は高い。確実に上位レベルだ。」


「そうなんだ〜。」


アマは自分の成績表をまじまじと見る。頭のいい自覚がなかったのだろうか。なかったのだろう、こんなことしてるんだから。


「あ、そういえばお前、結構授業で寝てるだろ。」


「ん、そだねー。でも私にはFCがあるからね。だって会長が“「特に何も無いけど、何か廊下で「テストの点数が低かったよ〜。」とかいってたら、次の日点数が100点上がっていたという逸話があるな。」”って言ってたじゃない。

 それと同じ原理でしょ。」


言われてみればそんなこともあった気がする。


「あ、凛。」


「何?」


「やっぱ凛の成績もFCが関与してるの?」


確か凛には女子会員の多いFCがあった気がする。


「ううん、これは私の実力。私が授業サボっているところ見たことある?」


「そういえば無いな。」


「そういうこと。」


それだけ言うと彼女はまた談笑を始めた。あいつはやっぱり凄いんだな。

ふと教卓を見ると先生はいつの間にか居なくなっていて、黒板に“帰宅してよし”と殴り書きしてあった。連絡は無しか。

・・・勇はまだ地面とハグしていた。


明日から冬休み。きっと勇は宿題をしないのだろう。

短いとか言わないで・・・

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ