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カミツキ!  作者: .png
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其の壱拾四 下

「う〜、蟹〜〜。」


温泉旅館安倍の夕食は豪華なものだった。

数々の料理が並ぶ中、一際目を引くもの、それは・・・一匹丸ごとの大きなタラバガニ。

そして、もうひとつこの大広間の中で目を引くもの・・・つまり、蟹をお預けとなっている峯下先輩がなにか喚いた。


「先輩、しょうがないですよ。」


「うん、峯下さん。これはしょうがない。」


「しょ、しょうがないですよ。うん。」


「ええ、しょうがないわね。」


俺、椎名先輩、アマ、凛が異口同音に先輩に言い放つ。

ちなみに凛の前にはタラバガニが二つある。

何故なら、昨日の夜、女子部屋で行われたらしい第二次ビンゴ大会(仮)で“蟹食べ放題”の権利を手に入れたのが凛だからだ。

峯下先輩はそんな凛を怨めしそうに眺めていた。




  カミツキ! その壱拾四 下ツ巻 「夕食」




「でも先輩、美味しそうな料理が沢山あるじゃないですか。」


先輩や俺たちの前には蟹以外にも海の幸が所狭しと並んでいる。

この旅館が海の近くにあるため新鮮なものが毎日入荷できるそうでかなり美味しいものだ。


「駄目なんだよ後輩クン。

 私の体は今、蟹を求めているのだよ。わかるかい?」


正直言って分からないです、はい。

しかし先輩は俺の返答を期待していないのかそれとも唯単に落ち込んでいるのかまた鬱な空気を体に纏った。

なんかそこだけ近寄り難い空気・・・いや、空間が形成されつつある。


「ねえ、景。どうにかできない?」


「俺には無理。凛は・・・駄目だ。」


蟹を食べている。


「えっと、椎名先輩。どうにかできますか?」


「僕にはちょっと無理かな。」


そう言って苦笑いを浮かべる椎名先輩。

さて、どうしようか。後、この状態の峯下先輩をどうにかできる人はどこかにいるかな・・・。


「まあ、それは後回しにして僕たちは早く食べようか。」


「そうしましょうか。」


椎名先輩の提案に沿ってご飯を食べ始まることにする。・・・峯下先輩の件は一時棚上げ。

うん、美味しい。






「けい〜、あるりりょう・・・」


・・・アマ。どうしてこうなってしまったのだ。


「けい〜・・・・・」


アマの顔はもうすでに赤くなっていて呂律ろれつも怪しい。

そう、彼女は酔っている。やけになってしまった峯下先輩が持ってきた日本酒で。


「椎名先輩、どうします?」


「どうするもこうするも峯下さんは寝ちゃったしなぁ・・・。」


すべての元凶、帰宅部部長、峯下梨香は自分の持ってきた日本酒で酔いつぶれ、寝込んでしまっている。

どうやら夢の中で蟹を食べているらしく、蟹が云々寝言で言っている。


「じゃあいっそのことよい潰しちゃえば?」


蟹を食べながら上品に日本酒を飲んでいた凛がさりげなく酷いことを言う。

こいつも案外酔っているのか。


「それも一理あるな。酒、まだあるか?」


「まだありますよ。」


まあそれが一番簡単そうなのでその策に乗ってアマを沈静化する。

こんなことをしている間、アマは凛にべったりくっついていた。誰でもいいんか。


「ほれアマ、飲め〜。」


「う〜、ありゅがろ〜。」


呂律の怪しい発音でアマは貰った酒をぐいっっと飲み干す。


「おいひぃ〜、もういっぴゃい。」


しかしアマはまだ酔い潰れない、それどころかお代わりを要求してきた。


「はいはい。」


「うりゅ〜、ありがりょ〜。」


彼女は二杯目の酒も難なく飲み干して


「られ〜、みんにゃでょうしちゃの〜?ぐりゅぐりゅしれるろ〜?

 ふりゅ〜・・・」


そう言って彼女は机に突っ伏した。

・・・やっと寝てくれた。


「じゃ、凛。運んどいてくれる?」


「・・・二人もなんて無理に決まっているでしょう。

 あなたも手伝いなさいよ。」


「わかったよ。

 椎名先輩は先に部屋に帰って置いてください。運んでから行きますんで。」


「わかった。でも、たぶん僕は温泉にいると思うよ。」


そういって先輩は席から立って部屋に帰っていった。


「じゃあ景。行くわよ。」


そういった彼女はすでに峯下先輩を背負っている。

俺もアマを背負って彼女に続く。だって女子部屋の場所は知らないからね。








「疲れた・・・」


別にアマが重たかった訳ではない。女子部屋で何かあったわけでもない。唯単に疲れたのだ。


「お疲れさん。」


俺がふと溜息がちに言ったのは温泉だったのでそこには椎名先輩がいた。


「そういえば先輩は飲まなかったんですか?」


「ああ、僕は去年飲まされて酒癖が悪かったらしいかね。僕は覚えてないけど。」


「そうですか。」


やっぱり峯下先輩に飲まされたのかなぁ。


「僕はもうでるね。結構入ったから。」


それじゃ、と先輩は付け加えると温泉から立ち去って言った。

今日は疲れたな・・・。

そう一人思った温泉の中。ふと女風呂のほうを見ると勇がまた塀を登っていた。

勇は俺が忠告したのに片手を上げただけで上り続けて、打ち落とされ・・・海に落ちていった。


「ねぇ、景居る?」


「はい、居ますよ。」


また探しに行くのか。

余計疲れがたまりそうだ。

明日、明後日更新休むかもしれません。別の小説上げたいので。

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