其の壱拾四 中
「後輩クン!今日は“ネズミーランド”へ行くよ!」
朝食のとき(多分・・・)幹事の峯下先輩がそんなことを言った。
・・・まてまて、しおりにはそんなこと一行いや、一句も書かれていなかったぞ。
「出発は朝食終了後三十分後で、旅館前に集合ね!」
そう言うと先輩は亜光速で走り去っていった。
・・・速っ!
カミツキ! その壱拾四 中ツ巻 「ネズミーランドと手品師」
「やあ、皆集まったかな?かな?」
五人+α・・・全員いるね。
「ところで、そこの部外者クン!君は自費ね。」
「ノォォォォォォォォォ!!!!!!」
+αとは皆さん分かってるとは思うが勇だ。
・・・皆さんって誰だ?
「さあ、皆行くよ!!」
そう言って帰宅部(一部)と+αは昨日のバスに乗る。
何か一部、空気が暗黒化している席があるけど気にしないでおこう。
――ネズミーランド。それはこの国の首都の名前を冠しながら首都にないという謎の現象を起こしている某有名ネズミさんの夢の国&夢の海の総面積を遥かに越える巨大テーマパークである。
マスコットキャラクターは勿論、ネズミ。だがそのネズミはサングラスをかけ、タバコを蒸かし、ハーレーに乗っている。
そんなマスコットキャラクターのいるテーマパークだが、年中、家族連れや恋人で賑わっている。
「ということで、ネズミーランド到着!」
そんなテーマパークが「温泉旅館安倍」の近くにはあった。
「さて、皆どこに行きたい?」
「メイドカフェ!」
勇が大声で叫んで、
「黙りなさい。」
凛に冥土に送られた。※死んではいません。
「ほかに誰かいるかな?」
『・・・・・』
沈黙。
だってこの部活は基本無気力な人が入ったりするからね。
あと、バイトとかが忙しかったりする人。
「まず、入場しませんか?」
「それもそうだね。」
俺の提案に沿ってさっさと入場をする。勿論、勇は自費。
「さて、今からどこに行くかな?」
入場も終わり、まず最初にどこに行くかを決める。
『・・・・・』
決まらない・・・・・。まあ元々予定にはなかったし。
「よし決めた!あれに乗ろう!」
そう言って先輩が指差したのは巨大なジェットコースター。
「さあ行こう!!」
そう言って先輩はどんどん行ってしまうので俺たちもしょうがなく着いていく。
「ねえ、景。ジェットコースターってなに?」
「ん、ジェットコースターか・・・
ちょうど今、見えるか。あんなんだ。」
見るとちょうど落下が始まっていた。
落差が結構あるらしくここから結構遠いのだが悲鳴がしっかりと聞こえてくる。
「楽しそう!」
何故楽しそうに見えるんだ。
ちなみに俺はそんなに好きではない。
そんなテーマパーク初めてのアマと話しながらジェットコースターまで来ると“たぶん30分ぐらい待ちです、たぶん・・・。”と、やや不安なことが書かれた看板を持っている係員の人がいた。
そして30分後・・・
『え〜次の、え〜お客様は、え〜ご入場ください〜。』
係員のアナウンスが流れ、定員できられた勇を残してジェットコースターへと乗る。
動き出し始めたジェットコースターを見ながら勇はなにやら喚いているが気にしないでおこう。
降りると俺と凛と椎名先輩はまだ良かったけど峯下先輩とアマは見事に潰れていた。
凛は結構気が利くので何か飲み物を買ってきてくれるそうだ。
「椎名先輩、どうします?」
「僕としてはどこかのベンチにでも寝かしたほうがいいと思うよ。」
「そうしましょうか。」
二人を適当なベンチに寝かして凛を待つ。
まだ時間が早いためかベンチが沢山残っていて良かった。
「お〜い、大丈夫か?」
「う〜ん、無理。」
「無理だね。無理無理。」
しかし、峯下先輩は口だけは達者に動く。
何なんだろう、この人は、気持ち悪いんじゃなかったのだろうか。
「景、買ってきたわよ。」
「お、サンキュ。」
凛が買ってきたのは普通の緑茶と“加糖ミルクセーキEX+”だ。
緑茶はアマに、加糖ミルクセーキEX+は峯下先輩のお気に入りなので買ってきてもらった。これは前飲んでみたら甘くて飲めるものじゃなかった。
「ほら、アマ。
それと先輩。」
「ん、ありがとね〜。」
これはアマの反応。至極普通だ。
しかし、先輩は違った。
「おお、後輩クン!それは人類の秘宝、?涼香飲料の加糖ミルクセーキEX+(\150-)じゃないか!」
一気に元気になった。
「それじゃあありがたくいただくね!」
そう言うと先輩は加糖ミルクセーキEX+を一気に飲み干した。なんかついさっきまでぐったりしている人じゃないみたいだ。
そんなことよりあんな飲み物を飲めること自体すごいと思う。唯でさえ甘いミルクセーキを加糖してるんだよ。俺以外の人も皆駄目だったし、ラベルには“罰ゲーム用”って書いてあるし普通に飲むものではないと思うんだけどなぁ。
「よし、皆!次のアトラクション行こう!」
反省しなさい。
「次はあれだ!」
そういって指差したのはさらに大きなジェットコースター。
皆唖然としているのを無視し先輩は走っていってしまった、反省しなさい。
結局あれから最初のアトラクションの件を数回繰り返してもうお昼過ぎになっていた。
すると
「そろそろ時間だね、よし、あれを見に行こう!!」
そういって先輩の指差した先にあったものは“手品ショー”だった。
「そうと決めたら行動あるのみ!思い立ったが吉日だよ!」
やっぱり先輩は走っていってしまった。
『レディースアンドジェントルメーン。
Mr.浅生のマジックショウヘ用こそお越しくださいました。』
壇上に上がっているシルクハットのおじさんがそんなことを言っている。
『まずはこの帽子、何もはいっていませんね?
しかし、この布を掛けて1、2、3で、それ!』
そこから出てきたのは・・・
『友あ――『おおっと失礼。』
変なおじさん。なんかテレビで見たことがあるような気がする。
『こんどこそ、それっ!』
今度はハトが出てきた。
これには会場の全員が拍手喝采。
『では次は―――』
あれから一時間ぐらいショーを見たらもう帰る時間になっていた。
で、やっぱり何故か大きいあのバスで旅館へと帰っていった。
あ・・・勇忘れた。
その頃・・・
「あーーーーー、置いてかれたぁーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!」




