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カミツキ!  作者: .png
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其の壱拾壱

―――え〜、ピーンポーンパーンプフォ・・・


相変わらず意味不明な放送前のこのチャイム(?)が鳴り放送が始まることが今分かった。

今回は最初におっちゃんの声が入ったし終わりがおかしかった気がする・・・気にしないでおこう。


『え〜、二年三組の清浦景君と清浦天音さん。授業後、生徒会室へ来てください。

 二年三組の清浦景君と清浦天音さん。授業後、生徒会室へ来てください。』


授業後か・・・じゃあリトルニュークじゃないな、アマもいることだし。

それにしても最近生徒会室に行くことが多い気がする。




  カミツキ! その壱拾壱 「FCと景子」




「ごめんな、急に呼び出して。」


そう渡瀬会長は切り出した。


「で、今日はどんなお話で?」


「それより君たちはこの学校の“ファンクラブ”について知っているかな?」


「ファンクラブ・・・ああ、知っていますよ。」


「ええっ、知りませんそんなの。」


ファンクラブというのはそのまま、ファンクラブだな。

まあ普通のものではなく人気のある生徒のファンが集まって作っているファンクラブだ。

たとえば凛。あいつは結構人気が男子、女子ともにあって、結構大きなファンクラブがあるらしい。


「まあ天音さんは知らなくてもおかしくないか。

 簡単に言えば生徒の生徒による生徒のためのファンクラブ、勿論、対称も生徒だ。」


「なるほど・・・で、それがどうしたんですか?」


アマが何故かそんなので理解してしまった。


「ファンクラブを作るにはまずその生徒の承諾がいる。

 だから今この学校にあるファンクラブはすべて公認のファンクラブだ。」


「なるほど。それで会長は何故俺たちをここに呼んだんですか?

 俺にもしファンクラブができるならもうとっくにできているでしょう?」


できるとも思わないが。


「ああ、今回のファンクラブは、天音さん。あなたのファンクラブ。

 それと、清浦“景子”ファンクラブだ。」


え・・・マジ?


「え、清浦景子はもういませんよ。

 居ないというかもうあんな格好はしませんって。」


あんな格好は恥辱の他無い。

何故男子がフリフリのエプロンドレスを着てメイドの真似事をせにゃあかんのだ。


「しなくてもいい。ここに写真が・・・あっ。」


手に持った例の写真を光の速さで奪い取り、生徒会室の片隅にあるシュレッダーにかけ、切り刻んだ。


「この写真、誰から受け取りましたか?」


「梓さんの妹さん。

 たしか・・・湊って言ってたかな?」


湊のやつ・・・まだばら撒いてたか。


「まあ、それはいいか。

 天音さんのファンクラブの設立の嘆願書がこんなにあるんだが。」


「え、私のですか?」


アマの視線の先、つまり渡瀬会長が指差した先にあったのは、段ボール箱三箱。


「あと、一番凄いのはこれかな。」


そして会長が新しく出したのは、ゆうに百枚はあるであろう400字詰の原稿用紙。


「これが全部私のファンクラブのですか?」


「そうだよ。」


彼女は段ボール箱をあけてどんなものかと確認している。すげぇ、みんな原稿用紙だ。よく書くな。


「で、天音さんはファンクラブは承諾してくれるかい?」


「う〜ん、ファンクラブができるとどうなるんですか?」


尤もなことをアマが聞く。ストーカーなんてされたらもう最悪だし、それがボディーガードやら何だとか言われたら気持ち悪いことこの上ないからな。


「特に何も無いけど、何か廊下で「テストの点数が低かったよ〜。」とかいってたら、次の日点数が100点上がっていたという逸話があるな。」


「え、そんなことがあるんですか?

 ぜひ作りましょう。承諾です!!」


アマ、承諾。否、快諾。

それにしてもファンの力でそんなに点数が上がるものか、と思うが、やりかねないかもしれない。


「はい、何か問題があったら美紀のほうに言って貰えればいいからな。

 大概どうにかなる。」


「わかりました、ありがとうございます。」


「よし。では、清浦景子ファンクラブはどうするかい?」


改めて会長は俺のほうを向く。男に見つめられても嬉しくなんか無い。


「無理です、彼女は死にました。

 今頃、記憶の海の底に溺死体となって沈んでいます。」


一息で言いたいことをすべて言ってやった。


「え、でも――「無理です、彼女はもうこの世界には存在していません。いや、させません。」


「でも――「無理です。」わかりました。」


やっと会長が折れてくれた・・・


「では故・清浦景子ファンクラブでいいですか?」


・・・訳ではなかった。


「駄目です。あの存在はこの世に出現すべきではありませんでした。負の遺産です、否、“負”そのものです。

 第一、俺は清浦景です。俺にそんな権限はありません。」


「はぁ・・・じゃあ、不承諾にしておくな。」


・・・やっと折れてくれた。


「それじゃあ、俺たちは帰りますね。」


「おう、じゃあな。」


「さよなら〜。」


生徒会室のすわり心地の良い革(どうせ人工)のソファーから立って、生徒会室を後にする。


学校から出てクリスマスムードな町並みのせいでなにやら、ぶつぶつ言っているアマを尻目に湊からどうやって写真を奪うか俺は考えていた。

昨日更新できずにすいませんでした。

それとHPのほうに登場人物紹介載せました。

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