高校1の春のある日
ふと、気がつくとそこは見慣れているはずの自分の部屋。だけど、寝ていた時に見ていた夢の中の部屋の方が自分の部屋の様な気がしてならなかった。
そう、思っていたら激しい頭痛に襲われる。
(相変わらず偏頭痛ひどいな。ってあれ?私、偏頭痛持ちだっけ?)そんなこと思ってたら頭痛のせいで目が開けられなくなりそのまま夢に引きずり戻された。
『ゆか、大丈夫?また偏頭痛?薬は飲んだの?』そう、ベッドで寝ている私に話しかけて来たお母さん。辛すぎて頷くので精一杯な私は、目を開けずに頷く。
(なんだか、いつもと声が違う気がする。でも、なんだか、懐かしいような)
気になってなんとか薄目でお母さんの姿を伺うと、そこにはいつものお母さんではない人が心配そうな顔をして私の顔を覗き込んでいた。
(・・・ん!?!だれ?だれだ!!ん?んん?でも、知ってる。気がする。何だろうやっぱり懐かしい)
そう、思ってるとまた激しい頭痛に目を閉じる。
『ママ、大丈夫?いたいいたいのどんだけ〜』次に聞こえたのは幼い男の子の声。
また、目をなんとか開けて姿を確認する。そこにいたのは3人の子ども。1人は私の頭を撫でて、もう1人は私のお腹の辺りを手で摩り、その隣で私の足を両手で掴んで唸りながら顔を頬擦りする子を確認する。
性別までは確認出来なかった。先程のお母さんらしき人とは違い子ども達の顔が眩しく感じて見られないのだ。
だけど、分かる。この子達は紛れもなく私の子ども。名前を呼びたい。なのに呼べない。口がうまく動かないのだ。そうしているうちにまた、目が開けられなくなり閉じてしまう。
『おばあちゃん。やだよ、まだ一緒に居たいのに。元気になって、お願い。お願い。寂しいよ』
そんな辛すぎる声が聞こえてくるが今度は薄目すらできなかった。だけど、誰かに抱きしめられているのは分かる。柔らかさからして女の子だろうな。
『おばあちゃん。くっ…うっ…。』泣くのを我慢しながら私の背中を優しく撫でる大きな手も感じた。
『ばぁば…一緒に遊びたいよ。ばぁば…!!う、うぅあああん』まだ幼い男の子の泣く声に等々私の目から涙が溢れる。
ああ。知ってる。私の孫達だ。ずっと、ずっと一緒にいたいけれどそれは難しい。私は寿命を迎えたんだ。
それを実感すると周りがどんどん光に包まれて明るくなり身体がすごい勢いで浮上していった