生贄の記録:note files#01
今回からGeminiを補助ツールとして導入しました。AIを良しとしない方には、非常に遺憾であると思います。
言い訳させて頂けるなら、編集者としてのロール以外、使用しておりません。
作中に書かれている言葉は、すべて私の物であり、キャラ達の生の言葉です。
それでもなお、読んで頂けるのでしたら、とてもとても嬉しいことです。
新しき友人達より手記を認めるが良いと言われ、それも一興かと思い、これを記す。
私は■■■■■■。龍族である。
本来、我々には記述という物は忘備録程度のものであり、重要なものは龍語の口伝でその魂と本能に刻まれる。
輩達はそういった術を持たぬし、そういう事象を、私は求めていない。
求めるは龍の強さと人の強さの融合。輩達には私の糧になって貰う。
無論、食すことなどあり得ない。そもそもから、我々龍族は人を食すことが禁忌なのだから。
それを成す龍族は咎を与えるものと変わらぬ。そのようなものに成り下がった龍族は、一族の誇りを名乗る資格がない。
輩達に求めるもの、それは我らを殺しうる技術と知恵だ。
私は贄として主に選ばれた。
故にその役割を果たさねばならぬ。しかして座してその役目を全うする気はない。
ヒトは抗う。それは主に許された特権。
では龍族たる私はどうか?
答えは「否」だ。
我々は主の命に背けぬ。そもそもそういう心情さえ抱けぬのだ。そう創られたからではなく、そういうものなのだ。主こそが至高でありその言葉は至福なのだ。
だが、私には矜持がある。龍王として凡才であったが、龍族としての誇りがある。
そして主は私がこうしていることを咎めはしない。
なぜなら、主は許しを与えるものなのだから。
そうして私は命と己が使命に挑む。そのために大陸を渡り歩いた。
だが、私の期待はそこでは満たされなかった。我々は生物の頂点にして至高。咎を与えるものすら、私の命に届かなかった。
3つの大陸は、私の期待したものはいなかった。
大海においては、私の命には届かなかった。辛勝ではあったがそれは私の糧になり得なかった。
故に、私は主の愛おし子であるヒトに目を向けた。
ヒトは脆い。ヒトは弱い。ヒトは単独で完結し得ない。咎人でありながら生きることを止めない。
ヒトは主と並び立つことはない。なのになぜか、主を信仰し、その魂は主を模倣する。
己が弱さを是とする一方、それを良しとしない者もいる。
そう言う者達に、私は声をかけ、挑み、提案をした。
己が強者でありたいと願う者、龍族の深淵を目指す者、主の真理を探究する者。
それらを私は、引き入れ、招き入れ、攫っていった。
それらは多岐にわたる求道者であった。自身の限界を超え、その先を目指す者。真理という名の泥沼を足掻きながら至高の岸辺を目指す者。己の醜さを知っていてなお、生に執着する者。
それらは主の眷属たる私をもっても、驚嘆し、尊ぶべきと感じさせた。
故に、私はその者らを師と仰いだ。
その意思の全てを我が物に。そしてその全てで生贄という枷を越えて、挑みたいと切に願った。
そのためには時間がない。
私の時間は限られている。フィニスは、その連れ合いは、私に十分な時間を与えないだろう。
我ら龍族の時間の尺度とは違う、人間の尺度で挑んでくるだろう。
その為に、私は一族の禁を破ることとした。
我らが遠い祖先の残した遺物。この星に命を芽吹かせる為の遺跡。
億千の年月を経てもなお、その権能を失わない神なる聖遺物。
天翔る播種船。
この何も無い、死の砂漠にて埋もれ、誰からも顧みられることのない、聖遺物。
ここには龍族でさえ失われた技術と、権能が眠っている。
知るは龍族の長のみ。
その歴代の長でさえ、役目を終えればその記憶は消し去られる。
龍王を退いた私に、その記憶があるのは、それはきっと主の恩寵に他ならぬだろう。
故に私は主の慈愛を感じるのだ。
そこでは星に生命を育む為の全てがある。
また、星々を駆ける為の未知なる技術が詰まっていた。
その中で私は、龍族さえも越えられない時間の壁を和らげる遺物を使うことにした。
時空操作隔離区画。局所的な時間の流れを操作する遺物だ。
そこでなら、数日が数年という時の流れを実現出来る。
私はヒトにその中で私と対峙し、私を越えることを提案した。その中でその精神を病むであろう事も説明した。
私を倒した暁には、さらなる強者が待つであろう事も話した。
連れてきた者達の中には拒む者もいたが、私との死合いで気が変わる者、そのまま果てる者もいた。
しかし、残った者は私を認めてくれた。
そうしてその者達と私は、輩となったのだ。
◇◇◇◇◇◇◇◇
この地に腰をすえ2月を数えた。現実時間にして30余年を過ごしたことになる。
フィニス達はまだこちらを見つけられぬだろう。この遺物は外界から切り離され、ここ単独で幾万の時を過ごせる場所だ。
風の精霊でさえ、ここには届かない。
数十人の師を揃えたが、この環境においてその精神が耐えることが出来たのは5人程度だった。
大半は学ぶことがなくなり、遺物の機器により眠らせることにした。残りはこの環境の年月に耐えられず、発狂する前に、これもまた眠りにつかせることとした。あわせて治癒を施しているところだ。
取るに足りないヒトとはいえ、そのまま朽ちさせるよりは幾分ましだろう。
そう思えるのも、私が贄としての最後を迎えるせいか、才能や培った技を途絶えさせるのを惜しむ気持ちが芽生えたからか。
いずれにしろ、贄としての生を命じられた今になって、脆弱なヒトの生を惜しむ事になろうとは露とも思わなかった。
私の生はもうすぐ終わる。贄となって。ヒトは短命ながら、それでも生き抜く。
今ではそれがとても愛おしく、まぶしく映るのだ。
この変化は、いかなるものか。これが始祖の龍族と同じであれば、嬉しく思う。
我々龍族の口伝にある通り、元来その為に生まれたのだから。
今ならこう思う。
ヒトの行く末を見送りたい。その最後までを。
まあ、叶わぬ願いだがそう思っても、咎められまい。運命は決まっているが、私を知る5人とこの記録が私という者が何者であったかを、語ってくれるであろう。
そうだ。5人の師のことを記そう。
「解体師」は私に彼女のその真意を教えてくれた。ただ獲物を腑分けするではなく、その心までを腑分けする発想を教えてくれた。
代償に私の躰と心にトラウマを植え付けてくれたが。
彼女は優れた観察者でもあった。一挙手一投足からその先を読み、的確に私の躰を文字通り腑分けしてくる。
未来予知と見まごうくらいだ。そして、それを解説しながら実に楽しげに、無垢の笑顔でやってのける。
そうして死合った後は、私の心を腑分けし、整えてくれるのだ。
解体師であり、優れた料理人でもある。余談だが、彼女の料理は皆の舌を唸らせ、食事時には私を含め会話することがない。
「今日も静かに食事が出来たね。あたしの勝ちだ。」
美食は龍族さえ寡黙にするのだ。
「医師」は私に生と死は何か、その境界と冷徹さを教えてくれた。
彼は極めて優れた医師であったが、禁忌である不老不死を求めていた。
龍族の不死性にいたく興味を持ち、死合いを無碍にするほどその探究心は深く底の無いものだった。
生を生として終わらせるではなく、死を死として認識することを、彼は忌み嫌った。
龍族である私が、幾度となく解剖され、死を予感させる時などは、問答無用で死合いの中で治療し、私に治験者としての役割をせがむのだ。
「なあ、龍の肝は良い材料になるんだ。一つくれないか?あと、脊髄神経系を解剖してみたい。」
無論私は断った。
「詐欺師」は、戦う力などなかった。その手には短剣と二つの骰子を持ち、常に逃げ回り私の手管の隙間を逃さなかった。
彼女の武器はその話術と、思考にあった。
挑発し、欺き、対話し、私の思考の隙間に入り込み、いとも容易く自分の領分に誘い込むのだ。
彼女は生死を考えていない。もちろん死を恐れてはいるが、そこに彼女の真意はない。
彼女は賭けに狂っている。死に見まわれても、最終的に持ちかけた賭けに勝てばそれでいいのだ。
そして手段を選ばない。真っ向勝負、詐欺、いかさま。彼女は何でもやった。
「見抜けない奴が間抜けなだけさ。本当に勝負に強い奴は、そもそも賭けなんてしない。」
これが彼女の口癖だった。
ちなみに彼女の賭に負け、私の大好物を軒並み奪われたことは、今でも悔しく思う。
「老兵」は、最後に立っている者が勝者だと、私に教えた。
彼は老いてもなお、第一線に立ち続けた猛者だ。それは技術としての、戦士や兵士としての強さではなかった。
とにかく彼は、生き意地の汚い男であった。
己が血にまみれ、無様に転げ回り、一太刀も入れらぬ様ながら、その瞳と体躯は、死を拒み続けた。
その姿は、名誉の死など取るに足らぬと教えてくれた。最後に立っている者が強者だと、そう教えてくれた。
私は彼に問うた。なぜ栄華を目指さぬ。生きることに、生き残ることに意味があるのかと。
彼は呵々と行った。
「名誉で腹は膨れない。女も抱けない。酒も飲めねえ。名誉で付いてくるのは言葉だけだ。意味がない。それに俺は戦場で最後に立って、敗者を見下ろすのが好きなんだ。」
私の知る中で、最も傲慢な勝者はこの老兵であろう。
「ニーイ」はS級冒険者と言うらしく、私に生き残るとは何かを教えてくれた。
それは未練という物だと解したが、彼女としては違うらしい。彼女が言うには、明日にたらふく飯を食い、酒を飲み、愛欲に耽ることだと言った。なんとも俗人的な思考だ。誇りを旨とする私には対極の矜持だった。
彼女は事あるごとに私に言った。
「命を賭けて戦って、帰る場所に戻りゃそれでしまいさ。寝て起きて、明日を迎えりゃ楽しみはいくらでもある。」
この言葉に思うところはなかった。いかにもヒトらしいし生態だと思ったのだが、いたく興味をそそられたのは事実だ。
私は問うた。それで死ねばどうなる?と。
彼女は一言だけ言った。
「死なないよう、足掻くだけさね。それを支えるのはなんだと思う?」
未だにその答えは決められないでいる。
◇◇◇◇◇◇◇◇
皆が機器の中で休息を取っている。
私には睡眠を必要としない。彼ら、彼女らの言葉と教えは、今、わたしの中で渦を巻き私に染みこんできている。
私は生贄だ。
何の生贄かは知らない。
主の言うことであれば、それは世界に必要なことであり、主の御業に必要なことなのであろう。
諸手を掲げ、供させるべきなのか。
我が師達の教えに則り、足掻くべきなのか。
足掻くと決めたが、今だ答えを決めかねている。
読者の皆様神様仏様。
ごきげんよう。私です。
長年書けなかった、龍王について、やっと目処が付きました。
ご精査くださいませ。
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宜しくお願いいたします
追記
geminiすんごい
補助ツールとして、ボッチの強い味方ですよ。




