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上々ね!

「気づきませんか?あなたの太刀筋の遅れが何であるか。」


 アローズィの言葉の意味を反芻する。

以前から思い当たる事が、一つだけあった。

それを克服する術が、まだ、見つけられていない。


「僕の剣は、初動が遅い。返しが重い。アローズィの動きからほんの少しズレるんだ。アローズィはそれが何かわかるの?」


「ヴィロフォルティ。答えを知りたいですか?」


彼は悩む。

答えを知るのは良い。だが、過程が問題だ。自分で気づけないのに教えて貰ったからと言って、それが身になるのか?


ヴィロフォルティの葛藤を知ってか知らずか、アローズィは再び自分の剣を差し出す。


「もう一度振ってみなさい。あなたの出来る最速で。」


再度、剣を握る。今度はそうと判っているからか、取り落としそうになる事は無いが、まるで大剣を初めて振った時のように重い。


彼は出来るだけ早く、正確に剣を振るった。


すると、今まで感じていた違和感や、もどかしさが一切無い。

重いながらも剣はするすると動き、体は彼のイメージ通りに進む。

何故にこうも違うのか。

彼は剣をアローズィに返すと、今度は自分の大剣で、同じ動きをしてみる。

やはり半調子ほど、自分のイメージとテンポがズレる。


「何か掴めましたか?」


「得物の差?・・・何か違う・・・。何だろう、それだけじゃ無いような・・・・・・。」


アローズィは何やら期待を込めた顔で、ヴィロフォルティに言う。


「今度は私の型を真似て、自分の思う通りに剣を振るってみなさい。特別に許します。」


彼はまず、大剣を正眼に構え、教えられた動きをなぞる。

違和感を確認しながら、大剣と語る。


二度三度と同じ動きを繰り返しながら、大剣の思うように動かしてみれば、違和感は払拭され、彼自身も実にスムーズに体を動かせる。

時折アローズィが指示を飛ばしながら、一通り教えられた型を行い、最後に正眼に大剣を構える。


「どうでしたか?」


少し意地悪そうな顔をして、アローズィは言った。


「・・・・・・僕の剣と動きと、型が合ってないんじゃ・・・。」


「正解です。」


うれしそうな、意地悪そうな顔をしてアローズィは軽く拍手を送る。


「あなたにはまず、私の体の動きを叩き込みたかったのです。ですので、どうしても動きに違和感が出てしまっていた。私に一歩及ばなかったのはそれが原因です。」


彼女は剣を取り、アローズィに向き合って言った。


「では次の段階に進みましょう。私の教えた動きを自分に合ったやり方でやってみなさい。私も本気であなたを殺しにかかります。」


そう言うなりアローズィは抜刀し、横薙ぎにヴィロフォルティに斬りかかる。

彼は一歩前に出て、その初手を大剣で押さえそのまま下から斬り上げる。

彼女は半身をずらし、抉るように剣を動かしながら、彼の首元に剣を突き立てる。

自分が傷つく事を厭わず、彼は肩で剣をいなしながら身を沈め、足払いと目潰し。

一歩下がり、その反動を前進する力に変えて、突きの応酬。

彼はその応酬を大剣の腹で受け止め、小ぶりに構えてアローズィに突きを見舞う。

 

 そんなやりとりを四半時も続け、二人はお互い正眼に剣を構えて、動きを止めた。


「良いでしょう。私の型を一通り試しましたが、上手く自分の動きに昇華させています。」


玉の汗をかいているアローズィはそう言うと、剣を納めた。


「次はその動きで、龍人戦を行いましょう。今までとはひと味違いますよ?」


そう言うと、アローズィは一つの幻影を生み出す。


「私が覚えている、アビウスカエデス様の龍人の姿です。どこまで食らいつけるか、試してみなさい。」



 日は落ち、館の明かりが庭先を照らす頃、フィニスとアローズィは尚も自分流の型を繰り返すヴィロフォルティを見ながら、報告を受けていた。


「以上が本日の鍛錬の成果に御座います。」


フィニスは彼の動きを見つめながら、言う。


「やっと気付いたかしら?それとも、もう気がつかれたというべきかしら?」


「薄々は感じられていたように御座いますが、愚直に私の教えを守っていたように御座います。とてもうれしい事です。」


「あたしの幻影相手に一瞬で沈まないなんて、よくやったわ、アローズィ。」


「感謝の念にたえません、御館様。ありがとうございます。」


「そろそろ死合わせるわよ?」


「良い頃合いかもしれません。ヴィー様は死地で学ばれるお方ですから、きっと、私の教えも独自の素晴らしい物に変えられる事でしょう。」


「ニーナと村の様子は?」


「ニーナ様は村長と村人に大層可愛がられております。仕事の手伝いも上手くいっているご様子。アーとウームの人化も違和感なく受け入れられております。村の結界は正常に機能して御座いませば、本番でも問題ないかと。」


「念のため、村の結界をもう何層か厚くなさい。」


彼女そう言い、腕を組み、豊かすぎる双丘を持ち上げる。


「この体は肩がこるわね。あたしも龍人化してヴィーに相手して貰おうかしら。」


「御館様、お戯れが過ぎます。せめて剣のみにして頂けますよう。」


「あなたばかりずるいわ!」


「こればかりは、役得としか。」


フィニスはため息を一つ。


「剣と言えば、あの大剣。()()()()()()使()()()()?」


「私めの口からは何とも。一度、村の老ドワーフに来て頂いた方が宜しいのでは?」


おとがいに指を当て、考えたアローズィはそう言う。

フィニスは少し考えてから、アローズィに言った。


「そうね・・・。見せるのが一番かしらね。本命が来るのはどのくらいか、予想は出来て?」


「結界を解けば、一両日中には来るかと。」


「3匹同時に来られても面倒ね・・・。何か無い?」


「シルフにそれぞれ噂でも運ばせましょうか。やり方次第でタイミングをずらす事は出来るのではと。」


「確度はどの位かしら?」


「7割程度かと。メイブの協力が得られれば9割に。」


「メイブねぇ・・・・・・。あたし、あの女苦手なのよねぇ・・・。」


「酒庫から持ち出しのご許可を。」


途端にフィニスは渋い顔をする。

酒は嗜む程度だが、その中にある熟成している数々の酒は惜しい。

が、彼女は即決する。


「許すわ。なんとしても懐柔なさい。」


「必ずご期待に応えて見せます。」


「暫くはヴィーにかまって貰う事にするから、そう急がなくていいわよ。」


「そうでありましたら、段取りを決めて参ります。ごゆるりとヴィー様をご堪能下さい。」




「剣を鍛えろとな?その気は無いわい。」


 翌朝、アローズィは村の老ドワーフの元に来ていた。そうして言われたのが、その一言だった。

村の結界を張り直し、老ドワーフの朝の日課に付き合っていた時に、切り出したのだ。

日に当たり、エールのジョッキを傾ける老ドワーフは、淡々と告げる。


「フィニスに届くように鍛えた剣じゃ。龍人ごときではびくともせんわい。」


その言に、アローズィは問う。


「竜王と、3頭の猛る龍人では?」


ジョッキをあおる手を止めて、暫し考える。


「使い手次第じゃのう。」


「実は私めには二つ名が御座いまして。」


今回はティーセットを用意し、老人に付き合うアローズィは言った。


「知っとるよ」


空になったジョッキにエールをなみなみと入れ、老ドワーフは事もなげに言う。


「ヴィー様には私の剣技を全て叩き込みました。その上で、あのお方は独自の技に昇華されようとしております。」


「・・・それはなにか?ダニスの妹の為に鍛えた剣では、あの小僧に合わんという事か?」


「それを見極めて頂く為にも、一度、立ち会って頂きたいのです。」


老人は手を止め、暫し考える。

そうしてジョッキを飲み干し、エールを注ぎ直すとアローズィに言った。


「儂は剣を打つ事をとうに止めとる。それを変える気は無い。ダニスの阿呆を呼べ。そもそもあんな大剣と似たような物を鍛えるのは、もう無理じゃ。体が持たんわい。奴にもいい機会じゃろ。」


「承知いたしました。出来る限り早く、おいで頂くとしましょう。」


そしてお茶を一口。


「ちなみに、龍殺しのアローズィから見て、あの大剣では御館様の御命に届く事はありません。」


「安い挑発じゃのう。」


「確かに良いところまではいきますが、それも竜王止まりかと愚考して御座います。」


「理由は?」


「私めが何頭の龍人を仕留めてきたか、お知りになりたいですか?」


「・・・・・・言いおるわい。龍殺し。」


「おじいちゃん!朝からエールは駄目だっていつも言ってます!」


そこはかとなく漂う殺気に被せるように、ニーナの声がする。

見ればニーナと彼女より少し年上の双子が、二人の前に現れた。


「エールは仕事の後や夜の一杯が一番おいしいと、お父さんが言ってました。朝はミードにして下さい。」


「ニーナの言う通りだよ?」「朝からエールは体に悪い。つまみも食べるべき。」


3人の子らに説教をされて、二人は毒気を抜かれた。

ともに苦笑いし、エールと茶を飲み干す。


「おぬしらには敵わんのう。どれ、辛めのミードを頼もうかの。」


「私にも、お願い出来ませんか?ニーナ様?アー、ウーム。つまみもお願いします。」


「判りましたおじいちゃん。アローズィさん。」


「二人ともただれてる。」「不健康だね。」


そう言いつつも、三人は母屋にミードを取りに行った。


「おまえさんの誘いに乗ってやろう。何時だ?」


「手は打って御座います。ダニス様のご到着も考慮しませば、整い次第、使いを寄越します。」


「そうか。」


「何卒、お願い申し上げます。レックスフェロ様。」


「その名は捨てたわい。フェロで十分じゃ。その話、引き受けてやる。龍殺しのアローズィ。」


その言葉にアローズィは微笑みながら言う。


「龍殺しのアローズィは、もうおりません。私めは御館様に仕える者です。」


読者の皆様神様仏様。

私です。


いつもお付き合い頂き、誠にありがとうございます。

つきましてはお願いが御座います。

画面下の☆がございますが、宜しければそこを押して頂けますと作者が喜びます。


と、言ってみるテスト。

なにやら、皆さんそう言っておられますので。

ヽ(゜∀゜*)ノヽ(*゜∀゜)ノ

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