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感動の再会?

 ヴィロフォルティは勇者の死を確かめ、フィニス達の元に行った。


レウィは臥せり、体を震わせ何かに耐えている様子だった。その周りを幾重にも魔法陣が展開されている。


「フィニス?レウィは大丈夫?」


フィニスはアローズィに目配せすると、アローズィは説明を始めた。


「今、彼女は魔王を取り込んだ事で、次の魔王になろうとしています。魔王継承の儀をこの眼で見ることが出来て、アローズィは大変興奮して御座います。」


「・・・・・・まあ、次の魔王になるために苦しんでるところよ。」


アローズィの説明にならない説明に、フィニスが簡潔に答える。


「彼女も殺すの?」


「もういいわ。それに幾ら魔王になったからって、ヴィーの敵にはならないしね。」


フィニスはヴィロフォルティに近付き、大剣ごと彼を抱きしめた。

豊か過ぎる胸の上に彼の顔を出させ、真っ赤になった彼の額に口づけをする。


「ヴィー、ヴィロフォルティ。あたしの旦那様。貴方はあたしの試練を乗り越えたわ。これで貴方に敵う人魔はもう居ない。貴方は人魔最強になったの。」


ヴィロフォルティを強く抱きしめ、何度も額に口づけする。


義姉さま(いもうと)の復活も順調よ。帰る頃には出迎えてくれるはずよ。それだけじゃないわ。ヴィー。貴方にご褒美をあげたいの。あたしを()()()。」


「駄目だよ!そんなこと出来ないよ!」


「でもヴィーは()()()()()()わよ?」


「からかわないで!妹は大丈夫なの?」


「モルスレジナが気合を入れて義姉さま(いもうと)を診ているから、大丈夫。でもほんとにいいの?あたしを好きにして良いのよ?」


「・・・・・・僕はまだ弱いよ。フィニスに相応しくなるまで、我慢するんだ・・・・・・。」


その言葉にフィニスは赤面し、ヴィロフォルティを強く抱きしめた。


「旦那様。あたしが我慢できないわ。これだけは許してね。」


そう言うと、彼を降ろし、顔に手を当てその唇を奪った。

ゆっくりと舌を絡め、唇を吸う。数分あまりそうして、唾液が舌先から糸を引きながら唇を離す。

アローズィは人差し指を噛み、レウィと二人を交互に見ながら、なんとも悔しげな顔をしている。


「これで暫らく我慢できそう・・・。ヴィー?口づけしたくなったら、いつでも言うのよ?」


ヴィロフォルティは上気した顔でこくりと頷くと、下を向いた。




 レウィは肩で荒く息をしながらも、落ち着いたようだ。展開されていた魔法陣も消え、なんとも複雑な顔をしたアローズィがフィニスに報告する。


「御館様、継承の儀が終わりまして御座います。無事、魔王の資質はレウィ様に定着いたしました。・・・・・・ヴィー様の唇は如何でしたか?」


「いずれお前にも分けてあげるわ。それよりレウェルティ。立ちなさい。」


ふらつきながらも立ち上がったレウィの姿は変わらないように見える。しかし頭の角は一回り大きくなり、双眸は銀色に輝いている。


「フィニス様?あたしは変わってませんか?」


レウィはそうフィニス訊ねると、彼女は両目を細め言う。


「ちゃんと混ざり合っているようね。あなたは何も変わっていないわ。次代の魔王は貴方よ。」


レウィは深々と頭を下げ、礼をする。その双眸からは雫が零れ落ちる。


「次代の魔王が、それすら超えるものが生れたわ。さて、無粋者が居るようだけど、魔王様。どうするの?」


壁の影から一人の魔人が現れた。宰相だ。


 宰相はレウィの眼前まで歩み寄り、その姿を見下ろす。レウィもまた、気負うところ無く彼を見上げ、微笑む。

その姿に宰相は膝を突き、家臣の礼をとった。


「我々魔族一同は、()()()()()様に忠誠を誓います。女王に牙剥く者は、私の命に代えましても出させる事はありません。もし、そのようなもがいたら、一族郎党、処理いたします。」


「宰相様?あたしは商人の娘よ?そんな大それたものじゃないわ。それに魔領は今後、貴方達が統治なさい。私の仕事じゃないわ。」


「私共をお見捨てになるのですか!?」


「いいえ。商人の目から言って、魔領は一つにすべきじゃないわ。いくつかの国に分かれてそれで一つの国になるべきだと思うの。そうすると商売の幅が広がって、私の得になるわ。私の得は、魔族の得といえるんじゃないの?」


「それは詭弁では・・・・・・。確かに先代様はその道も模索してございましたが・・・しかし・・・・・・。」


「従わぬものには、あたしの名を使うといいわ。女王レウェルティはいつでもお前達の足元に居ると。」


「・・・・・・それを確固たる物にするには?」


「今、あたし達の商会には、ノビリフィーニア様がいらっしゃるわ。彼女に牙剥く者はどの程度居るかしら?」


レウィはフィニスに軽く頭を下げる。


「・・・・・・まあ、いいでしょう。祝い代わりに許すわ。ただし、多用すれば双方に報いを与える。」


フィニスは少し思案顔でそれを見ていたが、最後には頷き、そう言った。


「・・・・・・承知いたしました。女王レウェルティ様、ノビリフィーニア様。私めがやり遂げてご覧に入れます。」


頭を垂れる宰相の肩に手をかけ、レウィは言う。


「顔見世もあるでしょうから、当分あたしが居るわ。存分に力を振るいなさい。それから地下牢に用があるの。案内しなさい。」




 ナイトメア4頭立ての丈夫ながら豪奢な馬車が、魔王上を後にした。

そこにはヴィロフォルティ達が乗り込み、フロントライン近くの屋敷を目指していた。


フィニスは普段着のヴィロフォルティをその膝に乗せ、豊か過ぎる双球を彼の肩にかけていた。彼といえば、あの口付け以来まんざらでもないようで、 緩くフィニスに体を預けている。

対面に座るアローズィは指を噛み、恨めしそうにフィニスを見ている。


「ここはヴィー様に譲って頂くべきなのか、御館様に譲って頂くべきなのか・・・悩ましいです。」


「どちらも嫌よ。でも、道中長いから、気が向いたら譲ってもいいわよ?」


「アローズィは今が良いのですが・・・。」


「三回廻っておなかを見せたら考えるわ。」


アローズィはおもむろに立ち上がり、犬の格好をしようとする。


「お止めなさい。はしたない。」


「今の私めの気持ちをお分かりいただけましたでしょうか?」


結局、お座りのポーズで二人を見上げるアローズィ。


「お前は目的の為なら手段を選ばないわよね。そこが気に入ってるんだけど。まあ、いいわ。ヴィー?あの子にも座ってあげて?」


アローズィはそそくさと座席に座りなおし、両手を広げてヴィロフォルティを迎え入れる。


「重くてごめんね。」


そう言いながら膝に座るとアローズィは彼を抱きしめ、その髪に頬ずりする。


「ヴィー様は良い匂いが致します。御館様?独り占めはずるいです。」


「あたしの旦那様なんだから、当然でしょ?それよりアローズィ、何がお前をそこまでさせるの?」


「ヴィー様の尊さです。」


「・・・なら仕方ないわね。」「仕方ないのです。」


「二人とも変だよ・・・・・・。でも、馬車で帰って大丈夫なの?」


「向こうも準備がいるから大丈夫よ。それよりヴィーと長旅なんて初めてなんだから、楽しまないとね。」


「ちゃんと湯浴みもできますよー。お二人のお背中をお流しするのが楽しみですぅ。」


「アローズィ?貴方性格が変わっていてよ?」


「妹は大丈夫かな?」


「アローズィ?」


「モルスレジナ様が付きっ切りで、対応されております。時折なにやら呟いてございましたが、そのときのあの方は完璧で御座います。」


「僕の事、判るかな?()()()()()()()()から・・・。」


「記憶の維持は完璧で御座いました。そして御館様と会われる前の記憶も、()()()()()()()()()()()してございますので、すぐにお分かりになるはずです。」


「そうなんだ・・・。よかった。」


そうはにかめば、フィニスの顔が蕩ける。


「・・・・・・尊いわぁ・・・・・・。」


馬車は騒がしくも楽しんでいる三人を乗せ、街道をひた走る。

ナイトメアは夜道も関係なくひた走り、中途何回かの休憩を挟みながら、魔領の外れ、最前線の町に到着した。




 馬車は商会を目指し、道行く魔物はナイトメアに慄き、道を空ける。

商会の前にはメルキャトや従業員がずらりと並び、馬車を出迎えた。

店の前に馬車を横付けすると、アローズィが降り、紹介の皆は一斉に頭を垂れる。


「会頭。御館様より、お言葉があります。皆、顔を伏せておくように。」


そう言うと腰を折り、頭を垂れる。


「会頭。メルキャト。今回は良くやってくれたわ。貴方の商会も繁栄することでしょう。」


馬車の中よりフィニスの声だけが聞こえる。


「ありがたき幸せでございます。御館様。我ら一同、ますますの忠誠を持って、貴方様のお力になります。」


「そう。・・・・・・メルキャト。質問を許すわ。」


思わず顔を上げようとするメルキャトを、アローズィは押さえつけた。


「だれが顔を上げろといいましたか?そのままでお話なさい。」


全員に緊張が走る。なかには地面に汗の染みを作る者さえ居る。


「・・・御館様、我が娘はどうなりましたでしょう?」


ようよう声を絞り出せば、フィニスは答えた。


「次代の魔王になったわ。落ち着けば帰ってくるでしょう。話は終わりよ。」


その声と共に、アローズィは踵を返し、馬車に乗り込む。尚も頭を下げ続ける皆を他所に馬車は走り出した。

車輪の音が小さくなった頃、ようやくメルキャトは頭を上げた。


「アローズィ様のお情けが無ければ、俺は死んでいたな・・・。レウェルティ。よくやった・・・。」




 馬車はフロントラインの紹介にも立ち寄り、同じように声をかけ、台地にある屋敷へと向かった。

屋敷が近づくにつれ、ヴィロフォルティは落ち着かなくなり、二人を縋るような目で見つめた。


「大丈夫よヴィー。義姉さま(いもうと)は貴方を忘れていないわ。」


「私もそれは保障いたします。」


「そうじゃなくて・・・。」


うつむいていたヴィロフォルティは意を決して、顔を上げ告げた。


「もしかしたら、ニーナは生き返りたくなかったんじゃないかって!ただの僕のわがままだったんじゃないかって!・・・そう思ってきて・・・・・・。」


じわりと目じりに涙が浮かぶ。フィニスは彼を優しく抱きしめた。


「アローズィ。」


「反魂の秘術は、確かに死者を強制的に呼び戻します。ですが、モルスレジナ様は厳しいお方。嫌がる魂を呼び戻す事を致しません。そのお方が、妹様を呼び戻したのです。妹様はそれを望んでおられます。」


「そう言う事よ?ヴィー。安心して会うといいわ。」


フィニスはそう言うとヴィロフォルティの目じりを拭い微笑んだ。




 馬車は屋敷に到着した。

そこには 屋敷の使用人全員が並んでおり、ドラゴンたちも幾分誇らしげに見える。

そして屋敷の扉にメイドとモルスレジナが立ち、その間に小さな影が見える。


まずアローズィが降り立ち、続いてヴィロフォルティが恐る恐る降り立つ。

使用人たちは一斉に頭を下げ、ドラゴンたちもまた、その首を地に伏せる。

すると小さな人影はモルスレジナを見上げ、彼女は小さく頷いた。


その人影は走り出し、ヴィロフォルティに向かって行った。

彼はその影を認めると、跪き、涙を浮かべた。それはうれし涙か、後悔の涙か。

人影は少女へとなり、ヴィロフォルティに真っ直ぐに向かう。


「おにいちゃん!!」


快活な声がヴィロフォルティの記憶を呼び覚ます。

ああ!ニーナだ!


「おにいちゃんのぉ!」


すぐ目の前にニーナが居る。その右手は振りかぶられていた。


「ばかぁああああああ!!」


ニーナの拳はヴィロフォルティの顔面に当たり、彼は吹っ飛ばされた。


読者の皆様神様仏様。

私です。

第二章はここまでとなります。

ようやっと不幸な妹ちゃんを復活させました。

妹ちゃん元気です。

もっと色々活躍させたいです。

次の更新は3月となります。

見捨てないで( ´•̥̥̥ω•̥̥̥` )

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[一言] ここにきて、まさかの妹最強説…
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