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仕込よ?

 アローズィと別れて2日目。火の町は険しい山の麓にあった。どうやら鉱山であるのか、巨大な精錬所が3棟もあり選別所もまたそれにあわせて巨大であった。

鉱山で出た廃石を積み上げ壁とし、その周りに家々があり、それが町を形成している。


 町への門は広く、かなり大型の荷馬車が通れるつくりとなっていて、鎧姿の門兵らしきオークが陣取っている。

行き交う荷馬車と魔物達を検査していた。


 2人の番になると、オーク達は下卑た笑みを浮かべる。


「混ざり物が居るぞ。」


「一人は上玉だな。もう一人は食いでなさそうだが、良い味がしそうな匂いがする。」


オーク達は二人だけを引きとめ、役目を他のものに押し付ける。


「・・・この町も質が落ちたわね。・・・責任者はどこ!!馬鹿を野放しにする無能はどこ!?」


 余りの声の大きさに、行き交う魔物は振り返り、荷馬車を引く獣は怯えて暴れる。

オークたちは槍を構える。そこに入り口の小屋からフクロウの顔をした熊のごとき魔物が現れる。


斧を振り回し、行き交う魔物は逃げ惑う。


「門で騒ぐ奴らは、処分して良い規則だ!。どこの馬鹿が死にたいんだ!?」


レウィは腕組みをし、それを見上げる。


「あんたは第17小隊の士長ね。こんな馬鹿が居たら、うちは安心して取引できないじゃない!何とかなさい!」


その言葉に斧を振り上げる。オーク達はにやけ顔だ。

斧が横なぎにされ、跳ばされたのは、オーク達のその頭だった。


フクロウ顔はその頭を下げ、レウィに謝罪する。


「ゴートシープ商会の方に無礼を働くものは、処分致しました。何卒、寛大な御沙汰を。」


「無能といったのは取り消すわ。でも兵の選別はもっと気を使って頂戴。」


「承知いたしました。レウェルティ様。お通りください。」


「いくわよヴィー。」


歩き出すレウィにフクロウ頭は声を掛ける。


「ただいま、町は厳戒にはいっています。お手数ですが、馬鹿は()()していただいても構いません。」


「判った。あなたの事はよく言っておくわ。」


「感謝いたします。」



 何事もないように、町に入っていく。町の中は工夫であふれ、道行く皆の活気がある。


「この町は鉱山と()()で廻ってるのよ。領主は警備代わりね。」


「あんた、ただの護衛じゃないな。なんで町の兵士の階級まで知ってるんだ?」


「少し物覚えが良いだけよ。」


「少しとは思えないな。」


「詮索は」「無用か。」


「そう言うこと。」


そう言いながら、町を歩く。



 まもなく見知った建物が見えてきた。しかし規模が違う。フロントラインや村で見たあの建物の倍はある。

建屋や小屋も増えており、店に出入りしている者達も、多種多様だ。


店の前に居たホビットと思しき小人が、レウィの姿を見ると慌てて店に入っていく。


「店のほうは、緩んでないわね。」


づかづかと店に入り、ヴィロフォルティを従え、奥に行く。

店のものは彼女を見るとお辞儀をし、誰も誰何すらすることない。

彼女は前を向いたまま、誰かに言う。


「奥の部屋を使うわ。それと寝室を用意なさい。」


「かしこまりました。」


いつの間にか後ろに控えていた者が答え、店に下がっていく。


「・・・・・・気付かなかった・・・。ダメだな、疲れてる。」


ヴィロフォルティはそう言い、片手を顔に当てる。

レウィはそれを見て微笑み、奥の扉を開けた。

そこは応接室というには、些か狭く、部屋の中央に執務机が設えてある。


「もう少し付き合って。この後の打ち合わせをするわ。」



 その後、寝室に案内され、装備をベットに置き、人型を整え、彼は大剣の側で眠りに就いた。

別に警戒しているわけではなく、見知らぬ場所での彼の習慣だった。

夢の中で、彼は膝枕をされていた。


「ずいぶん頑張ったのね。ヴィー。」


「あいつは凄かったよ、フィニス。死ななかったなんて、信じられない。」


「そこは剣と鎧のお蔭かしらね。でも、とても()()()()わ。」


「フィニスが喜んでくれたなら、よかった。」


「あなたの手足もかなり()()()()きてるようだし、そろそろ()()()()()()が出来る様になるわ。」


「それって、強くなれるって事?」


「そうよ。あなたは人を超えて、まだまだ強くなれる。あたしの旦那様になるんだから。」


「良かった。フィニスが喜んでくれるなら、まだまだ強くなるよ。」


「お願いね。旦那様。さあ、今日はもうお眠りなさい。疲れはあなたを弱くするわ。」


「そうだ、商会の人たちは凄く良くしてくれてるよ。あの人たちにお礼がしたいけど、何が出来るかな?」


「それならあたしの方から、御礼をしておくわ。安心して。」


「わかった。おやすみなさい。フィニス。」


「おやすみなさい。ヴィロフォルティ。」




 「・・・・・・。そのナイフ仕舞ってくれない?」


 起こしに来たレウィは、ドアを開けるなり、首元にナイフの冷たさを感じる羽目になった。

ヴィロフォルティは寝ぼけ眼で、ナイフを下げる。

そのままベットのシーツを剥ぎ取り、装備を整えてゆく。


「ノック位はあるかと思った。」


「気付いてたなら、そう言うことやめてよね!」


「癖なんだ。師匠にみっちり扱かれたから。」


「どんな師匠よ・・・。」


「こういう癖がつくくらい、凄い師匠だよ。」


頬を3,4回叩き、眠気を覚ます。今日はからだが軽い。


「食事の用意が出来てるわ。」


「貰おう。流石に腹が減った。」



 その朝の彼の食欲は旺盛だった。出されたものは全て平らげ、魔族でも躊躇う様な量をその体に収めた。

レウィは呆気に取られ、店員達は、獣人ですら、その姿に驚いた。


「これは想定外だわ・・・。」


イノシシ一頭の丸焼きを平らげ、満足したのか口元を拭くヴィロフォルティにレウィは言った。


「何がだ?」


「あんた、今まで何も口にしてなかっわよね。」


「別に食べなくても平気だったからな。」


「ヒトって食いだめできたかしら?」


ヴィロフォルティに当てられたのか、食事の半分ほど残して、レウィは首をかしげた。


「今日は特別なんだ。いつもなら、腹が減るなんてない。」


「良かった。流石に毎回この量だと、()()出るわ。」


 その言葉に、旅費の事かと当たりを付け、アローズィに持たされた小袋を取り出す。


「もしものときは、これを使えといわれた。そちらに預ける。必要なだけ使ってくれ。」


ぽんと放り投げれば、レウィはそれを受け取り中を確認する。

そうして仰け反った。


「・・・・・・一枚だけ貰うわ・・・・・・。」


取り出されたのは白金貨一枚。残りは丁寧に口を縛り、ヴィロフォルティの前に差し出す。

彼はそれを受け取り、不思議なそうな顔をして言う。


「それだけで足りるのか?後5,6枚持っていっても良いんだぞ。」


「白金貨10枚で、町が買えるわ。その小袋一つで国の3分の一があなたのものよ。」


「そんな金もあるんだな。」


「どういう事?」


「銀貨以外、見たことがない。」


 彼女は天を仰ぎ、話を打ち切った。


「もういいわ。それより今日は鍛冶屋に連れて行くわ。でもその前に、医者ね。」


「どういう事だ?」


「あんたの首。」


そういわれ、首に手を当てれば、硬い感触がする。左腕と同じ感触だ。

反対側をさすれば、普通の皮膚の感覚。もう一度触れば、今度は普通の皮膚だった。


「あんた何したの?鱗が皮膚に変わったわ。」


「・・・・・・。判らん。とりあえず、医者に行こう。」



 あばら家然とした場所に連れて行かれ、犬顔の魔物に会わされ、診察を受けた。


そいつは彼の鱗を見るなり興奮し、なにごとかまくし立てレウィに蹴られても、興奮は冷めないようだった。

ヴィロフォルティとしては、さっさと鍛冶屋で装備と剣を見てもらいたかったが、今朝の一件も気になる。

されるがままにあちこちを触られ、血を取られ、鱗を剥がされた。これは少し痛かった。

暫らくして犬顔は真剣な眼で、ヴィロフォルティに問う。


「あんた、龍の血を浴びたか?、有り得ないが、龍を食ったか?」


「龍?ドラゴンじゃなくて?」


「小娘は黙っとれ。」


「・・・詮索するな。結論だけ言え。」


ヴィロフォルティは冷たく言い放つ。これに関して、知る者は少なければ少ないほど良い。


「・・・・・・判った。お前の体は、龍に侵食されておる。人の形をした龍になっておる。」


「そうか?」


「これを見よ。」


犬顔は小さな魔方陣を展開し、ヴィロフォルティから採った鱗にかざす。

魔方陣は瞬き、すぐに掻き消えた。


「簡単な火魔法じゃ。それをこの鱗は弾きおった。火を弾くなら判る。じゃが、これは魔法そのものを弾きおった。こんなのは龍種以外に有り得ん。」


「それで?」


「おぬしはもともとヒトじゃろ?おぬしの体は今、龍に食われておる。龍に置きかわっとるんじゃ。」


「それに不都合があるのか?」


「おぬしがヒトとして生きたいなら、大有りじゃ。」


「ならいい。弱くならなければ、それで良い。」


彼は即答し、立ち上がる。


「待て!待ってくれ!後、鱗を2,3枚と肉のサンプルをくれ!!血でも良い!!」


犬顔は縋り、彼は溜め息をつく。

ナイフを取り出す。犬顔は慌てて容器を手に取る。

右手を傷つけ、容器一杯まで血を流す。左手の鱗をナイフで剥がす。


「診察料代わりにはなるか?」


犬顔は小躍りし、ヴィロフォルティに答える。


「診察料なぞいらん!。おぬしが来てくれればそれで良い!」


尚も小躍りを続ける犬顔にレウィは言った。


「この事は他言無用よ。商会が敵になるわよ。」


動きを止め、肩を落とす犬顔を残し、二人は鍛冶屋へ向かった。


 鍛冶屋でもレウィの顔は効き、二人はドワーフと会えた。

ここでそのドワーフは大剣を前に涙を流し、鎧装備を見ては眼を回した。


「この刻印はダニス師の作品!この鎧の手直しされた部分は、俺の知らない技法だ!ダニス師はどこに居る!?この技法は何だ!?」


ヴィロフォルティに詰め寄り、捲くし立てる。彼は面倒くさそうな顔をするが、正直に答えた。


「親方は今ヒトの街にいる。鎧の技法は俺には解らん。誰かを紹介する気は無い。」


彼はひざまづき、頭を抱え悲鳴を上げる。


「それで、剣と鎧はどうなんだ?痛んでいる箇所は?」


その言葉に我に返ったドワーフは、剣を攻防の鍵爪に架けることを指示し、点検に入る。

剣を行き来しては叩き、音を確かめ、舐めるように見、刃先を確かめる。

鎧を見ては唸り、なにやらぶつぶつと呟き、確かめていく。鎧をヴィロフォルティに返し、彼は言った。


「あんた、剣の声は聞いたか?鎧は?」


「声は感じる。」


鎧を装着しながらヴィロフォルティは言う。


「なら良い。鎧はこれ以上手を入れられない。だが、性能は俺が作るものより遥かに上だ。剣は研ぎだけで済む。2日くれ。」


「1日。」


「一日半だ。それ以上は保障できない。」


「ならそれで良い。」


小袋を出そうとするヴィロフォルティをレウィは慌てて押さえ、ドワーフに言う。


「代金は商会につけといて。それからこの事は他言無用よ。」


ドワーフは慌てて振り返り、ヴィロフォルティに懇願した。


「待ってくれ!ダニス師の居場所だけでも教えてくれ!あの方にお会いしたい!」


「物が仕上がったら、商会に来なさい。情報を売るわ。」


ドワーフは頷き、工房の他の者に指示を出しながら、再び剣に向かった。

読者の皆様神様仏様。

私です。

いいわけです。

戦闘シーンが簡素なのは、あるレベルからの戦闘は一瞬で決まると考えるからです。

嘘です。作者がつたないせいです。

ごめんなさい(人´∩`)スイマセン

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