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「レオン。鷹で遊んじゃ可哀想だろう? 鷹、安心していいよ。そんなこと、僕がさせないから」
「本当かっ!? 本当だろうなっ!?」
「うん。約束するよ。だから頼まれてくれないかな?」
「……絶対だぞ。お前達も、俺は頼まれて仕方なく、仕方なく! この場にいて、判断するんだからな? そこを間違えないでくれよ?」
さすがに可哀想だと思ったのか、潮様が出した助け船に、鷹は全力で乗っかった。
正直言って、バレなきゃ大丈夫精神でいきそうな方々ばかりだが、鷹にとって今はもうその言葉だけが頼れる命綱に等しい。
常日頃上と下に挟まれて難儀している副官達は皆、一様に頷いて理解を見せた。
一方、鷹を連れてきた二人も、おそらく賭けか勝負かに負けたのだろう。鷹を部屋の中へ連れ込むために一緒に入ったものの、今度は逃げ時ならぬ退出時を自らでは見つけられずにソワソワとしていた。
「あぁ、お前達はもう下がっていいよ」
「はい。では」
「失礼いたします」
潮様にそう言われ、あからさまな表情こそ見せないものの、明らかな安堵の色を隠せていない。
きっと部下で遊ぶことが生き甲斐疑惑のある第三、第五の課長の下であれば、会議中ずっと横に控えさせられて反応を愉しまれるという罰ゲーム続行。
それを考えると、彼らには是非ともこの会議が終わったら潮様を労って欲しいものだ。
「ちょ、そこの三人! なに関係ありません的に流そうとしてんだ! お前らだよ! 俺が返事をもぎ取りたいのはっ!」
そうしている間にも鷹の興奮は冷めやらず。三大魔王ばかりの場でないことも影響してか、ここぞとばかりに噛みついていく。
あぁ、あぁ。
こういうところだと気づいていないのか。気づいていないんだろうな。
課長職である彼らにも打てば響けとばかりにズバズバと物を言う。人外としての実力もある。
三大魔王に玩具として気に入られる要因はこれに尽きる。
助けてくれと、こちらに面倒が回ってきたら嫌だから、絶対に教えてやらないけれど。
「まったくよー」
大事な翼を痛めたからか、返事をもらえなかったからか、あるいはその両方か。
シャルルの横に胡坐をかいて座った鷹はぶすっとしている。
「では、全員揃ったところで、ようやく本題に入らせていただきます。各課をそれぞれ一度に終わらせると順番的に不利になるところもあるかと思いますので、一項目ずつ順番に回していきます。それでは、第一課の昴様からどうぞ」
順番からいけば第六課の一巡目は一番最後。
フッ、フフフ。
ようやく各課の予算項目を突き崩すために準備した閻魔帳と資料の出番が来たというもの。
日頃の、というか直近で先日の書類を灰塵にされた恨み。
ここで晴らさでおくべきかっ!




