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人外統率機関元老院ー仕事は増えても減ることなしー  作者: 綾織 茅
予算会議は大荒れ模様

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「シャルル。そろそろ収拾がつかなくなりそうだから。そうなる前に予算の割り振りの決め方を発表した方がいいと思うよ」

「えぇ、そうしたいのは山々なのですが。実は今、応援を一名待っているところなのです。まぁ、想定の範囲内ですが、必死の抵抗を受けているようで」

「必死の抵抗?」



 穏やかではない言葉に、潮様は首を傾げ、第二課の副官と目を合わせた。


 聞けば、潮様もシャルルから決め方を聞いていなかったらしい。

 

 

 まぁ、抵抗する気持ちも分からんでもない。


 私だって、本来なら三大魔王のようなヤバい奴らが一堂に会すこのような会議の場に出席したくはない。


 彼らの問題ありまくりの性格や部下に振る仕事の無茶ぶりさもさることながら、ふとした瞬間に漏れ出る力の圧は慣れというもので片付けられるものではないのだ。内包する力だけであれば、穏健派である他の課長達にも彼ら三人と同じことが言える。


 ある程度対等に渡り合う私や他の副官達ですらそう思うのだから、それよりも下の者達が死に物狂いで抵抗するのは当然の結果だろう。


 何の応援なのかは知らないけれど、ストレスで胃を痛めないことを祈るばかりだ。



「皆様、ご静粛に願います。……それでは、待っている間に、今回の予算の割り振り方をご説明させていただきます」

「もしかして……決闘かい?」



 カミーユ様が期待に満ちた表情を浮かべてシャルルに尋ねる。


 もし本当にそうなると分が悪い第三課以外は皆、心配気だったり、不快さを隠そうとしない。


 そしてなにより、予算が足りないから奪いあうこの場で、たとえ手に入ったとしてもすぐに消えてゆく運命にある薬草の購入費。


 たとえ戦闘部隊である第三課に及ばずとも、そこはそれぞれ課を統べる長とその次点達。薬が山のように必要になる事態になることは明らかだ。


 それだけは何としても阻止しなければいけない。



「そんなわけありません。なので、第六課のお二人は腰を浮かさないで、落ち着かれてください」

「なんだ。つまらないなぁ。トーナメント制にすれば手っ取り早いのに」



 穏健派であり、元老院唯一の良心と呼び声高い潮様がホッと息をつく。


 その横で、カミーユ様は心底残念そうに肩を竦めた。



「カミーユ様っ。ここは一旦、口を閉じておきましょうっ。この間、訓練でトーナメント制をやって、怪我人続出してしまって第六課から顰蹙(ひんしゅく)を買ったでしょう? お忘れですかっ!?」

「あぁ、そんなこともあったっけ」

「ありましたっ! ……ど、どうぞっ。話を進めてくださいっ!」



 両手で先へ先へとジェスチャーをするコリンは、アハハと苦し紛れに笑みを浮かべている。


 他の課との交渉事から上の守り役までこなす彼だが、副官の中で一番苦労していることは間違いない。同じ立場にある他の課の副官達から、毎度お馴染みの深い同情の視線が寄せられた。





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