【No.62 こばやし ゆか】(1)
【side.人口空間】
(ここは何処だろう・・・)
ふわふわとした心地よい空間にまだまだ眠っていたくなる
トラックに撥ねられ衝撃を感じた次の瞬間気を失ってしまったようだ
(絶対に死んだと思ったんだけど助かったってこと?)
「こばやし ゆかさん」
(誰かが呼んでる)
「・・・はい」声は出るようだ
「目をゆっくり開けてごらん」
「はい」
言われた通りにゆっくり目を開けると優しい光が飛び込んでくる
「ここは何処ですか?」
頭がぼんやりする
側に誰かがいる気がするが、焦点が合わず何故か顔を見ることができない
「ここは死後の世界だよ」
「あぁ、やっぱり」
そりゃそうだ、トラックに生身の体でぶつかって生きてるなんてよっぽど運がいいか
なんてゴリラ・・・
「ありゃ、物分かりめちゃめちゃいいじゃん」
「衝撃やばかったし、それに今どこも痛くないっておかしいもん」
正体不明の誰かの気配がふっと柔らかくなる
「そう君は死んだ、これから君には2つの選択肢を与えよう」
「選択肢・・・」
1つ このままこの空間で次の転生まで眠りにつく
2つ 新たな世界に転生して、新しい人生を過ごす
「そんなこと急に言われても・・・そもそもあなたは一体?」
「俺はカミサマだよー、カミサマはせっかちなんだ早く決めてくれないとーーー」
「3、2・・・」
「待って!2つ目!新しい世界で過ごしてみたいです!」
「OK!早速行ってみようー!」
カミサマがそう叫ぶと、眩い光がブワッと溢れ私の体を包み込んだ
ーーーーー[人口空間設定窓口に移動します]
何処かで無機質な声がしたような気がした