月曜日(6)
ーーーーーーデータ管理室
ここはその名の通りデータ関係を取り扱う部屋である
室内は『解析・移行』『モニター』『分析』など、作業内容によってエリア分けされている
現在2班は『解析・移行』エリアで預かった魂を人口空間へと移行する作業中だ
「おはようございます」
「おはようございます、すみません遅くなりました」
これから担当する休息者の詳細な情報共有を行わなければならない
柚木さんと手分けして、人数分の資料を机に並べる
「今日の休息者は3人だけだから問題ないさ」
木沼さんが頭をぽりぽり掻きながら資料を一部取り席につく
「ありがとうございます」
僕たち2班のメンバーは全員で6人
班長の僕と副班長の児玉さん、国見さん、冨永くんに新人の柚木さん
アドバイザーとして前班長の木沼さんが2班の補佐をしてくれている
今日は国見さんはおやすみ、児玉さんは出張だ
「木沼さん優しーっすね!俺はもー疲れちゃいました」
にやにやと笑いながら冨永くんが席につく
冨永くんは班のムードメーカーだ
なんだかんだ仕事はしっかりこなしてくれる
「ごめんごめん!さて資料は全部で3セット3枚ずつです、足りない人はいませんか?」
「それでは資料の読み合わせを始めます」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【No.62 こばやし ゆか 25歳 女性】
・事象:自転車で走行中、急に飛び出してきたトラックに撥ねられ頭を強く打って即死
・病歴:なし
・家族構成:父・母・妹の4人家族 家族仲は良好
・職業:アパレル関係、転職したいと周囲に漏らしていた
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
資料には死因、家族構成、職業の他本人の生前の写真や交友関係、病歴など
種々の情報が記載されている
それらの情報を頭に叩き込み、僕たちは休息者を人口空間へと導くのだ
(僕の一生もたった3枚の紙で語れるのだろうか・・・)
いつもそう考えてしまう
「ーーーということで、No.62から64までを午後人口空間に送ります」
「はんちょー、今日のカミサマは誰でいくんですかー?」
「冨永さん以外がいいと思います」
「柚木ちゃんなんでそんなこと言うのー!?」
暗くなってしまった思考が引き戻される
(楽しそうでなによりだ)
「じゃぁ今日は冨永くんがメインで、柚木さんは補佐についてもらおうかな」
綿蜜な調整はもう少し続く・・・