月曜日(4)
「おはようございます」
「おはようございます 今日お願いする休息者は3人です」
休息者とは保護された魂のことだ
魂を保護するためには特別な道具と方法が必要である
不測の事態が起きれば大抵警察が呼ばれる
警察は予期せぬ死亡者が出た場合国に報告する義務がある
都道府県には国から任命された『保護者』が存在する
彼らはすみやかに魂を保護し、各地の特別管理室に届けてくれるのだ
「ノブさんいつも大変ですね」
「いやぁーダイさんのが大変でしょう、俺なんて連れてくるだけですから」
彼はノブさん(そう呼んでと言われた) 年齢不詳、関東地区の『保護者』だ
基本この仕事に携わる人間は
自署のメンバー以外に個人情報を漏らすことを禁じられている
その為『保護者』との会話は必要最小限にしなくてはならない
しかしノブさんは僕が新人の頃、上司に何度も怒られ凹んでいるのを見つけ
小さなチョコに頑張れと書いてこっそりくれた
(もう少し頑張ろうって思えたもんなぁ・・・)
それから上司に咎られない程度、少しだけ話すようになったのだ
「拘束時間は長いですけど、休息者がいなければ好きなことしてていいですからねぇ」
ニカっと笑うと彼は足早に去っていった
ーーーーーさて 此処からが僕たちの仕事である
『保護者』が連れてきてくれた魂はいわばエネルギーの塊で実体を持たない
彼らは特別な技術で魂を保護・輸送する
保護された魂は両手で包み込めるくらいの大きさのカプセルに1人ずつ収められている
カプセルから魂を取り出し、人口空間に送り届けるにはまず魂をデータ化しなくてはならない
カプセルのまま魂を機械にかけ、2進数のデータに置き換えていくのだ
午前中はこの作業にかかりきりになる
午後からは魂に適した空間で管理を行う為また違う作業が待っている
(今日は3人か・・・)
カプセルには生前の資料も添えられている
午前中解析を待つ間、この資料をチームメンバーと共有するのだ