世界の秘密(2)
「100歳の誕生日を迎えて死ぬ」これが世界の常識となった
ーーーー実はここに秘密があったのだ
人口の増加に困った世界各国の政府は秘密裏にある協定を結んだ
それは『100歳で寿命を終わらせること』
人口の調整を行ない管理しようというのだ
その方法は僕たちにも知らされていない
知らぬ間に薬を投与されているのか
治療を受けた際に処置を施されているのか・・・
そしてもう一つ秘密がある
『魂の観測』に成功しているということだ
科学が発達した今の世界でも死者を蘇らせることは不可能である
しかし魂の行方を補足することに成功したのだ
死後の魂はすみやかに人体から離れ、次の生を受けるまで亜空間に留まる
亜空間はエネルギーに満ち溢れた空間と考えられている
その空間で魂は生前の記憶の消去とエネルギーの充電を行っているらしい
つまり『魂の初期化』を行い次の生に向けて休息を取っているのだ
だがこの輪廻転生は充実した人生を送った魂に限られる
不測の事態で命を落としてしまった魂は
亜空間ではなくその場に留まる
そしてそのまま『魂の初期化』を行うのだ
しかし本来亜空間で行うべき初期化は不十分なものとなり
次の生で生き抜くために必要な力を得ることができない
転生後すぐに命を落としてしまったり
徐々に消耗しいずれは輪廻転生の輪から外れてしまうのだ
そこで『その場に留まった魂』を保護し
人工的な空間⦅メル⦆で新たな人生を過ごしてもらう
人工空間で魂を癒すことにより亜空間への道が開かれ
本来の流れに戻ることが確認されている
このシステムを政府が作成管理しているのだ
そう・・・
僕たち『生活福祉課 特別管理室』は
この人工空間を管理する特別チームなのである
そしてこの仕事を行うのに必要なもう一つの『適正』は
「世界の秘密を理解し 受けいれることができる」かどうかだ
*アアル:死者の楽園アアル またはイアル
*メル:古代エジプト語で「昇る場所」 ピラミッドのこと