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Jewelve~12個の誕生石を集める物語~

第0話  雪乃ノエル


 この世の中には暦というものが存在し、季節というものも存在する。では、1年は全部で何ヶ月あるかご存じだろうか。そう、12ヶ月である。では、その12ヶ月にそれぞれの呼び名と1ヶ月毎に誕生石があるという事をご存知だろうか。これは、12個の誕生石を集めるために仲間と協力し合い、はたまたすれ違いが起こったり、一緒に冒険してた人が裏切ったりといったファンタジー系RPG風の物語の始まりの合図である。



目が醒めるとそこは、いつもとは違った風景であった。まずはここがどこなのかを判断するために体を起こしあたりを見まわして特徴を確認してみる。


木造の古い建物、窓は付いているが大きくは無い。そしてこの高さからすると2階といったところだろうか


 そう呟き、布団から出ると頭の中に無機質な女の声が聞こえて来た。


「おはようございます。シェイルさま。昨晩は良く眠れたでしょうか」

「アンタは誰だ。そしてここはどこだ」

「今から説明しますのでよくお聞きください。あなたは、家で『ジュエルコレクトオンライン』をやっていたらどうやら画面内に吸い込まれてしまったようです」

 ゲームをしていたらパソコンの画面に吸い込まれた?そんな馬鹿なことあってたまるか

 「申し遅れました。私の名前はリリーといいます。シェイル様のサポート役として任命されました」

 「サポート役とかはどうでもいい。とにかく俺はここからさっさと出たいんだが」

 「残念ですが、このゲームの脱出の方法は旅に出て宝石をすべて集めるしかないみたいです」

 「俺は過去にこの作品はクリア済みだ。攻略法はわかってる。だがもう一度はやりたくない」


その言葉を最後に俺の視界は暗転した


気がつくとリリーと話をしていた世界とは別の世界に来ていた。どこか大きな街のようだ。だが、俺はすぐにこの街もゲームの一部だとすぐに理解できた。なぜなら、この街の賑わいと商店の配置がゲームと全く同じだったからである。そして俺がこの街を歩いていると決まった言葉をかけられる。


そんな事を考えながら歩いていると若い女がこっちに向かって歩いて来て俺にこう言う。


「「冒険者の方ですか」」


と。確かに、俺は元この世界の冒険者であるが、今はもうやりたくないと思っている身だ。だから俺は女に断りを入れて、さっさとこの街から出ようと思った。だが、どうやらこの世界線は俺が過去にクリアしたジュエコレの世界とは違ったようで続けざまに女は俺に話しかけてきた。


「最近この街で窃盗の被害が相次いでて、さっき私の店も被害にあったんです。そんなときにたまたまあなたが通りがかって声をかけたのは、あなたが冒険者のように見えたからです。この街の住人は誰もその窃盗犯を捕まえることができず、やむを得ず冒険者ギルドに依頼を出している状態です。なのでもしよろしかったらあなたが窃盗犯を捕まえてぜひとも冒険者ギルドに差し出してはもらえないでしょうか。もちろん報酬ははずみます」


俺は昔から頼まれたら断れない性分の人間だ。だが、もうこの世界の冒険をしないという葛藤との間で逡巡してしまい中々結論を出せないでいた。そんな中、ある一つの事件が過去の俺を覚醒させることとなる。


悩みながら街を歩いているとすごい勢いで俺の横を走り去っていく。その人の手には鍛冶屋から盗んだであろう石などが抱えられていた。


「お姉さん、ちょっと俺、行ってきます」


そう言い残した俺は、地面を一歩蹴り勢いよく飛び出すとすぐに窃盗犯を取り押さえる。もちろん暴れるがそんなことはお構いなしに俺は抑え続ける。


「何すんだっ!離せっ!」


もちろん離すわけがない


「なあ、お前なんだろ冒険者ギルドから依頼されてる窃盗犯って。今までにどのくらいの窃盗をしたんだ。言え」

「す、少なくとも100件以上はこ、この街でやってます」


その後も問い詰めまずはお姉さんのところへ連れて行った。


「こいつで間違いないか」

「はい、間違いないです。この人が私達のお店の商品を次から次へと盗っていきました」

「そうか」


この後、俺は窃盗犯を冒険者ギルドへと連れて行った。


冒険者ギルドに到着すると俺はすごく歓迎された。町長も急遽駆けつけ、「歓迎会をするから後で来てほしい」と言われた。


報酬として、街への永住権をそのときにもらった。




日も傾き始めた頃、俺は町長に言われた場所に来ていた。


「窃盗犯を捕まえてくれてありがとう。これは街をあげての君への贈り物だ。受け取って欲しい」


俺はこの材質を知っている。この世界で一番硬いと言われている『ダイヤモンド鉱』というものでできた剣だ。しかも、水晶を一緒に使ったのか向こう側が透き通るほど透明だ


「ありがとうございます。しかしいいんでしょうか、私がこのようなものを頂いてしまっても」

「もちろん構わんよ。なぜなら君はこの街の英雄なんだから」

「そんな、英雄なんて大げさですよ」

「いや、ようやく待ちわびた冒険者がこの街から生まれると考えると感無量じゃ」


俺はなんだかくすぐったい気持ちになった。しかし今となってはそれが心地よくもあった。


俺は建物を出ると街はお祭り騒ぎになっていた。

冒険者としての手続きを済ませるため、俺は再び冒険者ギルドへと戻った。


「お待ちしておりましたシェイルさん。あなたのおかげでこの街の平穏は取り戻されました。ありがとうございました。今日の用事は冒険者としての登録でよろしかったですか?」

「はい」


こうして俺はこの街出身の初の冒険者となった。ここから俺の12個の宝石を集める物語の幕が上がる。


to be continued...

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