星空の下
「……あぅ……っ!」
鈍く、全身を貫く痛みを覚えた私は目を覚ました。
「どうかしたのか?」
異変に気づいたのか、隣で寝ていた彼が起き上がり眠そうな声で尋ねた。
「なんでもないわ。ちょっと外の空気すっきてもいいかしら?」
悟られないようにニッコリ笑ってみせた。
「構わないが、遠くには行くなよ」
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─私が産まれた野原。
夜風が頬を優しく撫でていく。
痛みが緩和した。
同時に草木が揺れる。眠気を誘った。
顔を上げる。綺麗な夜空。
ビーズを散りばめたみたいに星が綺麗に輝き、それらを代表するように一層輝く丸い丸いお月様がそこにあった。
手を伸ばしてしまえば届きそうで。
「星は飴のような甘い味がしそうね」
そんな夜空の下に踏みつけられていた紫蘭の花……
焦った。絶望と恐怖。
知らない人に知らない所で知らない時に踏まれ壊されそうになったのだ。
急いで手当をした。私は私に
水をかけたり、菊を伸ばしたり…
「痛み……収まってきたわ。」
フクロウが鳴いた。悲しそうにでもこの野原全体に響くように。それはとても悲痛で……
涙が零れた。頬に。雫が落ちてく。
「なんで泣いているんだよ」
不意に後ろから声をかけられる。
「終……」
「やっぱりここか」
「怖いの。得体の知れない恐怖が」
「……?」
「知らない所で私は傷つけられるの。汚されて誰も助けてくれないの。」
「ほう。それは前の記憶か?」
「……そうね。」
「こんな話知ってるか?」
─例えばここに2つの部屋があるとしようか。
綺麗な部屋と煤だらけの汚い部屋。そこに綺麗な真珠のネックレスがあるんだ。どちらが綺麗に見えるかって、汚れた部屋なんだ。
汚れた部屋に汚れたものが沢山転がってても目をくれないだろ?そこに綺麗なものがあるんだ。汚いものはそれを羨ましがって汚いものに取り込もうとする。だけど、そんなヤツらから守ってくれる人がいるんだ。そいつは汚いものに触れられ汚くなっていく。壊れていくんだよ。もう直らないほどに。
世界が綺麗ならそんなことはなかったんだよ。
大衆心理なんてなくて人権が通り倫理がある世界なら。
だが、この世界は汚くて大衆でしか動けない無能が溢れかえってる。
無能のくせして礼儀もなりたたないゴミばっかなんだよ。
人に頼み事をしてもありがとうの一言を言えないやつ。
理不尽に怒鳴りつけ子供心をズダボロにし、自殺者を増やしてるのは大人達なのにそれから逃げてイジメのせいにしてるやつ。
自分の思い通りにならないからって好き勝手して周りを困らせるやつ。
なんで笑わない?ってゆってるのは自分のせいなのにそれからも逃げる奴
人はな自分の都合が悪ければ逃げる
人はな、存在証明がなければ生きてけない。
虐められられたり、自分の下をたまに見なければ顔を上げて上を見れないんだ。
それなのに大人は下を見る前に上のヤツらを見ろって言うんだ。自分に自信がないのに馬鹿だと思うだろ?
それくらいこの世界は低脳で溢れかえってる。
「なぁ、そんな中で…汚いこの世界で綺麗なお前を見つけた。お前が人間じゃないことくらい知ってる。」
「……。」
「俺はお前を守るんだよ。」
そっと私を腕の中に包んだ。
暖かい…落ち着く。
でも、それによって彼は壊れるの?
そんなの……おかしいよ…終。
会ったばかりのふたりは、今にも落ちてきそうな夜空の下で
─唇を重ねた……
最後まで読んで下さりありがとうございます。
次の話も読んでくださればと思います。
誤字脱字があれば教えて下さるとありがたいです。またアドバイス等があれば感想やメッセージをください。