八尺様との戦い 1
ようこそこの小説へ
今回で第5話となります。
まだ評価来ないですね。見てないのでしょうか?。
なのでがんばって長編を紹介します。
そんな長編の主人公は田舎に住む男性です。
それではどうぞ
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親父の実家は自宅から車で二時間弱くらいのところにある
農家なんだけど、のどかな雰囲気が好きで、高校になってバイクに乗る
ようになると、夏休みとか冬休みなんかにはよく一人で遊びに行ってた。
じいちゃんとばあちゃんも「よく来てくれた」と喜んで迎えてくれたしね。
でも、最後に行ったのが高校三年にあがる直前だから、もう十年以上も行っていないことになる。
決して「行かなかった」んじゃなくて「行けなかった」んだけど、その訳はこんなことだ。
春休みに入ったばかりのこと、いい天気に誘われてじいちゃんの家にバイクで行った。
まだ寒かったけど、広縁はぽかぽかと気持ちよく、そこでしばらく寛いでいた。そうしたら、
「ぽぽ、ぽぽっぽ、ぽ、ぽっ…」
と変な音が聞こえてきた。機械的な音じゃなくて、人が発してるような感じがした。
それも濁音とも半濁音とも、どちらにも取れるような感じだった。
何だろうと思っていると、庭の生垣の上に帽子があるのを見つけた。
生垣の上に置いてあったわけじゃない。
帽子はそのまま横に移動し、垣根の切れ目まで来ると、
一人女性が見えた。まあ、帽子はその女性が被っていたわけだ。
そして女性は白っぽいワンピースを着ていた。
でも生垣の高さは二メートルくらいある。その生垣から頭を出せるってどれだけ背の高い女なんだ…
そう驚いていると、女はまた移動して視界から消えた。帽子も消えていた。
また、いつのまにか「ぽぽぽ」という音も無くなっていた。
そのときは、特に関心もなく、「でかいな~」とだけ思った。
その後、居間でお茶を飲みながら、じいちゃんとばあちゃんにさっきのことを話した。
「さっき、大きな女を見たよ。男が女装してたのかなあ」
と言っても「へぇ~」くらいしか言わなかったけど、
「垣根より背が高かった。帽子を被っていて『ぽぽぽ』とか変な声出してたし」
と言ったとたん、二人の動きが止ったんだよね。
いや、本当にぴたりと止った。
いつ見た!?
どこで見た!?
垣根よりどのくらい高かった!?
といきなりじいちゃんが怒ったような顔で質問を浴びせてきた。
じいちゃんの気迫に押されながらもそれに答えると、急に黙り込んで廊下にある電話まで行き、
どこかに電話をかけだした。
引き戸が閉じられていたため、何を話しているのかは良く分からなかった。
ばあちゃんは心なしか震えているように見えた。
じいちゃんは電話を終えたのか、戻ってくると、
「今日は泊まっていけ。いや、今日は帰すわけには行かなくなった」と言った。
――何かとんでもなく悪いことをしてしまったんだろうか。
と必死に考えたが、何も思い当たらない。あの女とは、
何も話してないし、見ようと思って見たわけじゃない。
そして、「ばあさん、後頼む。俺は神社への連絡とKさんを迎えに行って来る」
と言い残し、軽トラックでどこかに出かけて行った。
ばあちゃんに恐る恐る尋ねてみると、
「八尺様に魅入られてしまったようだよ。じいちゃんが何とかしてくれる。何にも心配しなくて
いいから」と震えた声で言った。
それからばあちゃんは、じいちゃんが戻って来るまでぽつりぽつりと話してくれた。
この辺りには「八尺様」という厄介なものがいる。
厳密には‘居た‘という方が正しいのかもしれない。
八尺様は大きな女の姿をしている。名前の通り八尺ほどの背丈があり、「ぼぼぼぼ」と
男のような声で変な笑い方をする。
人によって、見え方が違うが、さっきの特徴は共通している。
そしてさっきの厳密には・・・という件については、
八尺様はこの町に数百年前に封印されたらしいのだ。
もし封印が解けたとしても、八尺様がよそへ移動できる道というのは限られていて、
その道の村境に地蔵を祀ったそうだ。
八尺様の移動を防ぐためだが、それは東西南北の境界に全部で四ヶ所あるらしい。
しかし近年、封印の力が弱まり、いつ復活するか分からなかったらしい。
八尺様を封印してる神社は、封印派と消滅派で対立していて
神社としては、何も出来なかったらしい。
そして今、封印が解かれたという訳だ。
そんなことを聞いても、全然リアルに思えなかった。当然だよね。
そのうち、じいちゃんが一人の老婆を連れて戻ってきた。
「えらいことになったのう。今はこれを持ってなさい」
Kさんという老婆はそう言って、お札をくれた。
それから、じいちゃんと一緒に二階へ上がり、何やらやっていた。
ばあちゃんはそのまま一緒にいて、トイレに行くときも付いてきて、
トイレのドアを完全に閉めさせてくれなかった。
ここにきてはじめて、「なんだかヤバイんじゃ…」と思うようになってきた。
しばらくして二階に上がらされ、一室に入れられた。
そこは窓が全部新聞紙で目張りされ、その上にお札が貼られており、
四隅には盛塩が置かれていた。
また、木でできた箱状のものがあり(祭壇などと呼べるものではない)、
その上に小さな仏像が乗っていた。
あと、どこから持ってきたのか「おまる」が二つも用意されていた。
これで用を済ませろってことか・・・
「もうすぐ日が暮れる。いいか、明日の朝までここから出てはいかん。
俺もばあさんもな、お前を呼ぶこともなければ、お前に話しかけることもない。
そうだな、明日朝の七時になるまでは絶対ここから出るな。
七時になったらお前から出ろ。家には連絡しておく」
と、じいちゃんが真顔で言うものだから、黙って頷く以外なかった。
「今言われたことは良く守りなさい。お札も肌身離さずな。
何かおきたら仏様の前でお願いしなさい」
とKさんにも言われた。お気に入り詳細を見る
テレビは見てもいいと言われていたので点けたが、見ていても気は紛れない。
ばあちゃんがくれた菓子類も食べる気が全くおこらず、
放置したまま布団に包まってひたすらガクブルしていた。
そんな状態でもいつのまにか眠っていたようで、目が覚めたときには、何だか忘れたが
深夜番組が映っていて、自分の時計を見たら、午前一時すぎだった。
(この頃は携帯を持ってなかった)
なんか嫌な時間に起きたなあなんて思っていると、
窓ガラスをコツコツと叩く音が聞こえた・・・
風のせいでそんな音がでているのか、誰かが本当に叩いているのかは判断がつかなかったが、
必死に風のせいだ、と思い込もうとした。
落ち着こうとお茶を一口飲んだが、やっぱり怖くて、テレビの音を大きくして無理やりテレビを
見ていた。
そんなとき、じいちゃんの声が聞こえた。
「おーい、大丈夫か。怖けりゃ無理せんでいいぞ」
思わずドアに近づいたが、じいちゃんの言葉をすぐに思い出した。
また声がする。
「どうした、こっちに来てもええぞ」
じいちゃんの声に限りなく似ているけど、
あ れ は じ い ち ゃ ん じ ゃ な い
そう確信した。俺の知ってるじいちゃんはそんなんじゃない。
「ぽぽっぽ、ぽ、ぽぽ…」
あの奇妙な声が聞こえ、窓ガラスがトントン、トントンと鳴り出した。
そこまで背が高くないことは分かっていたが、アレが下から手を伸ばして窓ガラスを
叩いている光景が浮かんで仕方が無かった。
自分にできることは、仏像に祈ることだけだった。
とてつもなく長い一夜に感じたが、それでも朝は来るもので、つけっぱなしの
テレビがいつの間にか朝のニュースをやっていた。画面隅に表示される時間は確か
七時十三分となっていた。
ガラスを叩く音も、あの声も気づかないうちに止んでいた。
どうやら眠ってしまったか気を失ってしまったかしたらしい。
盛り塩は黒く変色していた。
念のため、自分の時計を見たところはぼ同じ時刻だったので、恐る恐るドアを
開けると、そこには心配そうな顔をしたばあちゃんがいた。
ばあちゃんが、よかった、よかったと涙を流してくれた。
「Kさんは?」と聞くとばあちゃんが
「Kさんは朝までお経を読んでくれたの。
だけどKさんも年だから疲れて倒れちゃったの。その代わりに知り合いの寺生まれのTさんという方が
来てくださったのよ」
そうばあちゃんが言うと
後ろにいたTさんが
「辛かっただろう。神社と俺が協力するから安心してくれ。
でも俺寺生まれなのにな・・・・・」
と励ましてくれた。
下に降りると、親父も来ていた。
じいちゃんが外から顔を出して「早く車に乗れ」と促し、庭に出てみると、
どこから持ってきたのか、ワンボックスのバンが一台あった。
そして、庭に何人かの神職がいた。
ワンボックスは九人乗りで、中列の真ん中に座らされ、助手席にTさんが座り、
庭にいた男たちもすべて乗り込んだ。全部で九人が乗り込んでおり、
八方すべてを囲まれた形になった。
「神社の問題に君を巻き込んで済まない。今から神社に行く。長い戦いになるが
耐えてくれ。あと八尺様に魅了されるから下を向き目を瞑ってくれ」
神職がそう言った。
そして、じいちゃんの運転する軽トラが先頭、次が自分が乗っているバン、
後に親父が運転する乗用車という車列で走り出した。
ブウ――――ン
しばらくすると
「ぽっぽぽ、ぽ、ぽっ、ぽぽぽ…」
またあの声が聞こえてきた。
言われたとおりに目を閉じ、下を向いていたが、
なぜか薄目をあけて外を少しだけ見てしまった。
目に入ったのは白っぽいワンピース。それが車に合わせ移動していた。
あの大股で付いてきているのか。
頭はウインドウの外にあって見えない。
しかし、車内を覗き込もうとしたのか、頭を下げる仕草を始めた。
無意識に「ヒッ」と声を出す。
「見るな!!」
と隣が声を荒げる。
すると突然八尺様が俺の存在に気が付いたようで
「ぽぽっぽぽっぽっぽっぽっぽぽっぽ!!!!!」
と叫び声をあげて、車のボンネットを
バン!!!
と叩いた。八尺様は車を止めてしまったのだ。
そして奇妙な唸り声を出した。
耳がキー―ンとなった。
ぐわっ うっ うう ああ ぎい
そんな声が車内から聞こえたと思うと、人が大勢倒れる音がした。
目を瞑っている僕は何が何だか分からなかったが
目を絶対に開けてはいけないとだけ確信した。
そんな中Tさんの「いたたた・・・」という声が聞こえた。
「Tさん!!!!」
と叫ぶと同時にドアを開ける音が聞こえ
「破ぁ!!!」
それと同時に目を瞑っても眩しいくらいの光が見えた。
そして ガタッ! バン! 何かが吹っ飛ぶ音が聞こえた
「ぽぽっぽぽっぽっぽっぽっぽぽっぽ!!!!!」
奴はまだいる!
「なにがあっても神職が起きるまでそこにいろよ!!」
どうやらTさんと八尺様の戦いが始まったようだった。
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いかがだったでしょうか
Tさんと八尺様 どちらが勝つのか!!
次回の八尺様との闘い 2 を是非ともご覧ください
それではまた次回で
今回の元ネタは「八尺様」でした。
もし原作者の方がいて不快と感じれば削除します。