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寺生まれのTさんの心霊ファイル  作者: ねぎいため
2/6

危険な趣味

この小説へようこそ

今回で第二話。今日のお話の主人公は

少し変わった趣味を持つ男性の心霊体験です。

それではどうぞ

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~





俺にはちょっと変な趣味があった。その趣味って言うのが、深夜になると家の屋上に出てそこから双眼鏡で自分の住んでいる街を観察すること。

普段とは違う、静まり返った街を観察するのが楽しい。

遠くに見えるおおきな給水タンクとか、酔っ払いを乗せて坂道を登っていくタクシーとか、ぽつんと佇むまぶしい自動販売機なんかを見ていると妙にワクワクしてくる。


俺の家の西側には長い坂道があって、それがまっすぐ俺の家の方に向って下ってくる。

だから屋上から西側に目をやれば、その坂道の全体を正面から視界に納めることができるようになってるわけね。

その坂道の脇に設置されてる自動販売機を双眼鏡で見ながら「あ、大きな蛾が飛んでるな~」なんて思っていたら、坂道の一番上のほうから物凄い勢いで下ってくる奴がいた。

「なんだ?」と思って双眼鏡で見てみたら全裸でガリガリに痩せた子供みたいな奴が、不気味な笑みを浮かべながらこっちに手を振りつつ、猛スピードで走ってくる。

奴はあきらかにこっちの存在に気付いているし、目も合いっぱなし。

少しの間、あっけに取られて呆然と眺めていたけど、なんだか物凄く怖くなって

階段駆け下りて家に逃げ込んだ。




ドアを閉めて、鍵をかけて「うわーどうしようどうしよう、なんだよあれ!!」

ってただただ怯えていたら

 ズダダダダダダッ って屋上への階段を上る音が。多分俺を探しに来てる。

「凄いやばいことになっちゃったよ、どうしよう、まじで、なんだよあれ」って心の中でつぶやきながら、声を潜めて物音を立てないように、リビングの真ん中でアイロン(武器)を両手で握って構えてた。


しばらくしたら、今度は階段をズダダダダッって下りる音。

もう、周りの物が揺れるくらいガタガタ震えていたらドアを


ダンダンダンダンダンダン!!


って叩いて、チャイムを


ピンポンピンポン!ピポポン!ピポン!!


と鳴らしてくる。

「ウッ、ンーッ!ウッ、ンーッ!」って感じで、奴のうめき声も聴こえる。

心臓が一瞬とまって、物凄い勢い脈打ち始めた。

さらにガクガク震えながら息を潜めていた。

少しするとさっきの音は聞こえなくなった。

俺はもう大丈夫かと思っていた。







バリバリバリバリバリバリバリ!!!


いきなり静寂を切り裂いて、ドアをぶち破ろうとする音が聞こえた。

「ひいいいいいいいいいいいい、た、助けてくれえええ!!」

そんな命乞いも虚しく裂けたドアから奴の楽しそうな笑顔がこっちを見る。

そしてついに奴は、侵入してきた。

1歩、1歩、また1歩とこちらに近づいてくる。

もうだめかと思ったその時




「近隣住民への迷惑を考えろおおおおおおお!!!

 破ぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」


という怒号のような雄叫びが聞こえ、奴は蒼白い閃光に呑み込まれ消滅した。

奴は最後の最後まで笑っていた。

「あ、あなたは・・・・・?」


「ただの隣に住む地域パトロール隊長だ」

とちょっと不機嫌そうな顔で言われた。

そして俺は寺生まれのTさんに泣きながら感謝した。


俺は消えた奴への疑問があった。

「なんであいつは俺を追いかけたんですか?」

そういうとTさんは奴について語ってくれた。


あいつは、親に虐待され殺された少年の霊らしい。

少年は生まれてから楽しい事を親に全て奪われたせいで

死んでからは自分が楽しもうと現実に残り、笑いながら人を追いかけるらしい。

なんとも悲しくて後味の悪い話だ・・・・

だが最後は成仏できて嬉しかったのだろうか。

そんなこと、俺は知る由もないが。



「Tさんは何故奴のことを知っていたのに成仏させてなかったんですか?」

そう、俺はふと思った。




「深夜まで起きられないから」

Tさんは子どもみたいな理由で成仏させていなかったのだ。

寺生まれって色んな意味ですごい!と思ってしまった。

~~~~~~~~~~

さあいかがでしょうか。

今回は趣味にまつわる怖い話でした。

私もネットで怪談を見るという趣味があります。

皆さんはくれぐれも自分の趣味で己が傷つかないように

注意してくださいね。

私はもう傷ついてしまいましたがね。

それでは皆さんまた明日。



今回の元ネタは「猛スピード」でした。


もし原作者の方がいて不快と感じれば削除します。

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