2 心の記憶と思い 1
あなたに初恋をしてから自分の気持ちを伝えるまでに9年の歳月がかかってしまった。私の初恋は実ることはなく、あなたに振られて失恋してしまった。
でも失恋をしたからといってあなたへの想いが簡単に消えることはなくて、逆に告白する前よりも想いは大きくなっていくばかりでどうしたらいいのかわからなくなってしまう。
学校が別々になるからこの初恋を終わらせて次に進むと決めて告白したのに気持ちは消えることがなくて、逆にあなたの家の近くを通るたびに「あなたに会えないだろうか」と期待してしまう自分がいる。
表向きはもうあなたのことは好きじゃないと言ってるけど、心の中ではまだあなたのことが好きと答えている自分がいる。失恋しているのだから潔く諦めたらいいのにそれをできない自分にいやになってしまう。
やっと心からあなたの姿が少し消えたかなと思うと、そういう時に限ってあなたに出会ってしまう。
電車の中であなたは気付いていなかったけど、私があなたを見間違うはずがない。だってずっとあなただけを毎日目で追い続けていたのだから。
たまにあなたとすれ違うようになってからもう3年が経ちました。
3年間あなたを忘れることができなくて、3年間の間に新しい恋をしてみれば忘れられるのじゃないかと思って付き合ってみたりもしたけど、心がときめくことはなくて逆に心は苦しくなるばかりで私はとんでもない人に初恋をしたんだなと思う。
私の心はいつまでもあなたにとらわれたままで私は恋をすることはこの先ないだろうとこの時思った。
でもあなたとすれ違う日々も本当にこれで終わり。
だって私は故郷であるこの街を出ていくのだから。
あなたと会う機会を確実になくすために大学は遠く離れた場所にある大学を選んだのだから。
しかし、昔に学校を卒業するときに二十歳になったら同窓会を私のクラスは開くことを言っていたことを忘れていた。
あなたが来るとは思っていなくて同窓会に行ってみればあなたがいて、せっかく地元を離れてあなたへの想いや恋心に鍵をかけて心の奥に追いやっていたのあなたに会うだけで私がかけた鍵なんかすぐに外れてしまいあなたへの想いがまた湧き上がってくる。
私はいつになったらあなたから解放されるのだろう。
大学生になっても私が好きなあなたの笑顔は消えてなくてあなたの笑顔や笑い声を聞くだけで泣きそうになる。やっぱり私はあなたが好きで、恋人とか両想いとかじゃなくていいから友達としてあなたと話したりそばにいたいと思ってしまう。
小さい頃はあなたのことが好きでいることが精一杯であなたに話しかけることすらなかなかできなかった。
でも今の私はその頃よりも少しだけ強くなっていて、あなたに「久しぶり」と話すことができた。
でもあなたに話しかけるのはやっぱり勇気が必要で私は普通にしているように心がけたけど鞄を握っている手が震えていた。
あなたがこっちを向いた。
私の心はそれだけで今まで誰にもときめかなかったのにドキッとなった。
「久しぶり。学校が違ってから会わなかったから5年ぶりかな。」ってあなたは言ったけど実際は2年ぶりなんだけどねと、私は思いながらも「そうだね。」と言ってしまう。
同窓会では友達と話しながらもあなたとも随分と話すことができた。連絡先も直接交換することができた。
今の私が小さい頃の私ならあの時あなたに失恋することもなかったのかなって少し思ったりした。
同窓会のなかでびっくりしたのはあなたも地元を離れていて、それも私が選んだ大学の地域の大学に通っていることが分かった。ここまでくると縁というよりも呪いに思えてくる。
あなたへの想いを断ち切りたくて大学をわざわざ遠くにしたのに。
神様がいるなら私は神様にこう言いたい。
『私の心から彼への想いを恋じゃなくて友への想いにして下さい。』
でも実際にそんなことは叶うことはなくて、あなたへの気持ちは恋心から変わることはない。
同窓会の間中私の心はドキドキしっぱなしで、心臓が破裂してしまわないか心配するほどだった。
それに普段はお酒を飲んでも酔ったりしないのに緊張しすぎて珍しく酔ってしまったために普段の私なら絶対に言わないことを言ってしまうし。
言ってしまった言葉は「またあなたに会いたい。」
友人でもないし、振った人からいきなりそんなこと言われたら普通はひくはずなのにあなたは笑顔で「じゃぁ、いつでも連絡できるように連絡先交換するか。」って簡単に言うし。
私も酔っているものだからすんなり連絡先交換してしまっているし。
自分から恋を諦める努力を無駄にするようなことをしてしまったという後悔の気持ちがあふれてくる。
でもそんな気持ちとは反対に連絡先を知ることができて、とてもうれしい気持ちがあふれてきて心の中でぐるぐると気持ちが回っている。
同窓会が終わり、家に帰ってすぐに寝たことで朝には二日酔いすることもなく起きることができたけど酔いも醒めているものだから昨日の自分の行動に後悔している時、あなたから連絡がきた。
『大学の仲間と遊びに行くんだけど一緒にどう?』という遊びの誘いだった。
・・・。確かに酔ったときにまた会いたいと言ったけど昨日の今日で?それに酔った人間のいうことでも気を使ってちゃんと行動に移すのは昔と変わってない。
私は昔と変わっていない彼の行動に心がときめくのと同時に、彼への恋心は記憶がなくなったりしない限り変わることは出来ないと確信した。
恋心がなくなることがないのであれば、諦めるのではなく今度こそ彼と両想いになって付き合えるように頑張ろうと思うことにした。
散々諦めるために努力はしたきたにもかかわらずこんなに再会したりするのは何か意味があるのではないかと思えた。同窓会で会ったときは呪いだとか思っていた自分がこんな考え方をするのは不思議だ。
私は誘いを受けることにした。ただいきなり知らない人がたくさんいるところに一人で参加する勇気がなかったから大学の友達も一緒に誘って遊ぶことにした。
大学で出来た友人は私が彼に初恋したことそしてまだ恋していることは言っていない。
友達と私、彼と彼の友達2人合わせて5人で遊ぶことになり、遊んでみるとこれがとても気が合ってその後も定期的によく遊んだり、飲みに行くようになった。
同窓会で再会してから半年がたった。
その間私と彼の関係というと同級生から悩み事が相談できる友人までには仲が深まったと思う。
5人以外でも2人でよく悩みの相談事をするために飲みに行くことが時々あるぐらいには仲が深まった。
最初の頃はドキドキが止まらなくて、思うように会話することができなかったけど、今ではドキドキすることは変わりないというより、増している気がするけどドキドキしながらでも思うようにしっかりと会話をすることができるようになり、自分以外の人に彼への恋心がばれないようにうまく気持ちを隠すことができるようになった。
半年前の自分に比べると信じられないくらい心が強くなったと思う。
そしてあなたへの恋心が初恋したときよりも、再会したときよりも大きくなっている。
初恋で遠くからあなたを見ていることしかできなかった時よりも、あなたと会話したり、一緒にいる時間が増えたことで昔よりもあなたのことがしっかりと分かるようになってさらに好きになった。
一緒にいることで意外な一面を知ることも増えて、いろんな一面を知ることが楽しみで、そして知るたびにまた惚れてしまう。
例えば寝起きが弱くて寝起きに目をこするかわいい姿とか、あなたは私をキュン死にさせる気ですか?と言いたくなるようなことが多い。
人生の中で一番青春しているといっても良いぐらい毎日が楽しくて仕方なかった。
しかしその楽しい日々は一瞬で崩れた・・・・・。