10 この世界で生きていきますのために 1
お待たせしました!
私はウォルトさんが話し出してすぐに私の膝で丸まって眠りだしたルルを撫でながら、この世界についての教えてもらっていた。
話を聞いていて、この世界にとって精霊はとても大きな存在で、さらに人たちからすれば神にも等しい存在だっていうことがとりあえず分かった。
そんな存在に愛されているっていうことは、チートに近いんじゃないかな。
これは私の予想だけど、この世界の人間は精霊魔法を使うことは出来ないけど私はこの世界の人間ではないから使える気がするんだよね。
でも精霊魔法を使うには何か条件が必要な気がするから、ウォルトさんにその所も聞いてみないと。
この世界の成り立ちと魔法とかについては、なんとなく理解したけど・・・・今の私にとって一番重要なことをまだ聞けてなかった。
「ウォルトさん、この世界についてはなんとなく理解することが出来ました。ご飯をごちそうになった上に説明までしてもらった立場の私がこれ以上お願いすることは、図々しいのは承知でお願いがあります。」
「なんじゃ?」
「私にこの世界で一人でも生きていけるための知識と常識を教えてください。」
私は椅子から立って、土下座をした。
私が立ったせいでルルはそのまま下に、転がって落ちてしまった。
「ッキュ!!キュキュキュ!!」
落とされたことと起こされたことに不満があるようで、土下座している私の背中に乗ってきて髪を引っ張っている。
ルル、あとで何でもするからお願いだから今は私の上に登って抗議しないでぇ。
必死にお願いしているのに構いたくなるから。
私はルルを構いたくなる気持ちを何とかこらへてウォルトさんの言葉を待った。
するとウォルトさんが膝をつき私の肩に手を置いた。
「乃愛、立ちなさい。そんなことをしなくても儂は最初からお主に必要なことを教えるつもりじゃったよ。それにノアが嫌ではなければ世話もさせてくれないかと聞く所じゃったんじゃよ。」
私はウォルトさんのあまりにも優しすぎる言葉に驚いて顔を上げた。
すると目の前には笑顔でこちらを見ているウォルトさんがいた。
「本当にいいんですか。」
「乃愛さえよければじゃがな。」
「よろしくお願いします。」
私はウォルトさんに改めて頭を下げた。
その後、私はウォルトさんに椅子に座り直すように進められ、座り直したのを見てからウォルトさんは改めてこの世界で生きていくために必要な知識を少しずつ教えてくれた。
ちなみに私の髪を引っ張って怒っていたルルにはその後、マッサージと食べ物で許してもらった。
ひとまずウォルトさんの元で私は生きていくための知識を身に着けることにした。