書店のお客様って?
書店のお客は様々な人がいる。私はアルバイトとして入って雑誌担当者になった。朝一で荷をバラマキそれを並べて整理整頓する仕事と明日入荷する雑誌の先月号の抜きが仕事だ。私と同じ雑誌担当で晴子さんというアルバイトがいた。私が雑誌を並べていると少し変わったお客が晴子さんに何やら頼み事をしている様子。
そのお客様は通称アダルトチルドレン。
話を聞いた晴子さんはどこかに電話を掛け始めた。 しばらくたってアダルトチルドレンに何やら断ってる様子。
戻ってきた晴子さんに私は声をかけた。
『さっきのお客さんどうかしたんですか?』晴子さんは笑って信じられない発言した。『お客さんが就職にも就けず、謝金まみれの全くモテナイ男のコミックがあって俺みたいだから探してくれ頼まれたから出版社に電話したんだよ。』私は目を丸くして『あったんですか?』と質問。『嫌。絶版だったから断ったんだけどね。』と言って仕事についた。
そうなのだ。このお客さん、アダルトチルドレンは少し変わったお客様。
頭の毛は薄く、黒ぶちのメガネをかけ一見普通のサラリーマン風なのだがアダルトチルドレンの事件はまだこれでは終わらない。数ヶ月たったある日。
夕方から書店は込み始める。
同じアルバイトの古沢ちゃんと一緒にレジを打っていた。仕事帰りのお客様が雑誌やコミックを買っていかれのでかなりの忙しさ。 そんなクソ忙しい中、奴は現れた。
いつもの様に無愛想、無表情の出で立ちの彼はレジの前に来て『求人雑誌はどこにありますか?』と訪ねてきたから『レジの前にあります。』と指をさした。 レジには会計待ちのお客様がずらりと並んでいる中、アダルトチルドレンはその行列をふさぐかの様にしゃがみ込み求人雑誌をめくりだした。
お客様が居なくなり落ち着いた所で私は古沢ちゃんに『何。アイツ。客が並んでいるのに、レジの前に座り込んでムカつく。』
それを聞いた古沢ちゃんは『アダルトチルドレンだから仕方ねぇんじゃねん。』その言葉に私は思わず吹き出してしまった。
その後もアダルトチルドレンは教習所でも教本にエロ写真を貼ったり、仕事中に胃癌の本を読んで仕事をクビになったりと大変面白いお客様である。
今後もそうであって欲しいと思う私であった。