ヤンデレの朝は早い
昨日は色々あったけど、今世で一番幸せな日だった、しかし、睡眠欲はどんな日にでもあらわれるらしい、両親の抱きつき攻撃からの好き好きコール、さらに高い高いや、頬擦りをまともにくらってしまった僕は疲れはて、ご飯を食べた途端に寝てしまった。
そして目が覚め今は朝の4時半、朝の準備を始めるとしよう。
まずは朝食の準備、以下略
次に顔を洗い、歯を磨く以下略
最後に髪をくしでとき、着替える
貧相な幼児体型など、需要はないので以下略
あったらあったで変態だ。
そして、本日朝のメインミッション。
『彩希と一緒に登校』
だ、慎重にいこう。
現在時刻は六時ぴったり、日はもうとっくに出ている、まだ寝ている両親をおこさないように家をでる、勿論書き置きは忘れない。
先ずは彩希の家の前に立つ、経過を見守ろう、ここでチャイムを鳴らしたら全てが台無しだ。
~三十分後~
まぁまだ、出てこないよね、家を出て学校まで三十分だし。
にしてもなかなか寒い、今日は曇っているし気温が低いみたいだ、点擦り合わせて、玄関の扉の前に座る。
~一時間後~
まだ出てこない、そろそろ七時だ、体が冷えてきた。
寒い。
~二時間後~
さ、さむい…早く出てこないかなぁ…
ガチャ
あっ!
「お、お、おはよう彩希、よ、よよよかったら一緒に学校までい、いこう?」
「……………ちょっと幸…あんた何時から家の前にいたの?」
あ…僕やっちゃった…何時間も家の前にいて、出てきた瞬間はなしかけるなんてストーカーじゃないか、これじゃ嫌われてもしょうがないよね…。
「うぅ…ごめんなさい…キモいよね…僕、僕」
「あーもう!こんなに冷えちゃって!いくら春だからって朝からずっと外いたら風邪引くでしょ、まったく」
と、いって彩希は僕の手を両手で包むように握る。
「ちょ、ちょっと幸顔真っ赤よ?風邪引いたんじゃない!?大丈夫!?」
「う゛…これは違うくて…だ、大丈夫!」
と、僕が言うと彩希は、僕の頭を掴み、自分の方へと無理矢理向けさせた。
「明日から私が幸の家に迎えにいくから絶対家で待っときなさいよ?わかった?」
「う、うん…」
か、顔が近い…。
彩希と僕の顔はお互いの吐息が顔に触れるくらいに近かった。
「本当に熱あるんじゃないの?……」
コツン、と彩希のおでこが僕のおでこに触れた。
「~!?」
「あっつ!?ちょ、来なさい!!」
あ、あ、あ、あ、彩希!?
あわわわ…!
………きゅう
……………………………
何やら頭のしたに柔らかさと弾力をあわせ持ったような不思議で気持ちのいい感触を感じる。
顔が熱い、どうやら熱が出たらしい、息苦しいし喉はからからで寒気がする…。
にしてもこの感触はなんだろう…。
そっと目を開ける。
目の前には彩希がいた。
…………なんだぁ夢かぁ…
「えへへー彩希ぃー」
夢の中なんだ今だけでも甘えるくらい神様も許してくれるでしょ。
目の前の彩希にてを伸ばし首に抱きつく、そのまま首筋に頭を埋めすりすりと頭を擦り付ける。
「好きぃー」
夢の中だから言える…いつか本当に言えたらなぁ…。
彩希が頭を撫でてくれる、まるで小さい子供をあやすようにゆっくり丁寧な手つきだ。
そんなやさしい、彩希の手で僕の意識はゆっくりと落ちていった。
………………………
んぅ…何だかいいにおい…まるで彩希みたいな……って僕は一体?
「あ、起きたのね?ビックリしたわよ、急にもたれ掛かって来たかと思ったら幸気を失ってるんだから」
「ふぇ…?彩希…ここどこ…?」
「私の部屋よ、それもベッドの上」
「へ?……うぇぇぇぇ!?」
「騒がない騒がない、病人なんだから熱38度もあったのよ?」
うぅ…僕彩希になんて迷惑を…
「そんな泣きそうにならないで、全然迷惑だなんて思ってないから」
「う゛う゛…あぎぃぃぃ…」
「泣かないのーほらーよしよし」
彩希に背中を擦ってもらうと、自然と直ぐに落ち着けた。
「さて、と、幸の家って向かい側よね…」
「うん………ひゃっ!?」
「おぉっと、暴れないでねすぐつくから」
なんと彩希は僕をなんてないことのようにお姫様だっこで持ち上げた、その細い腕からどんな力が…。
そのあとは、恥ずかしくて顔があげられなかったけど、彩希は僕を家に送ってくれた。
僕の両親は彩希に感謝の言葉と迷惑をかけたと、謝罪をしていたが、いいですよ、と言って去っていった。