ネルの大森林2
ラニは腰に差している愛刀『正宗』に話かける。
話しかけるといっても声に出すのではなく念話というべきか。
『BEO』がデスゲームとなったその日から一部の武器、防具が意思を持つようになっていた。そして、念話の段階までにいたるにはその『アイテム』に『主』と認めさせなければならないのである。
「マスター。お呼びでしょうか?」
『正宗』の声が直接頭に響く。
「起きてたか」
正宗は四年前『東宝の迷宮』で見つけた『神刀』である。ちなみに女性ぽい。
『神刀』とは-
『BEO』武器にはランクが存在する。『正宗』で例えると、『無銘の刀』『刀』『名刀』『霊刀』『宝刀』『神刀』まで6段階のうち最高ランクの『神刀』である。また、自由に最高ランクより下のランクに変化が可能になっている。これはPT内での強さのバラツキを無くすための能力でもある。
またこのランク変化はプレイヤーにも適用でき自分のLv以下に自由に変化可能となっている。
『最も邪悪なる者』との戦闘から現在までのことを説明する。
正宗も戦闘のことを覚えていたが、光に包まれたあとラニに声をかけられるまで眠っていたようだ。
「なるほどそういうことですか・・・残念ながら私にはわかりません」
「そうか・・・正宗なら何か分かるだろうと思ったんだが・・・」
「申し訳ございません・・・」
少し、しょんぼりしたような声を出す正宗。
「ん・・・気にしないでくれ。俺もわからないからな。」
ある程度予想して答えだ。
これからどうするか考えていたとき
「マスター。刀のままだと現状不便ですので『解放』〈リリース〉しますね」
「『解放』〈リリース〉?」
聞きなれない言葉を正宗がいうと、突如光だし目の前が光に包まれる。思わず目を閉じる。
「お待たせしました」
正宗の声が聞こえた。
念話ではなく直接耳で聞こえたのだ。
目を開けると見たことのない美人がたっていた・・・