ネルの大森林
「ここは・・・どこだ?」
ラニは周りを見渡すとつぶやいた。
どうやら木にもたれかかるように気を失っていたようだ。
とりあえず状況の把握が必要だ。
「まず装備品・・・体の痛み・・・異常ないな・・・記憶は・・・」
そういうと何故こんなところにいるのかを思い出してみる。
最後の記憶は『最も邪悪なる者』と戦っていたはずだ。
【ブレイブ・エンド・オンライン】〈以下BEO〉がデスゲームとなった日から、5年後に発見された『最後のダンジョン』・・・最下層の地下50階にて確認されたレイドボスである。
このボスがゲームクリアの「カギ」といわれていたため。多くの討伐PTが結成された。しかし多くのPTが最下層にたどり着く前に力尽きた。最後までたどり着けたのはラニを含め七名の仲間のみであった。
『最も邪悪なる者』との戦いはまさに死闘であった・・・膨大なHP・・・無限とも思われるMP・・・そして広範囲にわたる攻撃・・・そして一定時間ごとに出現するレイド部下達・・・
どれぐらい戦ったであろうが・・・戦線が崩壊するかと思われたとき遂に終わりがが訪れた。
仲間の放った死力をつくした魔法がついに『最も邪悪なる者』を倒したのだ。
そして突如『最も邪悪なる者』が光だし周りが激しい光に包まれた。
そしてそのまま光に包まれ意識を失った・・・
「奴が言ってたな・・・『これからが始まりだ』」
『最も邪悪なる者』を倒したとき奴がいった言葉だ。
これの意味を考える暇なく、光に包まれ気を失ったのである。
「どういう意味だ?」
しばらく考えていたが、深く考えるのは性格じゃないとと思い、その場に立ちあがる。
「まずは位置の確認だな」
そういうとラニは、システムコマンドにあるマップ選択しを目の前にマップを表示させる。
しかし、そこに表示されたのは「ネルの大森林」だった。
「うん・・・知らない名前だ」
【BEO】では一度行った場所は自動でマッピングされる。
ラニの場合全てマッピング済みであり未踏の地はない。
つまりここはラニの知らない地であることがわかった。
「そういえば・・・」
ふと思い出しギルド内チャットを思い出す。
これは同じギルド内であればどこにいても会話が出来る仕組みになっている。
『最も邪悪なる者』を倒したのは、同じギルドメンバー四人とラニ、同盟ギルドの二人である。
少し期待しながらチャットを使い呼びかける。
「誰かいないか?応答頼む」
10分ほど待っていたが応答はない。
なんとなく応答はないだろうと思っていたので次にステータスを確認する。
・剣聖Lv99
・忍聖Lv99
・魔導士Lv99
Lvは変化なし
・武器 神刀『正宗』
・防具 神鎧『黒龍の革鎧』
・マント 神外套『黒龍のマント』
「変わった所はないな」
思い出したように腰に下げている刀・・・『正宗』に呼びかける。
「正宗!正宗おきろ!」