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……見通しが甘かった。
ワタシたちの世界に比較的寛容な国でさえ、体を維持することができない。
このままでは、意思までもが消えてなくなってしまう。
それでは、全てを託してこの世界へと送り出してきた仲間たちに申し訳ない。
何とか、しなければ。
奴らは、人間と同化することによってこの世界での体を維持している。
ワタシたちも基本的には奴らと同じ。
なら、同じようにすればいいのだろうか?
……おそらく、不可能だろう。
奴らに汚染されている今のこの世界では、純粋にワタシたちの世界のことを想う心を持つものなど……簡単には見つけられない。
誰もが、毒されてしまっている。
信じていても、心のどこかで疑っている。
それでは、できない。
それに、同化はリスクが大きい。
万が一できたとしても、同化した者に多大な負担をかけてしまう。
世界を救うためとはいえ、人間の犠牲者は作りたくない。
だけど、協力してもらうという時点で、その人には危険なことに関わらせてしまうわけか。
できることなら、誰にも負担をかけずに世界を救いたい。
……それも、見通しが甘いのかも知れないな。
(――ん? あの光は……)
もう開けることさえも叶わないかと思っていた口が開いた。
それだけ、力強い光が見えたのだ。
純粋というより――偏執的なまでの想いだ。
だからこそ強いのかも知れないが。
これだけ多くの人間が、ワタシたちの世界を愛している。
それはある意味頼もしくもあり、ありがたいことでもある。
ここにいれば何とか意思は保つことができそうだ。
ただ、それでも声が届くほど純粋な想いを持つ者が見当たらないのが残念でならない。
……これだけの想いの中で見当たらないということは、協力者を求めるのは絶望的にさえ思える。
「し、知らなーい!」
諦めかけたその時だった、一際輝く光の中から透き通った女の子の声が聞こえた。
輝いているのはその女の子だけではない。
隣にいる、大人の男の人も同じだった。
この子なら、声が届くかも知れない。
この子たちなら、協力してもらえるかも知れない。
それに何より、この子たちの純粋な心は、ただそれだけで意思を強く保たせてくれる。
――見つけたのかも知れない。
――二次元の世界を救える者を――。