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「ダルコミートの小窟③」




「…ボ、ボス級が4体だって!?

まさか!…そんな情報は聞いてないぞ!?」


ジェイは一転し、動揺した様子で声を上げる。

ボスのエギドラルオークは

5メートルはあろうかという巨体を有するオーク型モンスター。

両手には二本の巨大な斧を持っている。


その前方に一体、両わきに一体ずつ、3メートル級のモンスターがいた。

こちらもオーク型。斧は片手に一本。



「そ、そんな!?なんで?」


サクラは不安そうな声を上げ、後ずさる。


「……。考えられるとすれば…エレパーティーの影響か……

もしくは…仕様にランダム性が絡んでるか…」


ケイズも剣を構える。


「おいおいおい、どんだけ初心者に優しいんだぁ!?ここは!」


ガルヴァも剣を抜く。


ザッ、


パーティーの中からいち早く前に出たのはザリアだ。


「ククク…これは面白い…」


(……おいおい、この状況で笑えるかよ?普通…………)

ガルヴァは驚きの視線を送る。


「お、おおお、おぬし!待たれよ!!」


ザリアを引き止めたのはキジョウだ。

キジョウは、表情に動揺の色が隠せない。


「…なんだ?」


「言ったであろう!我が指揮をとる!かか、勝手に動くでない!

てててて、敵の大将は我のパーティーがやる!」


「キ、キジョウ様…!?」


「う、うるさい!やるのだ!

他のパーティーは周囲を片付けい!ヒーラーは主に我のパーティーの援護じゃ!」


そう言っている間にも、モンスターは近づきつつある。


「…チッ、好きにしろ」


ザリアは左のゴレオーク目掛けて剣を構え走っていく。


「俺とガルヴァは真ん中をやる!

ジェイと他のみんなは右を!ヒーラーは全体の援護を頼む!」


ケイズがまっすぐ走っていき、それに遅れずとガルヴァも続く。


「ほいきたあ!ヒャッハー!暴れるぜぇぇぇ!!!」


「…了解…」


フェルローデはすぐさま呪文詠唱を始めている。

呆気にとられていたジェイも我に返る。


「…、い、いかん!俺らも動くぞ!右だ!サクラはその場で全体を援護!」

「…は、はい!」

「…ぃ……」


ソイルはジェイの後に続く。


「お、俺らも行くぞ!」

もう一組のパーティーも右へ向かって走り出す。


「わわわ、我らは大将の首じゃ!!」

キジョウPTはふらつきながらも、進みだした。



「はぁぁああああ!!」


ガキィィィン!!


ケイズは勢いを乗せて、ゴレオークに猛然と切りかかる。

ゴレオークはそれを斧でガード。

そこへガルヴァが滑り込んだ。


「下がお留守だぜえええ!!!」


ズガッ!!!

「ガアァァァ!!!」


脚部へ剣撃が命中するも、まだゴレオークの勢いが衰える気配はない。


「ケッ!!硬さもそこらのモブとは比べモノにならねえ!」


「…おそらく、こいつらのレベルは俺たちのレベルで変動してる。

どうやったって楽はできないさ」


ケイズも剣を構え並び立つ。


「おーう、そりゃ怖え怖え!……ん?なんだこりゃ?」


ケイズとガルヴァの体が、赤い光に包まれ出す。


「これは…アッパー系の魔法!?

もうこれを使える段階のヒーラーがいたのか!?」


少し離れた場所から、フェルローデが詠唱していた。


「おおお!これが力が湧いてくるってやつかあ!すげえぜ!」


「ガアァァァ!!!」


ズガァァァァン!!!


ゴレオークの斧が凄まじい勢いで振り降ろされ、二人はそれを横へ飛びかわす。


「ガルヴァ!聞こえるか!」


「おうよお!」


「連続モーションは、対人戦では見切られやすいが、

モンスター相手には有効だ!

こいつをいったんエギドラルオークから離すように陽動したら、

左右から一気に決めるぞ!」


「よっしゃ!わかったぜえ!!」






「エ・ムト・フィル!!」


炎がゴレオークを包む。

が、絶命させるにはまだまだ至らない。


「うおおおおお!突撃だああ!!」

「おりゃああああ!!!」


一瞬ひるんだ隙を見て、ジェイと仲間たちが集団で切りかかる。


「ガアァァァ!!!」


ブウン!!!


ゴレオークの巨大な斧が一振りされ、パーティーメンバーをかすめ

メンバーの動きが一斉に止まる。


「グッ!?」

「ヒィィイ!!」

「ここ、怖ぇ…」


あまりの迫力に、ジェイも思わず尻込みをする。


「…………………………。

ウヒョー…、これがフルダイブのボス戦闘かよ…

スリルどころの騒ぎじゃないぞ…こりゃあ………………………


だがここは、おっさんの意地!見せてやらねえとなあ!!」


「お、俺らもいくぞ!!」


ジェイが果敢に切りかかり、他のメンバーも後に続いた。







ドガアアアァァン!!!!!


「うわああああ!!」


ボスのエギドラルオークに、プレイヤーが弾き飛ばされる。

キジョウのパーティーの魔法使いだ。


「こ、これおぬし!何をしておるか!?

そそそそそ、その程度でひるんで如何にするのじゃ!?」


キジョウは戦いの少し後ろで大声を上げている。


「ぐううう…」

「キ、キジョウ様…!や、やはり我々だけではどうにも!」


「何を申すか!うつけ者!我らの力を思い知らせてやる時ぞ!」


「…は、はい!」

魔法使いは呪文を詠唱する。


「ダサラ・ガ・ルート!!」


ズガアアアァァァン!!!


エギドラルオークに雷が直撃。


「ゴァガァァァァァアア!!!!!!」


が、エギドラルオークはさらに勢いを増すばかりだ。


「きかぬと!?な、なんとした事か!?」


「ゴァガァァァァァアア!!!!!!」


「う、うわああああ!?」


ズガアアアァン!!!


呪文を詠唱した魔法使いも巨大な斧になぎ倒される。

二人の魔法使いは虫の息だ。


「ううう…」


「ヒ!ヒィィィイイイ!?」

キジョウは後ずさりする。


「キジョウ様!? ううう………。

……………ん?…………………………この光は???」


倒れている魔法使いを黄色い光が包む。


「エア・ヒール!! …大丈夫ですか!?」


「おお、回復魔法…ありがたい…」


二人の魔法使いは、サクラの回復魔法によってからくも体勢を立て直した。


「お、おお!よくやった!娘!」


「キジョウさん!きっと、もうすぐ誰かが加勢に来てくれます!

それまで、どうにか持ちこたえてください!」






「左右で挟んだ!!いくぞ!ガルヴァ!」


「しゃあ!!やってやんぜ!!

どおりゃぁぁぁああああああああ!!!」


ケイズとガルヴァはゴレオークを左右に挟み、同時に連撃を繰り出した。


「ガアァァァ!!??」


二人の剣連撃に挟まれ、ゴレオークは身動きができない。


「どおおりゃああああああ!!!!」

「倒れろおぉぉ!!」


ザシュ!ドカ!ザシュ!ガシッ!!


「ガアァァァ!!!!!!」


二人の連撃は見事に全弾ヒット。

ついにゴレオークは倒れ、消滅エフェクトと共に消え去った。


「…や、やった!しゃあああああ!!」

ガルヴァは大きくガッツポーズを取る。


「…まだだ!!」

ケイズは辺りを見回す。





「エ・ムト・フィル!!」

「エ・ムト・フィル!!」


「ガアァァァ!!!!!!」


二人の魔法使いによって、ゴレオークは巨大な炎に包まれる。


「どおおおおおりゃああああああ!!」


ザシュ!


「ガアァァァ!!!!!!」


ジェイが止めの一撃を放ち、ゴレオークは倒れた。


「…ゼェゼェ………な、なんとか仕留めたか…ゼェゼェ…

……お、お前ら生きてるか?」

「うーっす…」


ジェイと共に戦線で戦っていたパーティーは、誰もがダメージを負い、

その場に立つ事すらおぼつかないという様子だ。


「エアリアル・ヒール!!」


フェルローデの詠唱と共に、その場全体が黄色い光に包まれる。


「これは……範囲回復魔法?

お、ケイズんところのねえちゃんか!ありがてえ!」


「他への支援を!」


「そ、そうだった!まだ終わってねえ!ほらほら、お前ら起きろ!行くぞ!」




「ジェイのところはやったか。あと残るは…」


「ボスだけだ」


ケイズの隣にザリアが現れる。


「あ?ザリア!?お前、ゴレオークは!?」

ガルヴァが話しかける。


「始末した」


「始末したって…………1人でか…!?…」


「ま、そうだろうな」

そう言うと、ケイズはエギドラルオークの方向に視線をやる。





エギドラルオークに対峙しているのは、キジョウ1人だった。


「ヒ、ヒィィィィイイィィ!?よ、よるでない!バケモノめええ!」


キジョウは混乱し、ただ闇雲に剣を振り回し、叫び声をあげるのみ。

エギドラルオークはキジョウの目の前にいながらも、

その場で微動だにせず、斧を振りかぶる様子もない。


サクラは少し離れたところで、倒れているキジョウPTの二人の魔法使いを回復していた。


「もう、この人たちも私もMPがありません…!どなたか、キジョウさんを!」


サクラは声を上げる。

ケイズ、ザリア、ガルヴァ、ジェイ、その他PTの前衛は、

同時にエギドラルオークに向かって走り出した。


が、その時、走りながらもケイズにひとつの疑問がよぎる。


(…なんでエギドラルオークはあの場から動かないんだ…………、

……………………まさか!?)


「おい!キジョウ!!何でもいい!攻撃するんだ!早く!」


「ヒィィィィ!!悪霊退散!悪霊退散!」


ケイズは声を上げるが、キジョウの耳には全く入っていない。

キジョウは腰が抜け、その場でひたすら剣を宙に向け振り回している。


「…!……チイッ…!そういう事か!間に合うか…!?」


ザリアも異変に気づき、さらにスピードを上げる。


「だめだ!間に合わない!みんな、ガード体勢だ!」


「ガード体勢!?

オークは動いてないんだぜ!?このまま全員で押し切れば……」


ケイズの忠告に、ジェイその他メンバーは、今ひとつ戸惑いを隠せない。


「あれは動いてないんじゃない!!呪文詠唱だ!!」





「ゴアア゛ァガァァアア゛ア゛ア゛!!!!!!」





突如エギドラルオークの体が光だし、周囲に強力な電撃が現れた。

電撃の規模はみるみるうちに大きく膨らみ、ある一点を超えたところで、急激に放電。


強力な雷となって、フィールド全体に電撃の嵐が容赦なく襲った。





唐突に豆知識のコーナー!~

フェザードリィマイス・オンラインにおいての外見は、リアルでの空間スキャニングをもとにした、リアルの顔が基本です(細部はコンピューターによる上昇補正が入ります)

髪型、髪色、瞳の色、肌の色等は自由自在。身長や体格も、ある程度なら変更可能。

ただし、リアルとの性別の変更は不可です。

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