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とりっく・あんど・とりーと

作・篠宮

「微ファンタジー」・「恋愛」

どうぞよろしくお願いします!



私の部屋には、異世界の人がいる。


信じてはもらえないだろうけれど、異世界人なのだ。


ある日会社の打ち上げで、ぐでんぐでんに酔っぱらった私。


へろへろになりながらやっとの事で自宅アパートに戻った私は、居間に入った途端立ち尽くした。


「……誰?」


居間に使ってる部屋のど真ん中に、その人は立っていた。


「え……?」


これまた呆然と。









「これは、なんだ?」

「んー?」


こっちは昼ごはんの用意してるんだから、邪魔しないでよね。

ったく、ご飯も作れないとか何さまよ! 居候め!


そんな事を考えながら適当に返答すると、見えないけど確実に不機嫌オーラを醸し出す異世界人。

ひしひしと感じる視線に、諦めてちらりと顔を向ける。

「これ」

やっと私が見た事で機嫌を直したのか、異世界人は手に持っていたチラシをびしっと私に向けて突き出した。

「ハロウィン?」

かぼちゃランタンの写真と共に、でかでかとハロウィンパーティーの案内が掲載されていた。


「はろうぃん?」

「……知らないの?」

「こちらの世界からの渡り人がもたらした知識に基づいて、整備されたものもあるが……これは聞き慣れない言葉だ」


「ふーん」


異世界人の言葉に、適当に返事をした。


数週間前にやってきた異世界人は、元の世界では大魔術師とかいう肩書を持つ男だった。

酔ってハイテンションになっていた私はどう考えても不審者だと言うのに、薄紫の長い髪を見て「紫の人!」と叫んだり、着ている裾の長いローブをひっぱりながら「脱いでみろ! 僕って脱いだらすごいんですとか言ってみろー!」と叫び。

挙句の果てに、「帰れるようになるまで、しばらく置いてくれ」と言ったこいつのその言葉に「おうっ、任せておけ!」と男前な返事をしたらしい。





なぜ「らしい」か。

それは全く覚えちゃいないからだ。

翌朝ソファでひっくりかえっていた私は、目を覚ました途端自分を覗き込むこの男の姿に本気で度肝を抜かれたもんさ!


お酒はね、飲んでも飲まれるなって、本当に至言だと思うね。


それでも奴を追い出さなかったのは、出て行け! と喚く私に見せられた、細長い杖。

その杖が映写機にでもなったかのように、壁に映し出された昨夜のやり取り。

えぇもう、その杖すんごく調べたね。

めちゃくちゃ調べたよ。小型カメラでも仕込まれてるんじゃないかって。

凄い時間をかけて調べたけど、私から見たらただの杖だった。

なのに映写機になるとか、これが魔法かよ。


orz←これ、体現したね。


証拠も言質もある上に魔法を見せられて、その上話を聞いて仕方ないと納得したのだ。

元は渡り人をこちらに帰すための道を作るだけ予定が、誤って自分までこの世界に飛ばしてしまったらしい。


阿呆。


そう呟いたら、背筋が凍るほどの笑みを貰ったさ!

恐いね、笑顔が怖いとか凄い嫌な奴だね。






「はろうぃん、ねぇ。こんな真っ黒なマントを野菜に着せて何が楽しいんだ、暑苦しい」

もう一度チラシに目を落とした異世界人は、ぼやくように呟いた。

いや、あんたのローブ姿も中々暑苦しそうでしたよ。

確かに色は薄い水色だったけどね。


この異世界人は水と風と月の加護を持っているとかだそうで、それに準じた色の服装を儀式では纏うそうだ。


「ほら、私も暇じゃないから邪魔しないで。ハロウィンに興味があるなら、これでも読んでなよ」

そう言いながら冷蔵庫の横に置いてあるチラシの中から、数枚取り出した。


ここ最近忙しくしていたから、忘れてた。

そういえば明日じゃない、ハロウィン。

そこまで考えてから、私は絶対それは口にすまいと決めた。



「これもハロウィンのチラシ。よく読んで、向こうで広めたら?」

「……ん?」

不自然に遅い返答は、私の意図がばれたか。

「でもイベントに連れてけとか言わないでよね、私ってば暇じゃないし」

そこはきっちり確認しておかないと、この異世界人は興味のまま知識を得ようとするから……。



脳裏に浮かんだのは先週の事。

街並みに興味を惹かれたこいつの所為で、丸一日ドライブを強いられたのだ。

連休の無い私にとって、1日の休みをドライブで終えるとか地獄だったさ!




「……あぁ」

そんな私の内心に気付いてかどうか、突き出されたチラシを勢いに押されたように受け取った異世界人は、何かに気が付いたように首を傾げた。

「とりっく……」


あぁ、面倒クサい!


黙らせようとして渡したチラシで質問されたら、本末転倒じゃないの!

俄然無視して次は鮭のそぼろでも作ろうと思った私は、じっと向けられている居心地の悪い視線に目を眇めた。


「トリック・アンド( ・・・)・トリート」

「……?」


いきなり言われた言葉を聞き取れなかったのか、振り返った先の異世界人は小さく首を傾げた。

私はそれを一瞥してもう一度口にすると、パックに入った鮭を皿に取り出した。


「お菓子ちょーだい。悪戯もしてあげる」


「は?」


不思議そうなその声に、もしかして本当の言葉知ってるのか? と思ったけれど次の言葉でその懸念は霧散した。


「……恐ろしい慣習だな」


驚いただけか。


一瞬冷や汗をかきそうになった私は、気を取り直して大げさに頷いた。

「そうそう。だから、チラシだけで我慢して。悪戯されたくないでしょ」


本当は、トリック・オア・トリート。

確か”御馳走してー、さもないと悪戯しちゃうぞ”だった気がするけど。

日本のイベントじゃないから、すっごいうろ覚え。

大体そんな事言ったら、お菓子もって見に行きそうだし。

地獄のドライブが、脳裏をよぎる。


異世界人は納得したのか、至極素直に頷いた。


「分かった」


そうして、食い入るようにチラシに視線を落とした。

その姿に、ほっと息を吐いて鮭に向き直る。


面倒な事、この上ない。


……だけど。




力が満ちた日、この異世界人は自分の世界に戻るという。

たった数週間の付き合いだけど……



「寂しいなとか思っちゃうのって、情だよね……」



呟いた声は小さすぎて、自分の耳にさえ届かなかった。












「今日は遅番だから、九時位に帰るからね」

「分かった」

いつもと同じ時間、いつもと同じ言葉。

習慣化してしまった、

「いってきます」

の、言葉。

「いってらっしゃい」

の、返答。


ドアを閉めて、歩き出す。


安普請なアパートなんて、防音設備なんてあるわけがない。

騒がしく聞こえる隣人の音、自分のパンプスの上げる音。

色々な騒音の中、ふと気が付いて振り返る。


「……?」


今、自分が閉めたドアが開いていて、そこに立ってこっちを見る異世界人の姿。

はじめての行動に、首を傾げる。


「どうしたの?」

不思議そうな自分の声に、異世界人は微かに目を細めた。


「名前、まだ教えてくれないのか? 結構、不便なんだけど」

その言葉に、ドクリと鼓動が跳ねる。

けれどそんなそぶりは見せず、踵を返した。

「私は不便じゃない」

それだけ、言い捨てて。









職場に着けば、やる事はいっぱいだ。

仕事が始まれば、何も考えなくて済む。


考えなくて。

……考えなくて。


考えない様にしよう、そう思ってること自体、思考のほとんどを占めているのだとここ数日で思い知らされた。



――名前、まだ教えてくれないのか?


朝、問われた言葉を思い出して目を伏せる。

それは、ここ数週間で幾度も聞かれた事。



名前は。

その人の存在を認める、ことば。

例えば。

同じ世界の人なら、私は何の躊躇もなく名前を告げただろう。

そして、彼の名前を聞いただろう。


けれど。


「……異世界、かぁ」


彼は、いなくなる人だ。


胸に広がる苦い気持ちに、私は目を瞑った。












「トリック・オア・トリート!」

店を閉めて家路を急いでいた私は、突然言われた言葉に驚いて足を止めた。

向けた視界に突き出される、大きな飴。

昔、子供の頃に憧れた渦巻のペロペロキャンディ。


「え?」

瞬きをしながら飴の向こうに目をやると、そこには可愛らしい魔女の衣装を着た子供達の姿。

「おねーさん、お菓子あげる!」

その勢いに思わず飴を手に取ってしまった私に、その小さな魔女たちはにこやかに笑って走り去っていった。

ハロウィンの催し物でもあるのだろう、色々な仮装をした子供達が公民館に入っていく。


……反対なんじゃない?


手に残った飴を見ながら、くすりと笑う。

可愛らしい魔女さんに、いいもの貰っちゃった。


笑んだまま再び家へと歩き出す。

見上げる空には、綺麗な月。

「今日は、満月。……かぁ」

ハロウィンで、満月で。


出来過ぎたシチュエーションに笑って、飴を鞄にしまった。





初めて異世界人を見た時、こんなに綺麗な人がこの世にいるのかと思った。

話してみたら、綺麗とは真逆の面倒くさい性格だったけれど。


嘘臭い話だったけれど、私が信じたのは、彼の真剣なその眼を見たから。

感じたから。


そして――


一緒にいれば、その人となりを感じることが出来る。

彼は、彼なりに一生懸命だったのだ。

こちらの世界の人を、元の生活に戻すために。



知れば知るほど……



辛くなった。


手を伸ばしても、掴むことのできない彼の存在に、苦しくなった。



「とりっく、あんど、とりーと……か」



昨日、彼に伝えた言葉を口にしてみる。

外に出したくないからって、酷い事を言った。

きっと彼は、この世界の事を何でも知りたいはずなのに。



そう罪悪感を感じながら、いつの間にか辿りついていたアパートの部屋のカギを開けた。




「おかえり」




「……」



そこにたたずんでいたのは。



「……帰る、の?」



最初見た、薄い水色のローブを纏った彼の姿。

右手に持つ杖の中ほどに埋め込まれている透明の石が、月の光に淡く輝いている。




「力が、満ちたから」




そういえば、そんな事を言っていた。

水と風の力が満ちるって、どんなことだろうとか思ってたけれど。

彼はちゃんと言ってたじゃないか。

”月の加護”、と。

そう言えば、彼がこの部屋に現れたのも、満月の夜だった。



私は鼻の奥がツンとするのを誤魔化そうと、目を伏せながら部屋のドアを閉めた。

「そっか。よかったじゃない、帰れるんでしょ」

「あぁ」

淡々と紡がれる言葉は、静かに伝わってくる。


「とりっく・あんど・とりーと」


泣きそうになる私のすぐそばで、そんな間抜けな言葉が響いた。

いつの間にか傍に来ていた彼が、驚いて顔を上げた私を覗き込むように見ている。



とりっく・あんど・とりーと



……自分で言った言葉に、笑っちゃう。


「ごめん、それね……」

「とりっく・あんど・とりーと」

謝って訂正しようとした私の言葉を遮って、彼はもう一度、はっきりと口にした。


私は何かあったかな、と鞄に手を入れて気が付いた。

そういえば、さっき飴貰ったっけ。

手に触れた棒を指先で引っ張り出すと、勢いのまま目の前に突き出した。

「ほら、お菓子。だから、これで……」

「……お前の名前は」

「え?」

やっぱり私の言葉を遮る彼からは、静かだけれど逆らえない威圧感を感じて、こくりとつばを飲み込んだ。

それに気が付いているのだろうに、異世界人はもう一歩近づいて杖で”コンッ”と床を叩く。

とたん床に浮かび上がる、白い円。

何か細かい模様があるという事は、これがかの有名な魔方陣という奴ですか。



そんな感じで現実逃避をしていた私を、引き戻すのは彼の声。



「とりっく・あんど・とりーと……。な、お前の名は?」



お菓子はあげたから、悪戯か名前かって事?



「……今更」


ぽつりと零した言葉に、異世界人は苦笑した。

そうして、私に言葉を落とす。

それは心に直接響くかのような、穏やかで静かな波紋。


「最後に、名を」


――最後


その言葉に、ぶわりと彼のローブが風をはらむ。

魔方陣を取り巻くように渦巻く風に、私の髪が揺らいだ。


微かに発光し始めた杖の先で、彼はもう一度床を叩く。

硬質な音に、私はなぜか追いつめられたような追いかけたいような相反する気持ちに襲われた。

それはきっと、視線の先の彼の表情が、見た事もないくらい悲しく揺れていたから。


最後。

最後だから。


霞み始めた異世界人の目を、ゆっくりと見つめた。



「加奈子……、佐倉 加奈子」



「……さくら かなこ」



おうむ返しの様に繰り返した奴の口角が、くっと引き上げられたのに目を瞠った。

渦巻く風が、私をも包み込む。


「さくら かなこ。我と、共に」


「え……?」


聞こえた声と、引き寄せられる体。

背中にまわった腕が、私を受け止めた。


「ここに、帰還する」


渦巻く風が一層激しさを増して、私は目を瞑った。













「かなこ。もう、目を開けてもいいぞ」


異世界人の声に、瞑っていた目を恐る恐る開けた。


「……どこよ、ここ」


ひらけた視界に映ったのは、あり得ない風景。

中世ヨーロッパのような街並みは、少なくともここが日本ではないという事を如実に物語る。

「ようこそ、俺の世界へ」

「へ」

間抜けな声を出してしまったけれど、それは自分の答えを肯定しただけだった。


愕然としている私の腕を掴んだまま、異世界人は勝手知ったるように歩き出した。

周りを見てみればどこか建物の屋上だったらしく、外階段のように括りつけられている場所から屋内へと入る。

その途端……


「お兄さま、お帰りなさい!」

少し離れた所にいた女の子が、目を輝かせてこちらに向けて走ってきた。

「ただいま」

そんな女の子に優しいまなざしを向ける、異世界人。

それをぼーっと見ていた私は、目の前に立った女の子の言葉に呆然となった。



「トリック・オア・トリート!」


とりっく・おあ・とりーと?


「え?」



知っている言葉に、思わず目を瞠る。

しかし異世界人は少しも動揺せずに、手に持っていた飴を彼女に手渡した。

「ほら、アスティナ。このお姉さんからだ」

女の子は大きな飴を手に取ると、よほど珍しいものだったのだろう。

上気させた頬そのままに、嬉しそうに私を見上げた。

「ありがとう、お姉さま!」

「え、あ……」

驚いて返答を返せないままの私をニコリと見上げて、向こうに走って行ってしまった。



だって、私は。

そんな場合じゃなかったから。


”トリック・オア・トリート”

今の女の子は、まさしくそう言ったのだ。


目を見開いたまま、思わず彼を見上げて後悔した。


そこには、凄く楽しそうで凄く嬉しそうで、物凄く悪い笑顔を浮かべた奴の顔があったから。

思わず後ずさろうとした私の腰を、ぐいっと引き寄せる。



「トリック・アンド・トリート……だっけ?」


なぜ、無駄にいい笑顔なんですか!


「し、知ってたなら言えばいいじゃない!」

アパートに帰る間に、後悔して感じた罪悪感を返せ!

「はろうぃんという言葉は、知らなかったな。トリック・オア・トリートなら知っていたが」

「な……っ」

「黒髪・黒目の渡り人の知識という言い伝えだが、場所によって違う、という事か? こちらでは、子供がお菓子を強請るそんな祭りになっているが」

思案顔で呟くその言葉に、がくりと肩を落とした。


日本人かどうかは知らないけど、確実にハロウィンの本場じゃない事だけは確かだ。

「あ、そ。……まぁ、悪かったわよ」

嘘ついたのは、私だし。

ここは素直に謝っておこう。


そう思った私の体は、腰に回った奴の手に促されて1.2歩前に進んだ。

慌てて足を踏ん張って動きを止める。

だって……



「ちょ、何っ。早く帰してっ……」


進んでいる先にあるのは、私の部屋の玄関ドアを笑い飛ばせるほどの重厚な扉。

確実に、私の世界に帰る場所ではないはず……っ

異世界人は腕に力を込めると、やや強引に私を引きずりながら歩き出した。


「かなこがなんで俺に名前を教えないのか、最初は分からなかった」

「へぁ?」


今、何の話それ。


「けれど、俺の名前を聞かないこととか。最近、俺の目を見なくなったとか。見ても悲しそうな表情をするとか。それって、そういう事かって分かったもんだから。名前を聞きたかった」

「そういう事ってどういう事よ、しかも名前関係な……っ」

「本人から名前を聞かないと、術をかけられない」


辿り着いた扉が、触れる事もなく開いていく。

目の当たりにする”魔法”に内心驚きながら、言われた言葉を反芻した。


もしかして。

それって……


「名は存在を示すもの。その者を、証明するもの。魔術を習う子供が、一番初めに教えられる言葉だ。それを思い出して、やっと気づいた」


「何に、よ」


次の言葉を、聞いちゃいけない。

なぜかそう思わせる異世界人の雰囲気に、息を詰める。


けれど、こちらでは大魔術師と言われる彼は、迷うことなく私の心を暴いた。


「お前。俺の事、好きなんだろ?」


「……!」


一気に頬が熱くなっていく。

「なっ、なななっ」

反論して否定しようにも、まともな言葉が口から出てこない。

その間にも、ずりずりと部屋の中に引っ張り込まれる。

懸命に足を踏ん張りながら、口をぎゅっと引き結んだ。


恥ずかしい、こんなにもバレバレだったなんて……っ!


けれど奴の次の言葉に、私の動きは封じられた。


「俺も、かなこの事好きだから。こっちに、連れてきたかった」


……


「……え?」


私を、好き?


抵抗を止めた私の体は、簡単に部屋に押し込まれた。


後ろで、扉の閉まる音と振動が響く。


真っ暗な部屋に、瞬時に蝋燭の明かりが灯った。



「かなこ」



そう言われて再び囚われる、腕の中。


「ちょ、え、待って」

「一度こちらに来れば、この世界にお前が認識される。道を作った今、俺の力で世界を渡れるから、お互いいなくなる存在ではなくなった」

押し戻そうとした手を取られて、口元に運ばれた。

柔らかい感触に、急速に頬が熱を持つ。



「俺の名は、ランティス。存在を示す真名。……さて」


にやりと引き上げられたその口元は、笑みを含んでいて。



「トリック・アンド・トリート……だったな? 菓子はもらったから……」



その不穏な言葉に、冷や汗が出るのはなぜだろう!


「そっ、それって名前を教えるかどうするかって二択だったんじゃなかった……の?」


「そんな事、いつ俺が言った?」



……思い返してみても、私がそう取っただけで彼は何も言っていない。

騙された感いっぱいだけど、私が先に嘘をついたっていう罪悪感が……



「かなこ」



「へ?」




名前を呼ばれて顔を上げた私は、思わず固まった。






「トリック・アンド・トリート」








――嘘はつくものじゃない、そう後悔したのは翌朝の事

次話愛莉さん、よろしくお願いします!

お読み下さり、ありがとうございましたm--m

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