表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
5/5

捕鯨と拡張

 召喚した「フラワー」級には「チェリー」と名付けた。言うまでも無く、桜の英訳だ。


 で、この「チェリー」と「みさご」の2隻に稼働艦艇が増えたことで、出来ることの幅が一気に広がった。


 と言っても、別に積極的に戦闘をするわけではない。他の仕事が、出来るようになったということだ。特に「みさご」の8倍近い排水量の「チェリー」はより沖合へと進出できる。


 と言うわけで「みさご」よりもさらに沖合の海域での漁を開始した。


 せっかくのコルベットの使い方としては「う~ん」と言われそうだけど、現状現金を得る手段がこれ以外ないし。


 でも、大きな艦を使えるようになったメリットはやはり大きい。何より、鯨を捕獲できるようになった。


 この世界には先日討伐したクラーケンのような怪物もいるようだけど、これまで採った魚や街で得た情報により、生態系事態はそれほど地球とは変わりないらしい。


 なので、沖合に行くと鯨も当然いたので、これを捕ることにした。肉だけでなく、油に皮、骨まで使い用はいくらでもある。


 ただし「チェリー」は「フラワー」級の前期型なので、当然捕鯨砲なんて便利なものは搭載していなかった。


 でもここで役に立ったのが、初回召喚特典でついてきた、艦艇の修理設備だ。一番目立つのは「チェリー」を収容できる推定1500トンのドライドックだけど、もちろんそれだけじゃなくて、各種工場も一緒についてきた。


 その設備を駆使して、簡易な捕鯨砲を作るのは、造作も無いことだった。


 さて、地球で行われていた捕鯨では、鯨を捕獲するキャッチャーボートと、その鯨を揚収して船内で解体を行う母船による捕鯨船団を編成していた。


 しかし、現在こちらにある手札は「チェリー」1隻だけなので、結局1頭捕獲したらそのまま拠点であるファースト・ハーバー(文字通りの意味で命名)まで持ち帰り、そこで解体することにした。


 そして記念すべき第一回航海には、俺も同行したんだけど、残念ながらボウズに終わり、以後はコリンズ大尉ら、専門家たちの手に委ねることにした。餅は餅屋って言うし。


 もちろん、並行して「みさご」もせっせと沿岸部での漁に精を出す。


 そうそう、今回拠点を整備できたことで手に入ったのが、缶詰の製造設備一式。なんでこんなものまでと思ったけど、まあ付いていて困ることはない・・・むしろ有意義する設備だからありがたく使わせてもらっている。


 何せこれまで、魚を捕っても売れなかった分は自分たちで食べる以外だと干物にする以外に保存方法がなくて、海に捨てるか家庭菜園の肥料にでもするしかなかった。


 それが画期的なほど、保存期間が延びた。ついでに、この缶詰自体が売り物になる。


 もちろん、言うまでも無く鯨は貴重なタンパク源。


 以前から近くの村や街で鶏や豚、牛を買い込んで育ててはいるけど、何せ金なし世話する人無しだったから、その数は微々たるもので、食用とするまでにはまだまだ時間が掛かりそうだった。特に牛。


 なので、鯨肉は久々にたらふく食べられる肉となった。もちろん、鳥、豚、牛、馬とも違う食感なので、完全な代替にはならないけど、調理の仕方次第ではちゃんと美味くなる。


 さらに、売り物としての価値も高い。何せ、沿岸部の漁民では手を出せない類いの生き物が鯨だ。彼らにしてみれば、1年に1度あるかないかの沿岸部に迷い込んだ鯨を捕るくらいしか、捕獲する方法がない。


 だからこの付近の住民たちには、鳥、豚、牛よりも遥かに珍重される存在だった。さらにそれを缶詰にしたとなれば、もうプレミアムが付くほどだ。


 こうして、1週間に1度の割合で沖合に行って鯨を捕り、それを製品化して街や漁村で売り、現金収入として、他の必要物資を買い込むというサイクルが完全に確立された。もちろん「みさご」で行っている以前からの沿岸漁業の利益もそれに加わる。


「チェリー」の乗員が増えて食い扶持も増えたけど、一方で「チェリー」の場合は艦内にクラッカーとコーンビーフ缶、そして紅茶が常時補充されることがわかった。


 全部とりあげる訳にはいかないけど、時々とは言え紅茶が飲めるようになったのが嬉しい。


 ついでに、ファースト・ハーバーに作られた造修設備にも食堂がついていて、こちらには製パン設備があって、原料の小麦とバター(もちろん酵母も)が補充されるので、パンの増産も可能になった。


 ちょっとずつだが、生活に彩りが加わり、自然と士気も上がる。


 とは言え、捕鯨では経験値は溜まるわけでもないようで、2ヶ月ほど様子を見たけど、召喚できる兵器の種類は増えなかった。


 やむなく、1ヶ月後の召喚では、航空戦力として「赤とんぼ」練習機を、その1ヶ月後にはアメリカ軍風の工兵1個小隊を召喚して、戦力を増強した。


 工兵にしたのは、土木作業を行うのに有利だから。案の定アメリカ式にしたらブルドーザーやショベルカーにジープやトラック、牽引車も出てきたし。


 ついでに「赤とんぼ」練習機には未舗装だけど転圧済みの滑走路(800m級)1本と格納庫、無線室などの簡素だけど飛行場設備一式がついてきた。


 ささやかだけど、まずは地道に1歩ずつだ。

御意見・御感想お待ちしています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ