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10首
ふるさとのかたぶく様にわづらひて とほき彼方の昔おもへり
濃く入れた珈琲砂糖を溶かし入れ くっと煽るは朝の妙薬
煩ひに頭抱ふる冬のよひ 小足ぶつけて寒さしみいる
寒さ避く装ひに出づる気質みゆ 冬の日のあはれなりけり
亡き人の数に入りたる親類を 思ひ語らふ追善のとき
人々の衣重ねたる冬の道 此方の木々は葉を散らしたり
寒空に歩み出づればよどむ気も 思ひもかすかに澄みそむるなり
木鼠のえ蓄えし冬来たり 我は寝所に褥つくろへり
ながらへば憂ふ世のすゑいかならむ 糧となることかなふやいなや
街並みに彩を見ゆるは春夏の ことと言ひしが今は冬にこそ




