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白の少年と、黒の少女の出会い――

作者: RN

作り直し中のエキセンのプロトタイプ。

プロローグにあたる所。

 それが訪れたのは突然の事だ。

 瞬きをした――刹那の間に、日常が崩れた。

 人が。

 物が。

 世界が。

 万物が。

 少年を拒絶するかのようには、"普通の場所"から弾き出す。


「うあぁ、あぁ……」


 叫ばないと言わないと呼ばないと……声を出さないと。

 口から言葉を大きな声に乗せて、求めるんだ。


――だけど、出ない。


 喉に蓋を閉められてるかのように、思うことを現実に出来ない。

 僅かな隙間から、雑音(ノイズ)みたいな音しか出ない。


「う、くぅ……く、来るなっ!」


 押し出すように吐き出された台詞を、襲い来る異形にぶつける。

 だが、止まらない。

 一歩。

 また一歩。

 更に一歩を踏み出す度に徐々と、その異質な体を変化させていく。

 肉体、表情はおろか光すらも感じられない"黒い何か"は、無音で形状を構築する。

 四つの脚で大地を駆け、不気味に光る白くて丸い目で目標(ターゲット)を狙う。

 2メートルは超える狼に近い形。


「いや……く、来るなよ……」


 逃げたい、逃げたいよ……でも、脚が凍りついたみたいに動かない。

 恐怖で息が荒くなるだけで、思考すら回らない。


――迫る。


 近づいてくる"異物"を前にして、"逃げる"という選択肢は消えていた。

 怖い。

 死にたくない。

 生きたい。

 動かなくなった脚で逃げることは出来ず、足を動かす為の脳は異常停止(フリーズ)してしまった。


――迫る。


 じりじりと迫り来る"異物"と共に、心の中から這い上がる恐怖に身を震わす。

 こっち見るな。こっちに来るな。あっちに行けよ!

 必死に願っても獲物を見つけた狩人の如く"狼の異物"は近づいてくる。

 そしてそれは、巨大な口を開けて――少年、泉条一へと噛み付いた。


――ガブリっ!


「あああああああああああああああああああああああああ!」


 上顎が背中を、下顎が胸を、巨大な牙が体を貫く。

 骨を砕き、肉を食らう。体内を駆け巡る血が外へと噴射してあたり一面に赤色の雨を降らす。

 そう、口腔内で条一が処理された……二つの引きちぎられた体が地面へと落ちた。

 俺、死んだんだ……まだ見つけてないのに、本当の自分を。

 ゴメンなさい……っ。


「……邪魔」


――そう、条一は死んだ。噛み付かれたはずならば。


 斬り落とされたのは"異物"の頭。斬り下げたのは大鎌。

 それを両手で持つのは、条一の目の前に舞い降りた少女。

 異物を、ガラスの様に透明で綺麗な大鎌で切り裂いた、黒い長髪を靡かせて小柄の体で自信の身長の二倍はある大鎌を振り回す少女。


退()いて」


 吊り上がった目で少女は言った、


「――一度(いちど)ならず殺してあげる」




 これが後に地獄の番人と呼ばれる少年と、漆黒の死神である少女との最初の対面。

 物語はここから進む……破滅のゲームへ向い。

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