他の宇宙から来た聖女9
(白金貨1枚=金貨100枚・金貨1枚=1万円)
私たちは昼食を済ませた後、商業者ギルドに向かう事にする。
収納から取り出すのは、まずいと言う事で、麻袋に入れて運ぶ
展示の為のマネキンもあるのでそれも、賢者様に運んでもらう事にした。
「ねぇ~賢者様、10本も剣があるのだから、1本どれぐらいの価値があるか調べてみましょうよ」
「売りさばくのですか?」
「1本ぐらい良いじゃない?」
「かまいませんが、大変な騒ぎになると思いますよ。まぁ~宝石だけでもパニック近い状態になるとは思いますが」
「大丈夫よ、大賢者が所持する物なら、持っていてもおかしくないと、相手が勝手に納得してくれるから」
「ほんと何時も思いますが楽観的な思考回路ですね。」
「賢者様が考えすぎなのよ、あぁ~賢者だから考えすぎても仕方がないかグヘへへへ」
「大が抜けていますよ私は大賢者です。グハハハハ!」
「慌てる姿を見るの楽しみだねクスリ」
「ですね、先生が売りに出される宝石は、町のギルドでは、お金の調達は直ぐには、できないと思います。」
二人が商業者ギルドに入ると、大賢者の訪問に周りがどよめく、大物中の大物だ、最近若返り魔法にも成功したと言う。生きているだけで金のなる木だ。
決して失礼があってはいけない。職員の緊張が半端ない。
此方から接触したくても、そうは簡単にアポも取れなかった。この街に研究所を移されたのにだ。
そんな賢者様がみずから商業者ギルドに顔を出して下さった。このチャンスを逃してはいけない。
獲物を狙うような目、私はそんな商業ギルドがとてつもなく嫌いなのだ。でも今日は違う、彼らが目ん玉飛び出る位の驚きをするのだ。楽しみだ!
ホールマネージャーが直ぐに駆け寄ってくる。
「大賢者様、我々の商業者ギルドにお越しいただき、誠にありがとうございます。」
「今日は買い取って貰いたいものがあって立ち寄らせてもらった。ギルドマスターいらっしゃるかね?」
「ハイ!直ぐに呼んでまいります。」
私は応接間に通され、ギルマスの到着を待つ。
流石に商業者ギルド、一つ一つの装飾品も、冒険者ギルドとは違う品格がある。
そしてしばらくしてギルドマスターが入ってきた。
「大変お待たせいたしました。当ギルドを任されている者、ガレルと申します。どうぞよろしくお願い申し上げます」
「この街に最近お世話になっている、魔導研究所のキーエンスだ、よろしく頼む」
「今日は当ギルドに、わざわざお越しいただいたご用件は?」
「買い取りして頂きたいものがあってな。」
「ほう!キーエンス様直々に買い取り要請とは怖くなります。いったい何を買い取ればよろしいのでしょうか?」
「剣と宝石だ!」
「宝石は分かるのですが、剣はこちらで買い取りより冒険者ギルドの方がよろしいのでは?」
「それならそれでいいが後悔することになるぞ、ギロリ!」
「いいえ、そう言う意味ではございません、大変失礼しました。お許しください。」
ギルマスは剣と聞いて、つい何時も言っている言葉を滑らせてしまった。
しょっぱなから、何たる失態、一緒に入ってきた補佐も私をにらみつけている。
「まあ、気にするな。今回の件は、買い取り金額に上乗せしてくれれば、許さないこともないぞ。」
「それは赤字覚悟で勉強させていただきます。」
「そうかならいい。」
「それでは拝見させていただきます。こちらの机にお出し願いますか?」
「お主は、この机に直接置けと申すのか?この商談なかったことにさせてもらう」
「申し訳ございません、ご無礼お許しください」
「お主は大賢者と呼ばれた、キーエンスが普通の物を持参したとでも思っているのか?」
「とんでもございません。どうかお許しください、直ぐに敷物を用意いたします。」
あぁ~この失態、補佐は必ず本部に連絡を入れる。終わった全てがおわった・・・・
何とか、挽回しなくては、俺は終わる。
「それでは剣から見て頂こう」
「これは!!!!!」
「火と水の属性が付与された聖剣だ、素材はミスリルとオリハルコン、鋼にヒヒイロカネが使用されている。自動修復と切れ味強化、攻撃力1.5倍、この剣の固有スキル二つが付与されている。」
「少しお待ちください、当ギルドの鑑定士にも見てもらいます。よろしいでしょうか」
「それは構わない、じっくり見てくれ」
「直ぐに鑑定士を呼んできてくれ!直ぐにだ」
補佐が部屋を出て行く。
なんだ!この剣は、凄まじいオーラが出ている。
こんなの、見たことも無い、これだけの物だ噂ぐらい聞いてもおかしくない品物、我らギルドが把握しきれていない、最高級品が埋もれていたと言うのか!
こんなの我が国の王でも所持していない。
「ギルマスよ!これがただの剣に見えるか?机に直接置いて良い武器に見えるのか?」
「これは武器である前に、最高のお宝で御座います。いいや人類の宝、神からの授かりもの、決して人類が疎かにして良い物では御座いません」
「そうか分かっているなら良い、鑑定士にじっくり話を聞くと言い」
「鑑定士も驚くと思います。それにしても来るの遅いです私が行ってみてきます」
ギルマスが慌てて席を離れた。
「先生いかがです?めちゃくちゃ驚いていましたよね、おもろいです。」
「そうね!鑑定が終了した後、後1本出して、どちらか選べと言ってみようか、面白いと思わない?」
「面白いですがどこから出したと言われそうですが、どうされます?」
「マントに亜空間収納を付与するしかないわ」
「新しいのを買ったらそれにもお願いしますよ。」
「分かったからこの剣を早くマントに収納しておいて。」
「付与するの早い!」
「戻ってきたわよ」
「大変お待たせしました。申し訳ございませんでした。」
「それは良いのだが子供がいるのに、お茶とケーキも出してくれないのか?」
「すいません直ぐに買いに走らせます。」
補佐は慌てて部屋を飛び出した。その補佐の目は、誰かに殴られたようにはれ上がっていた。
補佐は鑑定士にギルマスの失態を話し、のんびりと笑っていたのであった。
これは後の話だが、補佐は降格して、地方に飛ばされたのであった。
「どうだ!鑑定で来たか?」
「ハイ!これは、これまで発見されたお宝の最高級品です。未盗掘の遺跡から出たのか、ダンジョンの最下層から出たのかは分かりませんが、ダンジョンや遺跡から出る武器の付与は1個だけと言う常識を逸脱しています。」
「固有スキルがあると言う事だが?見る事ができるか?」
「二つのスキルが付与されています。烈火凍刃(刃先から氷の刃が飛び出し、相手を切り裂きその刃に触れたものは業火によって焼き尽くされます。
氷炎の剣舞(剣を振るうと、周囲に炎と氷の粒子が舞い上がり、美しくも壮大な氷炎の渦を形成します。強力な範囲攻撃です。丁寧に説明も付いていました。」
「修復機能があると言う話なんだが?」
「その機能のおかげで、何時も新品の様に輝いているのだと思います。」
「攻撃力1.5倍もすごいが、その剣の素材だがどう思う?」
「こんな剣は見たことないです。どのような技術で作られた物なのか不明です。希少素材をここまで、使っているとなると、この剣だけでも人類の宝です。」
「それで買い取りとなると幾らになる?」
「白金貨1万枚からスタートになるかと」(白金貨1枚=金貨100枚・金貨1枚=1万円)
「オークションじゃなくうちで買い取る金額だ!」
「えっ!そんな金ありませんが、こんな地方都市のギルドで白金貨1万枚以上、金貨で100万枚以上あるはずが無いことぐらいは、おわかりでしょ」
「本部に連絡すれば何時頃振り込まれる?」
「本部から鑑定士が来てそれからになります。大賢者キーエンス様の鑑定があっても、私の鑑定でも、本部の鑑定士の印が無い限り金は出ません。」
「キーエンス様、大変申し訳ありませんが、直ぐ買い取りはできないようです」
「待つことは、やぶさかでない、だが金が入用なのだ金貨1000枚は先に用立ててもらいたい。」
「かしこまりました。1000枚用意いたします。白金貨9枚と金貨100枚でよろしいでしょうか?」
「それではこの剣はそちらに預けておく。」
「預けて帰られるのですか?このような人類の宝を、さすがにそれは恐ろしい、鑑定士が本部からくるのに10日は掛かると思います。それまで警備も居ないギルドで保管するのは、それなりに強固な金庫があるにしても危険すぎます。それであるなら世界最強のキーエンス様がお持ち頂いている方が、よっぽど安全であります。」
「さすがに私も、担保なしで金貨1000枚を用立ててもらうのは気が引ける」
「大賢者キーエンス様こそが大きな信用でございます。」
「それでもな~」
大賢者キーエンスが思案していると、ギルドマスターが提案してくれる。
「それでは宝石をお売りになればいかがでしょうか?」
「そうだった!宝石を先に見てもらったら、担保とか前金とかで悩む必要もなかったのだ、キーエンス大失態だな(笑)」
「いえいえ、私どもが金を直ぐに用立てる事ができなかったのが、いけなかったのです。ホントに商業者が付くギルドなのに恥ずかしいです。」
「我も高値に少々驚いた。宝石も色を付けてくれよ」
「もちろんです。期待に沿える、金額を表示させていただきます。」
キーエンスとミルフィーは宝石展示用マネキンにネックレスを装着していく。
それを見ているギルマスと鑑定士は顔から血の気が引いていた。
「アレキサンドライト」「パパラチアサファイア」「パライバトルマリン」希少石がふんだんに使われている。あの大きな石はレッドダイヤモンドなのか?いやいや、想像を遥かに超えた超お宝を出してきた。
あの品は超やばい!こんな商業者ギルドで見せて頂けるような品ではない。
それも子供が触っている。見ていてヒヤヒヤする。
「これが私の自慢の一品だ、どうだ、凄いだろ!早く鑑定をして買い取り金額を教えてくれ。」
「キーエンス様、流石にこの品の買い取りは地方ギルドで決めるのは無理があります。希少石をふんだんに使い、それも1個だけでも白金貨1千枚を軽く超えそうな宝石が数多く使われています。」
その時、鑑定士が目をぎらつかせながら、ギルマスを肘で突っつく
「なんだ!どうした。今キーエンス様とお話をしているのだ、少し待っていてくれ」
「それが、この宝石には多数の付与がついています。宝石だけの価値とは比べ物にならない超希少アイテムです。」
「ちょっと待ってくれ、どのような付与がされているのだ?」
「それは、女性に美しさと永遠の美を与え、不老不死の賜物を授ける加護です。また、あらゆる病や呪い、魔法や打撃からも身を守る女神の庇護が加わっております。その小さな石でさえも、肉体の強靭化や魔力の増大、回復魔法の実行、敵の隠蔽の看破、知性の向上といった恩恵が得られます。さらに、基本的なスキルが10倍に増強され、基礎体力も飛躍的に向上します。これらの宝石が希少であるとは言え、これらの付与に比べてみれば見劣りしてしまいます。
私は人間ではなく、物体に贈られる称号を初めて目にしました。それは『女神の宴』や『神々の宝玉』、あるいは『覇者の名』といった尊き称号が与えられています。このネックレスは、人類が手にしてはならぬ神器の一つとして、その威厳を持って存立しております」
「なんと!何と言うものをお持ちいただいたのです。キーエンス様も人が悪い、申し訳ございませんが流石にネックレスも我がギルドでは買い取り不可能です。そのことはキーエンス様もお分かりだったのでしょ?」
「すまん宝石類には興味がなく、私は鑑定していなかった。今初めて内容を聞いた。いっぱい付与が付いているとは聞いていたのだが、鑑定することなく持参した。でっ!幾らで買い取る?」
「えっ!まだ売る気なのですか?今の説明をお聞きになられましたよね、これ一つ身に着けることで地上の覇者になれるのです。こんなのオークションに出せませんよ。売ることなく本部の地下深くの金庫に永遠に封印ですよ。」
「面白いではないか、先ほどの剣と宝石で話題沸騰だ、参加者が目の色変えるのを見てみたいものだ」
「確かに面白いですね、各国の支配者がその宝玉を求めて進軍しますよね、暗黒の時代に突入ですよ。人々は飢え、田畑が荒れ果て、人々は荒む、人々だけじゃなく魔族も参戦するでしょうね、何て明るい未来が待っているのでしょうか、私は責任を感じて、死を選ぶでしょうね」
「ギルマス安心しろ、オークションは失敗する。参加した貴族たちが私設兵を集めその場で殺し合いになる。剣とネックレスはその場から消えてなくなるからな」
「確かに、オークションを黙って観ているはずが無いですよね、それを手に入れれば覇者になれるのですから」
「それで!ギルマス、これらを手に入れれば、世界が手に入るのだが、欲しくないのか?」
「悪魔そのものの囁きですな~ワハハハ」
「だよな、一般人が世界を欲するとか、考えないよな、金なら欲しいが」
「ですよね、」
「まぁ~売るのは剣だけにしておく。すまぬが金貨1千枚を貸してくれ、その代わりもう1本、その剣の兄弟剣を置いていく。」
「えぇ~」ギルマスと鑑定士が大声をあげて驚いた。
結局受取は拒否をされ、本部から鑑定士が来る日が分かれば知らせてくれることになった。
余談だが、どこからその剣を出したと問い詰められる。
このマントはマジックアイテムで収納が付与されていると伝えると、それを売ってくれとしつこく頼まれた。もちろん嫌だと断ったが、アイテムボックスの食いつきが凄まじい。
これは金貨1000枚を元にバックを大量購入すれば大儲け間違いなしと、ミルとキーエンスはほくそ笑むのであった。