他の宇宙から来た聖女7
「この位置からだとゴブリンの集落が一望できるわね、攻略位置としては最適よ。」
「それでは1発撃ち込んでみましょうか」
「でも!実際に建物に住み、生活しているところを見てしまうと、躊躇してしまうわ!」
「あのような隠れ里で繁殖を繰り返し、人里に降りて行き、悪さをするのです。ゴキブリと変わりません一掃すべき魔物です。」
「わかったわ、では「グラビティバースト」・・・・・・」
建物は崩壊し、木々は折れ、土地は揺れ動く、集落の中でパニックが広がり、ゴブリンたちは逃げ惑うが、大きな亀裂に飲み込まれ、次々と命を落としていった。
そして!生き残った者も、形ある物も、最後に襲ってきた重力変動に押しつぶされるのであった。
範囲内にあった物は何もなくなった。残ったのはミルフィーのレベルアップを知らせる音声だけだった。
「凄まじい威力です。先生!こんなの見たこともありません。」
「地味だけれど、驚異を感じたわ、あそこまで地形が変わるなんて、まるで神の裁きじゃない」
「ミルフィー様がレベル1だったことを考えると、魔法選びには、もっと慎重になる必要が出てきました」
「そうだ!私のレベルどうなったのかしら?」
「すごいです。レベル45になっています。自分でも確かめてください」
「えっ!たった45なの?集落を殲滅させたのに」
「ゴブリンを何匹倒してもそんなに上がりませんよ、レベル20から極端に上がりにくくなります。高レベルのゴブリンがいたのでしょう。レベル45になったことを考えるとキングが居たと思われます。」
「でも!私一人で倒したのよ、初級冒険者ではキングなんか倒せないのじゃ?」
「倒せません、何人いても倒せないでしょう。C級冒険者でも20名は必要なレベルです。」
「じゃ~どうして45なのよ?」
「いくら強くても相手はゴブリンです。魔物の格で考えると下等魔物なのです。強いのに美味しくないのがゴブリンの高レベルです。」
「集落まで作る魔物がそれでは、かわいそうね」
「仕方がありませんよ、それがこの世界の決まりなのですから」
「Fランクで15~20、Eランクで21~30、Dランクで31~40、Cランクで41~50だったわよね、私は今Cランクの強さがあると言う事か」
「破壊力はSSSランクを軽く超えていますがね、グハハハハ!」
「ねえ、それじゃもっと格が高い、集落探してよ」
「わかりました。探させておきます。ですが今の先生の魔法威力の検証も必要です。何か、レベルが上がったことで、身体面や精神面で何か変化はありませんか?」
「何もないよ、髪の毛が金色に代わるような感じでもないわ」
「なんですのそれ?」
「わからないなら、後でパソコンで調べてみなさい。戦闘民族、髪の毛金色でしらべれば出てくるから」
「後で調べてみます。それではファイアーボールを1回撃ってみてください」
「ファイアーボール・・・・・・」
ミルフィーが放った小さな火の玉が彼方の崖に穴を開け、前進を止めずに進み続け、大規模な爆発を引き起こした。崖が崩れ、大量の溶岩が渓谷に流れ込む
「先生、ヤバいです。早く消火を!」
「ウォーターボール・・・・・・・・・・」
ミルフィーは5歳で2回目の水蒸気爆発を経験するのであった。
AIは直ぐに二人を転送、間一髪で危機を逃れることが出来たのである。
「先生!攻撃魔法禁止です。」
「なんで、初級魔法で、あんなことになるのよ、おかしいでしょ?」
「制御ができていないと言うか、大魔法を使っていただかなくて、ホントによかったです。」
「これじゃレベル上げできないでしょ、どうするのよ?」
「これ以上レベルを上げたら危険すぎます。止めておきましょう」
「嫌よ!レベル上がれば制御だってできるはずよ。」
「絶対に、100%、自信をもって言い切れます。制御できないと。」
「そんなことないわよ、やってみないと解らないでしょ?」
「そこまでおっしゃるなら、冒険者を雇い、レベリングしてもらいましょう。」
「レベル差10以上離れると経験値が入らないのよね、5歳の幼女がCランクやBランクとパーティー組むのおかしく思われない?」
「とても身分が高いお方だと説明します。これまでレベリングでレベルを上げてきたと思うはずです。」
「それもそうよね、手っ取り早く上げたいから、強い人選んでね、止めを刺さないと経験値が入らないとか嫌だからね」
「それは大丈夫です。パーティー申請を受けたら、均等に経験値が入ります。パーティー申請は冒険者ギルドで行わないといけませんが」
「少人数で経験値を多くもらうか、大人数で数で勝負するかどちらが良いのかしら?」
「冒険者は3人から5人位で何時も活動していますから、バランスのとれたパーティーを選んでおきます。」
「私も冒険者登録できるのかしら?」
「5歳では出来ません。できるのは12歳からです。先生は幼女ですよ、忘れないで下さい。」
「その幼女に、恥ずかしげもなく先生とかよく言えるわね」
「そこは、畏敬の念をもってですね~」
「そんなのいいから、先生とか止めてよね、恥ずかしいのよ」
「崇高な存在、偉大な存在、神秘的な存在、そんなミルフィー様を先生と呼んで何が悪いのですか!先生が嫌ならマイ・マスターに変えます。」
「もぉ~先生で良いわ(笑)」
賢者は、冒険者を探すため、ギルドに依頼を出す。
掲示板に依頼を出すような事はしない。
大賢者ともなれば、適切な冒険者を選ぶのはギルドに丸投げである。
「大賢者様、今日は冒険者ギルドにおいで下さりありがとうございます。」
「少し頼みたいことがあってな、ギルドマスターは来ておられるかね?」
「大賢者様がおいでになっていることを、直ぐに伝えてまいります。」
「頼む!」
大賢者はギルドマスターに、やんごとなきお方から、一人の少女のレベル上げを、仰せつかった。
少女は今レベル45だ、それに見合った冒険者を用意してくれとギルドマスターに依頼する。
「大賢者殿、そのお方はどのような身分の方なのです?」
「一切公表できない、それはギルマスでもだ、少女の事も秘密だ、」
「そうですか、レベル45もあるなら、パーティーも探しやすいです。その少女の職業は?」
「すまぬ、誤解させたようだが、少女は何もしない、ついていくだけだ、レベリングをしてもらいたい」
「レベル45からのレベリングはかなり大変ですよ、格上の魔物を倒していかないと、そんなに簡単には上がりません。」
「それは理解している。そのために此方で能力向上のマジックアイテムを用意する。もちろん私も付いていきバフを掛けるから、かなり格上の魔物を倒せると思う」
「そうですか、大賢者様が直接関われるような少女なのですね、その人の年齢はお幾つなのです?」
「5歳だ!」
「えぇ~!5歳で既に45レベルですか、てっ!言うか5歳でレベル45もあれば十分なのでは?」
「それが、本人が納得してない。まだ5歳だからレベルを上げる大変さが分かっていないのだ」
「レベル45になるまではどのような方法でレベル上げをされたのです?」
「・・・・・・それはないしょだ・・・・・・」
「わかりました。深く聞くのはやめておきます。」
「すまない!」
賢者はギルドを出てミルフィーの下に戻った。
「先生!と言う事で、マジックアイテムが必要になりました。」
「わかったけれど、貴方が用意するのでしょ?」
「いいえ先生に作って頂こうかと思っています。」
「そんなの私はできないの知っているよね?」
「こちらにガラクタの指輪やブレスレット、色々な装飾品を用意してきています。こちらに付与をしてください」
「今私の言った事聞いたよね?できないと言ったでしょ!」
「まずは属性系から掛けて行きましょう」
「ねぇ~聞いて良い?なんでそんな約束したの?目を逸らさないで、きちんと説明してちょうだい」
「最近私の金使いが激しく、経理課から色々言われていました。研究所に帰りマジックアイテムを持ち出そうとしたら、激怒されてしまいました。」
「わかったわ、色々お金を使わせちゃったものね、まさか研究所のお金を使っていたとはビックリだわ」
「私の稼いだお金なのだ、自由に使えないとは理不尽すぎる。」
「いやいや財団が管理しているお金を個人で使っちゃダメでしょ」
「先生のスキルに付与がありますから、これに掛けてみて下さいよ」
「大賢者と呼ばれているキーエンス様は掛けられないの?」
「そんな事できませんよ。」
「えっ!貴方が冒険者にバフを掛けると約束したのでしょ、人にはバフ掛けられるの?」
「バフと付与は別物ですから、人にスキルを付与することなど大賢者でもできません。」
「物にはスキル付与とかできるんだ、変な世界ね」
「いいえできませんよ!全てのマジックアイテムはダンジョンから出たものです。」
「じゃ~私もできないじゃないの」
「先生はできます。付与スキルをお持ちなのですから、早く試してみてください」
「じゃ~やってみるけれど、壊れても知らないわよ」
「安物ですから、大丈夫です!」
「いくら安物でもぶっつけ本番は嫌よ、何か練習できる物無いの?」
「この建物を作るときに使った物が小屋にあるかもしれません。探してきます。」
賢者は色々な素材を木箱に詰めて持ってきた。
「先生!まず釘に付与してみましょう。属性の支配者とか称号にあるのですから、できますよ」
「じゃ~やってみるね、火属性付与」