他の宇宙から来た聖女6
私たちは夕方には、教会に戻ることが出来たが、夕食の時間には間に合わなかった。
先生は、別に夕食を食べなくても、冷凍食品を食べるから良いと言う。
確かに教会の食事より100倍上手い、カップ麺もいただいたがあれも癖になる美味さだった。
だが教会が食事を抜くとか許すはずが無い、私が大目玉食らうに違いない、と言う事で私は彼女に門の手前で降りて頂き、教会関係者が出てくる前に、立ち去った。
次に教会には行きにくいが、私は尊敬されて喝采を受けるのは大好きだが、小言を言われるのは大嫌いなのだ、今頃、私の代わりに怒られているであろう先生に、同情する私であった。
教会に帰り静かにばれないように歩いていると、シスターに見つかってしまった。
夕食の前にはそろって、神に祈りをささげるのは、教会の基本である。門限を破る事など決してあってはいけない。私はこの教会に来て、数えきれないほど入った懺悔部屋に放り込まれた。
懺悔部屋から出された私は、遅い夕食を食べた後、水浴びをしなさいと言われる。
この教会に来てから一番嫌なのは、水浴びだ、大きな水槽に入れてある水を使い体を洗うのだが、とてつもなく冷たい、真冬には水を温めてくれるのだが、それでも直ぐに冷えてしまう。
今日は時間がずれた為、他のみんなはお祈りの時間で私だけで、体を洗ってきなさいと言われる。
ラッキー、私は顔に水を付け終わらすことにした。
そこで、天才な私はふと考えた。この水を魔法で温められるのじゃない?
今日練習したファイアーボールを水槽に撃ち込めば、水温まるじゃん!
でも!ダメダメそんなことしたら、悪い結末しか想像できない。
そうよ電子レンジの機能を応用した魔法を作ればいいのよ、マイクロウェーブ魔法、電子を振動させれば、樽の水ぐらいなら温められるのじゃないかしら!
超天才な私は樽の水から湯気が立つぐらいの温度に上げることが出来た。
やったー大成功!温まったお湯を、体に掛ける気持ちいい~
樽に水を汲み、もう一度同じことをするが、これ効率悪すぎる。
水槽の水を温めたら、一々魔法をかけなおさなくても、良いし、この密閉されたレンガ作りの部屋なら、室温も上がるのじゃない?
私はためらうことなく、今出せる最大威力の魔法を行使した。
部屋が吹き飛んだ!水槽の水が全て蒸発して、一気に部屋の圧が高まり大爆発を起こしてしまった。
私は支援ドローンの張ったバリアにより助かったが、壁のレンガが散乱している。
私は裸のまま方針状態で腰を抜かしていると、シスター達が慌てて私に駆け寄ってくる。
「何があったの?」
私はその言葉で我に返り、これはヤバいどうする。そうだ!泣いてごまかそう、ワァーン、ワウワウ、グスン、グスグス。
あれれ!シスター達が私をにらみつけている。
「今日は泣いてごまかす事は許しませんよ!何があったのか喋りなさい!」
そうだった!最近泣いてごまかすの通じなくなってきていたのだ、使いすぎて効力が弱まりすぎた。
私は正直に、魔法に失敗したと報告する。
「えっ!あなた魔法が使えるの?」
私が魔法を使ったと言う言葉に驚かれたが、賢者様から教えてもらったと何も考えないで責任転換をしてみた。
その言葉にみるみる怒りの表情に変わっていくシスター達だった。
「どんな魔法を使ったの?正直におっしゃい!」
顔が怖い!ビビった私は正直にマイクロウェーブ魔法と言ってしまう。
「それは攻撃魔法なの?」
「生活魔法です!」
「嘘おっしゃい、生活魔法にそんなの聞いたことありません。わかりました!明日賢者様の所に行って聞いてみます。貴女も付いてきなさい。」
「寒いです。服着ていいですか」
その言葉に、我に返ったシスター達が私がケガをしていないか慌てて調べる。心配するの遅いよと思うミルフィーであった。
私は次の朝早くから、懺悔部屋に入れられた。今日は長く15分も閉じ込められる。
懺悔部屋に入れたら、私が反省すると思っているシスター達が可愛い、ゲラゲラゲラ。
食事を済ませ、シスター2名とブラザー3人で新しく建築されたキーエンス様の研究所を訪問する。
「それで!どうしてこんな小さな子に、攻撃魔法を教えられたのです?」
「いや!私は何も教えていない」
「そうですかこんな小さな子が、レンガ造りの小部屋を吹き飛ばす様な魔法を使ったとおっしゃるのですね?」
「いや、それは~~・・・・・」
「今回の件を、はっきりして頂けないと、これ以上キーエンス様にはミルフィーにあってもらう事はできませんので」
「それは困る、我は先生に教わることがまだ山ほどあるのだ!」
「先生?先生って誰ですか?」
「いやなんでもないです。」
「だいたい、教会の敷地にこの子の部屋まで建てて、いったいあの建物で何をされているのですか?」
「それは称号を二つも授かった奇跡の子を立派な聖職者にする為に、日々勉強をしている。」
「枢機卿から、我が協会に、ミルフィーが教会に居続ける事に何の問題もなしと、お墨付きをいただいています。教育は教会で行いますので、これ以上、この子に関りをもって頂く必要はありません。」
何時も優しく接してくれるシスターとは別物だ!
シスター達には不満が蓄積されていた。
お祈りの時間に来なかったり。食事の時間に間に合わなかったり。教会のお仕事もできなかったりと
ミルフィーにきちんとした生活習慣を身につけさせたいのに、それもできていない
やばい!何か考えないと、私の楽しみが奪われてしまう
私は、とっさに、教会が喜ぶ言葉を言ってしまった。先生許してください
「ちがうのだ、まだ黙っていたかったが、この子は聖属性所持者だ、数少ない神様から祝福された子供なのだ!この子を上手く育てることが出来たなら、回復魔法、いいや聖女様になれるかもしれない」
「えっ!聖女様?すごい、それはすごい、私たちの教会から、聖女様が誕生!」
「そのためには、私が彼女から離れるわけには行かない」
「そうだったのですね、言って下さればよかったですのに」
鬼の様な顔はすっかり消えて、漫勉の笑みになっているシスターやブラザー達、一人幼女だけが怪訝そうな目で私を見ている。
「ミルフィー様はまだ5歳だが、魔法の才能はあるみたいだ、聖女様になるには教会の全面的な支援が必要になる。協力していただけますか?」
「もちろんです。ミルを立派な聖女様にしてやって下さい。」
「厳しい修行になりますが、かまいませんか?」
「教会のお仕事は朝と夕方の礼拝だけで、後は免除します。後の時間は聖女様になるための修行に当てて頂いて構いません。」
「わかりました。賢者キーエンス!私の持てる力を全て行使して、サポートに当たらせていただきます。」
キーエンスは、これで遠慮なく先生の下に通う事ができる。俺ってなんて頭が良いのだ!
ミルフィーが俯きボソボソとしゃべりだす。
「賢者様!ミルちゃん、お風呂壊しちゃった。明日からみんなお風呂使えない。」
「わかりました。私が急いで直すように手配いたします。」
「お水が冷たいの嫌だ!」
「魔道具で何時も暖かいお湯が出るようにいたします。」
「湯船も作ってほしい」
「もちろんです。シスターがみんな温まる事ができるぐらいの大きな湯船を作らせてもらいます。」
「風呂場が暗いの、明るい方がいい」
「それも魔道具で明るくなるようにいたします。」
「脱衣所も欲しいし大きな鏡も付けてほしい」
「もちろんです。完璧に仕上げて見せます。」
「よろしくね!」
教会の浴室が10日ぐらいで出来上がった。
前とは見違えるような、立派な浴室である。
女性用と男性用の浴室があったが、男性用は女性用が出来上がってから取り掛かることになっている。
お風呂が出来上がるまで、男性用を使わせてもらっていたが、今回は女性用を男性が使う事になる。
出来上がった浴室を見たシスター達が、ブラザー達が使うのを嫌がった。
なんと理不尽なと司祭に訴えるのであったが、シスターの人数が圧倒的に多い、教会では我慢してくれと言うしかなかった、司祭様であった。
何回も練習を重ねて、お湯を温める事が出来る様になった。
ミルフィーが仮浴槽の水槽を温め、何とか男性達の不満爆発を抑え込むことが出来ていた。
そしてミルフィーのもう一つのお仕事が、魔石の魔力充電であった。
賢者様から魔力を常に使う事も、修行の一つと言い聞かされ、教会は納得したが、ミルフィーはそんなことしたくもなかった。
どさくさに紛れて浴室の建設を約束させられた。
賢者の嫌がらせだと分かっていたからだ。
だとしても二人はとても仲良く、ちぐはぐな二人は何回もシスター達を激怒さすのであった。
「先生そろそろ、レベル上げに行きませんか?」
「そうだよね、ゴブリンの集落は見つける事で来たの?」
「何人も冒険者を雇い、見つける事が出来ました。かなりの大集落です。ゴブリンキングもいるかもしれません」
「何匹ぐらいいるの?目標指定は容易なの?」
「渓谷に集落がある為に、崖の上部から発見したと報告を得ました。何匹かは分かっていませんが、目視では200匹以上の隠れ里の様です。」
「全滅さすの容易な様ね、楽しみだわ、今から行く?」
「どのような魔法を使われるつもりですか?」
「戦術核魔法かアンチマターボムにするか迷っているの」
「グラビティバーストにされることをお勧めします。核魔法は自然に対する影響が大きいです。反物質は下手をすると、星ごと消滅の恐れがあります。」
「じゃ~重力魔法でやってみる」
グラビティバースト:周囲の空間に急激な重力変動を引き起こし、爆発的な衝撃波を発生させる。広範囲の敵を一掃する。超魔法である。
「冒険者には発見位置にビーコン発信装置は渡してあるのよね?」
「ハイ!スイッチを入れてきたと報告を受けています。」
「お母さん、位置の把握できている?」
「転送位置確認済み、周囲の安全確認も済んでいます。何時でも転送できますよ。」
「ありがとう」