他の宇宙から来た聖女04
しばらくして、王都の教会から鑑定士が来ると連絡が入る。
枢機卿の依頼だ、魔導協会は最高の鑑定士を送ることにした。
これまで授かったことのない2つの称号、それも『希望と繁栄』と言う訳の分からない称号、それに伴う付与も見てみたい。
我が行くと名乗り出たのは、SSS級鑑定士のキーエンスだった。
キーエンスは世に名を響かせる大魔導士であり大賢者である。
大物中の大物である。
そんな人物が我が教会に来てくれることになり、教会はてんてこ舞いである。
5歳の祝福の日に借りた、ミルフィーの貸衣装も店に返している。
今来ている服は普段着で粗末な物だ、こんな姿で大賢者に会わす事はできない。
ミルフィーは賢い子だから、大賢者に失礼にあたるようなことはしない。
シスターがそれらしき服を作り、何とか訪問の日に間に合った。
「大賢者キーエンス様お待ちしておりました。どうぞこちらでお休みください。」
「いいや、我は直ぐに不思議な少女に会ってみたい。」
「わかりました。呼んでまいります。しばらくお待ちください、休憩場所に連れて行きます。この者が部屋を案内しますので、そちらでお待ちください。」
「それもそうだな!大人数でこんな所に立っているのも迷惑だ、部屋に案内してもらう」
大賢者一行は部屋に通され、珍しい少女が来るのを待った。
しばらく待つと、シスターに連れられ幼い少女が入ってきた。
大賢者は驚く、この子は何なのだ!このあふれ出す魔力に聖なる力は、鑑定する前からこの子が普通では無いのが分かる。
随行した。我が弟子が鑑定を行ったみたいだ、そして腰を抜かしてしまった。
「この子、称号が五つも付いている。」
「辞めぬか!お前たち本人の了承も得ないで勝手に鑑定する物ではない。」
「すいません~」
「それではお嬢ちゃん鑑定していいかな?」
「よろしくお願いしますペコリ」
「そうだ!無断で鑑定を行った者はこの場から出て行け!」
「先生申し訳ございませんでした。どうかこの場に居させてください」
「それで彼女から何が見えた。」
「希望と繁栄、聖職者、慈愛、慈悲でございます。」
「それはすごいな、それで付与は見えたか?」
「何もみる事はできませんでした。」
「では!ケンビ、鑑定してみろ」
「ハイ!先生、私も同じものが見えました。付与まではみる事が出来ません。」
「次リュック見てみろ」
「私も同じです。」
「お前たち!この膨大な魔力を感じ取れないのか?」
「「「「「「「「ハイ!何も見えません。」」」」」」」」」
「そうか!帰ったなら修行のやり直しだな」
「「「「「「「「「「お師匠様そんな~」」」」」」」」」」
「シスターすまないが我一人で鑑定を行いたい。小部屋を貸していただけないか?」
「わかりました。こちらにおいで下さい」
シスターに連れられ、小部屋に向かう大賢者であったが、膝がぶるぶる震えて収まらない、何か得体のしれない物に対峙した感覚だ
私はこんな小さな少女に恐怖を感じているのか?
大賢者と呼ばれるまでになった私がだ
「それでは、こちらの小部屋をお使いください大賢者様」
「終われば呼ぶから、少し二人っきりにしてもらえるかね」
「それでは私は戻りますので、終わりましたらミルフィーにお申し付けください」
私はシスターが離れて直ぐに椅子に腰を掛けた。
これ以上立つていられない
「それでは鑑定させてもらうね、」
「ハイ!よろしくお願いします。」
「ななななな~ん何だこれは~どれだけ称号が付いているのだ、こんなのおかしいだろ!」
「父が我の子に恥じぬようにと付けました。」
「お前の父親は誰なんだ?」
「血が繋がっていませんが、称号にある通りです。」
「神の子?」
「そうですが、私が教会から追い出されないように、色々神関係の称号を付けてくれたみたいです」
「お前の父親と母親は何処にいる?」
「今はお空の上に」
「そうか、もしよかったら我もみる事が出来ない、付与を見せてもらえるか?」
「わかりました。頼んでみます。お父さん、大賢者様に私のスキルを見せてあげて!」
「今誰に頼んだのだ、貴女は何時でも父親と会話ができるのか?」
「父ですよ!ゲラゲラゲラ」
「それでは拝見する」
「どうぞ」
「なんだよこれ、どれだけの付与が付いているのだ、我の知らない付与が沢山ついている」
「スキルは使ったことないからわかりませんよ。聞かないでくださいね」
「そうか!もったいないな」
「いかがでしたか?私はこの街の教会に居ることはできるのでしょうか?」
「それは難しいだろ~な!王族として迎え入れられるか、総本山に神の使いとして迎え入れられるかの、どちらかだと思う。」
「それは、困ります。私は成人までこの地に居るつもりですから」
「我らが貴女を連れだせば、神の意に反すると言う事か、わかった貴女の事は誰にも言わないでおく」
「ありがとうございます」
「我の弟子たちは貴女の称号は5つまでしか見ることが出来なかった。5つでも大変なことだが、私が何とか抑え込んでみるよ」
「ありがとうございます。」
その時、小部屋に光のエネルギー体が現れ、人の形に姿を変えて行った。
「大賢者キーエンス!我はお前たちがデリスと呼ぶものだ、この子の事を頼んだぞ、我の大切な娘だからな、この子が窮屈な生活を送るようなことは無いようにしてくれ、それと、この子の秘密は何があっても口外しないでくれよ。」
「もちろんでございます。我が神デリス様、貴方の意に背くようなことは致しません」
「そうか、頼んだぞ!おぬしに言いたいのはそれだけだ、でわ、さらばじゃ!」
我との約束、決して違わぬようにな~・・・・・
「あら!お父さんもっと居ればよかったのに、せっかちなのだから」
「ぐは!ハァハァハァハ、ハ、グヘ!死ぬかと思った。約束の前に死ぬところだったよ。神様降臨、何て凄まじいのだ」
「お父さんと約束しちゃったね、これから大変だよ、どうするの?おじちゃま」
「貴女の事は私が責任をもってお守りします。」
「そうだ!少し若返らせてあげるね、私のおもり大変だと思うし」
「えっ!そんなことが、できるのですか?」
「簡単だよ、細胞の活性化をさせればいいだけだから10日ぐらいで10歳は若返ると思うよ」
「その魔法を、我にも教えて頂く事は可能でしょうか?」
「魔法じゃないよ科学だよ、それに私は付与とかまだできないよ、伝授するだけだからね、後はお父さんが使えるようにしてくれるから、自分で若返る魔法を開発したことにしてくれれば私も助かるわ」
それから、賢者は、細胞の仕組みを勉強して、神様から、若返りのスキルを付与して貰えることになった。
「ありがたい!これで研究も、まだまだできそうだ。」
「老いとはね一つ一つの細胞が衰えて行く事なの、それを細胞再活性化させればいいだけだからね、魔法と言うより科学なのよ、まぁ~深く考えないでいいよヒールと思っておけばいいだけだから」
「これか!我に若返り魔法が付与されている」
「この魔法は悪い細胞も全て排除してくれるから、病気にかかりにくくなるよ、よかったね」
「他にも色々教わりたい、貴女は私の師匠だよ、こんなお爺だけれどよろしく頼む」
「いいわよ、色々教えてあげるから、今日みたいに手ぶらで来るのわ止めてよね、可愛い女の子にお菓子ぐらい持ってきてよ」
「すまなかった!称号を二つ授かった少女が早く見てみたかった。次からはシスターたちの分も持参する」
大賢者は、私が教会に居ることに何の問題もないと、総本山に報告してくれた。教皇様には彼女は5つの称号を授かった奇跡の子と報告した。
直ぐに総本山に迎え入れようと言う教皇に、まだ時期が早いと説得する。
5つの称号をいただいた彼女を拘束するのは神の意に反する行為だと脅しておいた。
教皇に謁見後、私は魔導協会に若返り魔法を開発したと報告を入れる。
まだ開発途中で人には掛けられないと協会には報告が入れてある。
動物で実験中で半数以上の動物が死んでしまう事にしておいた。
これで傲慢な貴族がすり寄ってくることも無い
そして私は本当に若返っていた。
しばらくして私は彼女が住む町に、住居を移した。
訪問の時にお土産を持参すれば、彼女は私が行っても嫌がることはない。
私は彼女から色々な知識を学んだ。
5歳になり私は大賢者と言う強い味方を手に入れた。
その大賢者が私の下に足繁く通ってくる。
最近大賢者は、私の住む町に活動拠点を移したらしい、そこまでするのと思ったが、私の提供する知識は彼にとって未知の領域、何に代えても得難きもの
「先生今日は何をご教授をして下さるのでしょうか?」
「何時も言っているけれど、その先生とか止めてよね!人に聞かれたらどうするのよ、恥ずかしいじゃない」
「すいません、日に日に畏敬の念が膨らんでいき、気持ちを抑え込むことが出来なくなってきています。」
「なによそれ!気持ち悪い、その目で私を見るのはやめてちょうだい」
「すいません、できる事なら跪き。頭を垂れたいです。我が神よ!」
「ひぃ~やめて~」
最近は私の持っている知識を、学習機材を用意して、説明を行っている。
大賢者キーエンスが多額の寄付を行い、私専用の小さな建物を建設してくれた。
それにより、箱舟から学習機材を転送して、科学を勉強してもらっている。
まぁ~パソコンを用意した、だけなのだが
未知の科学を目にしたキーエンスはがっつく様に知識を吸収していった。
理解できないところは、私が教えている。
「ねぇ~大賢者キーエンス様、私もそろそろ、スキルを使ってみたいの。それとレベル上げもしてみたいわ」
「そんなもの貴女様には必要ないでしょ。そんな無駄な事しないで、私に知識を下さい。」
「ちょ~なんて考えしているのよ?私はこの星で、普通の女として生きていくのだからね、冒険もしたいし、せっかく魔法と剣の世界に来たのだから、レベル上げも経験したいのよ。」
「わかりました。レベル上げは兎も角、スキルの検証は必要かもしれません。そんなにあるスキルを使った事が無いのももったいない。明日郊外に行って試してみましょう。」
「やったーやっと町の外に遊びに行ける。ありがとう!キーエンス様」
明日は私を郊外に連れて行き魔法の勉強をする。心配はいらない、私が付いているのだからとシスターを説得してくれて、行ける事になったのだが、司祭様が教会からも2名位お供させてもらうと言い出した。
付いてこられると非常にまずい。
賢者は必死で言い訳を考えた。
「すまぬ、我も極秘魔法を試したいのだ。国家機密の為、教会関係者でも参加してもらうわけには行かないのだ、許してくれ!ミルフィーは小さいからまだ何もわからない、連れて行く事に差し支えない」
「そうですか!わかりました。夕方にはちゃんとお返しくださいね!」
そうか!教会は我がミルフィーを持ち去ると考えていたのか、うむ!わかるよその気持ち(笑)
次の日は快晴で、絶好のピクニック日和になった。
昨日は楽しみで眠れなかった。
「先生、この場所なら、気兼ねなく魔法を使えます。」
私たちは馬車で2時間ぐらい行った郊外に到着した。
初めて見る景色は美しく、澄んだ空気は素晴らしい。
箱舟から持ってきた、お菓子も沢山ある。