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エルフの国に来た聖女06

私達が教室に入ると「ひぃ~」と悲鳴交じりの声が聞こえてくる。

えっ!怖がられているの?

こんなに可愛い美少女に対して失礼すぎますよ。

でも昨日のあれを見たなら無理もないか!諦めよう。


私達二人は恐怖を取り除くために愛敬をふりまいた。

私達の可愛さを前面に出せば、庇護欲が湧いて、可愛がってくれるわ

所がこのクラス、エルフ族が大半を占めているため、女性は美少女ぞろい、眺めているだけで眼福だわ、私達の可愛いアピールは通じそうにない。

私達がニコリとほほ笑むと、ひきつった笑顔で微笑み返してくれる。



今日はあの子たちが、1限目から登校する初日だ、あの子たちは幼い、幼いから、学生たちが何時も言っているような人族を見下す言動を喋ってしまえば、何が起こるか分からない。


何時もなら授業前の生徒たちはガイガイガヤガヤと五月蠅いのだが、今日は静まり返っている。

生徒は胃が締め付けられるような緊張と恐怖にさいなまれていた。


誰か!お願い、この緊張から解放して。


そんな凍てつくような教室に、1週間の停学処分を食らっていた、竜人族の男子生徒のトーカゲが教室に入ってきた。

トーカゲは教室の最前列に座るミルフィーとタチアナを見て、言っては決してイケないことを喋ってしまう。

「オイ!いつからここは幼稚園になった!それも下等な人族ではないか、俺が停学処分を受けている間に何がおきた?」


クラスの生徒全員が、バカの一言に震えあがった。

あぁ~おしまいだ、私達はあのバカと共に塵になる。


ミルフィーとタチアナは今の怖がられている状態を回避できる絶好のチャンス到来と、利用する事にする


「竜人族様、ごめんなさい!」

「目障りでしたら、あなたから見えない席に移動しますから、お許しください」


「何を言っている!お前たちの様な下等種族が同じ空間に居るだけで、臭くて気分が悪いのだよ!謝るなら、この教室から出て行け!」


タチアナは目頭を押さえ今にも泣きそうだ、そんなタチアナの手を取りミルフィー達は教室から出て行った。


「なんであんな下等な者が教室に居た?誰か説明しろ!お前達はなぜ追い出さなかった?」

「トーカゲ君、そんなこと聞くより、直ぐに追いかけて謝る方が良いよ!」

「なんで俺が謝る必要がある!竜人族は選ばれし種族だ、人族は我らに従えば良いのだ」

「そんなことを思っているなら止めないわ、でも私達には迷惑かけないでね、あんな態度をとるのは教室以外の所でしてちょうだい」


「えっ!エルフのお前達がどの口からほざいているのだ?」

「停学になり、何も知らない貴方なんかに説明する必要もないわよ」


そして授業前のホームルームが始まった。

教師は編入生の二人が居ないことに気が付く


「ミルフィーとタチアナは来ていないのか?」

「登校していましたが、トーカゲ君に出て行けと言われ、教室を退室しました。」


「そうか、早速やらかしてしまったか!ま~いい、お前達がどうなっても私は知らない、今回の事は全体責任だ!」

「どうして全体責任になるのですか?トーカゲ君が暴言を吐いただけで、私達は何もしていません!」


「彼女たちがそう思ってくれればいいのだがな、彼女たちが教室に来た時に仲良く話しかけたか?怖がって話もしなかったとかないよな?トーカゲが暴言を吐いているときに止めもしなかったとか無いよな?私が居ない時の出来事を、私に押し付けられても対処しようが無いよ」


「それは~~」


「同じ穴のムジナと思われても仕方が無いだろ、私達一教師であの規格外の彼女たちを如何こう出来る者ではない、彼女たちのバックに付いているエルフも凄いメンツだったしな」


「担任なら、何とかしてくださいよ!教師でしょ!」

「いやいや、教師でもお前達と同類と思われたくない、私にも家族がいるからな、まぁ~私からの忠告は、彼女らの対応は慎重に!だけだ、トーカゲも分かったかね?」


「オイオイ!下等種族の人族に何を言っているのだ、あんなガキに何で俺たちが気を使わなくてはいけない、兎も角、あんな人族なんかを教室に入れるな、気分が悪くなる」


「彼女らは飛び級で編入してきた、優秀な二人だ、此処で学ぶ事は決定事項だ、例え竜人族のトーカゲの意見でもくつがえる事はない」


「それなら、父に相談するしかないな!私が停学処分を受けた理由は教師なら知っているだろ、それでも停学処分はたったの一週間だ」


「もちろん知っている、用務員を半殺しにしたことを、剪定作業中に用務員が切った枝が掠っただけなのに、ボコボコにした君の非道をな」


「殺しはしなかっただけ、ありがたい事だと思ってもらわないと困る。俺には非がないのだが、学園都市のルールに従って、停学処分を受け入れただけだ」


「そうか!彼女らからの伝言だ、私達を排除したければ力を示せと言う事だ、彼女らがこの学園に飛び級する際に、決められた事だと聞いている。あらかじめこうなるのを想定されていたみたいだ、最もそうなる前に自分達の力を披露された。バカが出てこないようにされたのだが」


「力を示せとはどうゆう事なのだ?」

「摸擬格闘戦を行い、自分達がまければ出て行くと言う事だ」


「オイオイ、俺に幼児と戦えと言うのか?馬鹿も休み休みに言え」

「戦わないと言う事か?」


「あたりまえだ、竜人族が勝敗が分かった戦いができるか!」


「君が殴り倒した人族の用務員は60歳の老人だったのだがな、人類の平均寿命は50年、それを遥かに超えている老人を躊躇なく病院送りにした君が言う言葉ではない」


「竜人族の力が分かっている先生の言葉とは思えない、幼女を殴れば確実に死ぬ」


「わかった。じゃ~君は退学だ!理事長からも、学園のルールに背いたものは即退学と認可を得ている。君の言動には目に余る物がある。人族に対する見下すのは学園のルールに反する行為だ」


「はぁ~?そんなのは、みんながしているだろ」

「私は知らない、だが君の口からはハッキリ聞いた「下等種族の人族」これは立派な校則違反だ」

「まて!なんで今回だけこうなる?」

「大人の事情だ!」


「なんだそれ、私の父親が誰だか知っているだろ、そんな父が激怒するようなことをして、ただで済まされるとでも思っているのか?」


「一教師にそんなことを言われても私は知らない、戦わないのなら退学、それだけだ」

「死んでも構わないのだな?」

「それは構わないが、負けになるがいいのか?試合ルールは、殺さぬ事、まいったと言えば試合終了、戦闘不能になれば負けだ!」


「いいや1発殴っただけで相手は死ぬと言っているのだ。試合で手を抜くことは竜人族はしない、それが相手への敬意だと考えている。」


「それなら、かまわないが、「殺さぬ」は君の為のルールなのだが、君がそう言うなら試合中に死んでもOKにルール変更しておく。午後の実技で戦ってもらう、試合前に契約書にサインが必要だからな」


そして午後の魔法実技の時間に彼女ら二人はニコニコしながら現れた。

しょんぼり泣きながら出て行った二人とは思えない明るさだ、戦う事がそんなに嬉しいのか?

それとも学術都市を消し去る心算なのか?

クラスメイトの皆は足が震える。竜人族のトーカゲ以外は


竜人族のトーカゲは怒りが収まらない、偉大なる竜人に試合を臨むなど、下等種族の人族ごときがあってはならないこと、さっさと痛めつけて、無駄な時間を終わらせよう、負けたらこの学園から去ってくれるのだから。


「それでは武術試合を行う両者所定位置に付いてくれ」

「先生、タチアナが先に戦います。」

「えっ!二人で戦うのじゃないの?」

「そんな卑怯なことはしません。タチアナが負けたら、私達は学園を去ります。タチアナが勝利して、納得いかないなら、私がもう一度戦います。彼が納得いくまで私達がお相手をさせて頂きます。」

「君たちがそれでいいなら構わない」


「それでは準備は良いか?」

「「ハイ!」」

「試合開始、はじめ!」


小さな体のタチアナが消えたと思ったらドォーンとトーカゲの腹に一撃が食い込む。

そのまま一直線にトーカゲが魔力結界が張ってある壁に激突した。

「ぐへ!」


試合会場が揺れたと思うぐらいの、壁への激突は一瞬で試合に決着がついたと思われたが、トーカゲはふらつきながらも立ち上がる。

竜人のタフさに見学をしていた教員も生徒も驚いてしまう。

それでもタチアナがこのまま攻撃を続行して、試合終了とみんなが思って入た。


トーカゲは何もせず体制が整うまで待っているタチアナの態度に怒りが頂点に達する。

「なめるなよ~殺してやる」


竜人は攻撃魔法に特化した種族だ、人族より数倍の威力の魔法を行使できる。その中でも優秀な成績で魔法学術都市に入学を許されたエリートのトーカゲの放つ魔法は規格外の威力を要していた。

そんな威力の魔法を何発も放つトーカゲ!

手加減なしの本気モードの攻撃魔法、直撃した魔法はタチアナを消し飛ばすには十分だろう。


皆が、「もう~やめろ!」「やめてあげて~」と、口々に叫ぶ。

そんな言葉をお構いなしに、やめようとしないトーカゲ、彼は魔力が尽きるまで撃ち込んだ。

「でぇ~でぃ、でぇ~ぃ、ハァ~ハ~ア~ハァ~」

息を荒げて攻撃を止めたトーカゲ

「やったか?」


砂埃と煙と熱気が試合会場の視界を遮っていた。

誰もが丸焦げの欠片が残る位と思っていたが、視界が空けると、タチアナが何事もなかったように立っていた。


「もう終わりなの?こんなのじゃ私を倒せないよ、武器を使っていいから頑張りなさい」


ミルフィーが1本の剣を試合会場に投げ入れた。


「その剣を使って良いわよ、学生で持てるような剣じゃないからね、その聖剣を使って良いわ、私に勝てたらその剣を差し上げるわ」


「バカが!敵に塩を送る余裕をかましやがって、遠慮なく使わせてもらうぜ!」


トーカゲは目にとまら速さで剣をふるう

「己のバカさを悔やむがいい、グハハハハ」


トーカゲはタチアナに剣を叩きつける。

タチアナは避ける事も無く手のひらでその剣を受け止める。

「えっ!」

「貴方、何をしているの?この剣はそんなへっぴり腰で振るう物じゃないわ、気合を入れなさい」


何回も何回も切りつけるが、全て手のひらで受け止められる。


そして何回も切りつけたあと、剣が地面に落ちた。俺の手と一緒に

「ぎゃ~!」

「あっ!ごめんごめん!うざくて切り落としちゃった。」


転げまわるトーカゲを一撃入れておとなしくする。

落ちた手を肩に添えてヒールを掛ける。アッと言う間に手が元に戻った。


ペシぺシとトーカゲのほほを叩いて意識を回復させた。


何が起きたか分からない、トーカゲ

突然後ろから声を掛けられる。

「ねぇ~貴方は竜人なのでしょ。その姿じゃなく、竜に変身していいのよ!」


後ろから話しかけられ「ひぃ~」と声を出してしまった。


「ねぇ~早く変身しなさいよ、このままじゃ負けてしまうよ」

「そんなことできるかよ!」

「なんだ面白くない、じゃ~さ~スーパー竜人族になれないの?」

「なんだよそれ?」

「瀕死の重傷から回復すると前より強くなるの」

「竜人族は強いから重傷なんかにならない!」

「そっか~じゃ~試してみよう!」


トーカゲは壁に激突、跳ね返るとこをさらに一撃を入れられ壁に激突を繰り返される。トーカゲはとっくに意識を失っている。

「ヒール完全回復!」

「ぐへ~ぇぇぇぇ~」

「どう何か力が湧いてきたとかない?」

「たたた、助けてください~」

「あらおかしいわね?」


ドォーン!ドドドド、ドぉ~ン

それから何回も壁の激突が繰り返され、トーカゲは木の葉の様に格闘会場を舞っていた。


「強くなれた?」

「堪忍してください僕のま・・・・」


タチアナはトーカゲの顎を砕いてこれ以上喋れなくする。


見学していた先生も生徒もドン引きである。


「タチアナ、一回殺さないと強くなれないのじゃないの?」

ミルフィーが恐ろしい事を言ってくる。

「そうだね試してみようか」


それを聞いた先生が慌てて止めてくる。

「タチアナ君の勝ちだ、もぉ~許してあげてくれ」

「わかったわ!完全回復!!!」


「じゃ~次は私が戦うわね!」


ミルフィーはトーカゲを引っ張り、試合会場の真ん中に連れて行く


「トーカゲ君、ミルフィーはそんなに強くないから安心して戦いなさい」

「いやです!僕の負けです。もぉ~戦えません」


「気合を入れて立ち向かわないと、死んじゃうよ」

「えっ!強くないのじゃ?」

「そうよ、か弱い少女よ、それを補うために自己バフを掛けているの、今の彼女は私の数倍強いからね!」


「いやだ~そんなのと戦いたくない~」

「それでは試合開始!」

「ドぉ~ン、グチャ」

「完全蘇生!」

「ドォ~ン!グチャグチャ」

「完全蘇生!」


ミルフィーの蘇生は瞬時に行われる

そして何回も死と生きるを繰り返したが、強くなることは無かった。

試合と言う拷問は授業終了の鐘が鳴るまで繰り返された。


「先生ありがとうございました。いい経験が出来ました。」

「あれぐらいなら何時でも言って下さい、対戦相手も用意いたします。」

「嬉しいです。もう少し人数が多くても良いですよ」

「そうですか、じゃ~クラス全員との勝負で、いかがでしょう?」

「それ良いわね!いけにえ・・対戦相手だわ」


先生も、この子たちも狂っている!こんなの授業でも試合でもない、単なる虐殺よ拷問よ見せしめのための生贄だわ

あの子達、攻撃魔法も使わないで勝ったわ!

都市を消滅さすことが出来る魔法も使える彼女達なのに、

魔法?えっ!彼女達ヒールや蘇生までしていた。

回復師?いやいや、人を生き返らせる事なんか誰もできない、おとぎ話の聖女様の話じゃない

エルフ教会の司教様の養子だったわよね、あんな邪悪な子供が聖職者なの?

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