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1 .始まりは裏切りから


 鈴木(すずき)龍太(りょうた)には高校1年生の終わりから約2年付き合っていた彼女がいた。いた、というか現在の友人から送られてきたDVDを見ている段階では別れていないので『いる』が正しいのだが、気持ち的にもう「ねぇなぁ」という感想と吐き気しか出てこない。



「いや、寝取られ系の映像なんか二次元だけだと思ってたわ」



 浮気を疑ってはいた。その相手が自分の親友だとは思わなかったし、あからさまに冷たくなった態度に思うところはあった。彼女の態度がここ三ヶ月ほど最悪を更新し続けていたので「別れ話ってどう切り出せばいいかな」などと思っていたら、春休み二日目に送られてきたのが、エロ漫画何かの広告で稀に見る「いぇーい、彼氏くん見てるぅ?」系のやることやってるDVDだった。龍太は普通に元友人たちが心配になった。彼らは龍太がショックを受けて苦しむ様を想像して送ってきたのかもしれないが、その映像を世界に向けて発信される可能性だってある。そうでなくてもこのような映像なんて覚悟を持って仕事をしているその手のプロ以外は残すものではない。遊びでやったものが誰かの手の中に残るなんて恐ろしいと龍太は思う。



「まぁ、別れやすくはなったな。LINKでいっか」



 手早く別れを告げるメッセージをアプリで送信する。ついでについ先程まで親友だった男にも縁切りのメッセージを送っておいた。違う大学に行くことが決まっているのでそこまで気まずくはない。

 恋人と友人を一気に失うことになった龍太だが、そもそも価値観が違う相手と長く付き合うのは難しかっただろうと自分を納得させた。付き合った頃は好きで好きでたまらなかった、大事にしたかった女の子だが、今となっては汚物に思える。初めての彼女との記憶くらい綺麗に置いておきたかったなと苦笑すると部屋を出た。



「お兄ちゃん、誠也(せいや)くんからの荷物、なんだったの?」


「エロDVD」


「……サイテーーー!!」



 妹の日菜子(ひなこ)がひょっこりと隣の部屋から顔を出したので、『誰と誰の』かだけを伏せてさらっと答える。



「ああ、そうだ。(あや)と誠也が付き合うことにしたらしいから別れる」



 妹を見てから、元彼女たちと顔見知りだったことを思い出して伝えると日菜子は低い声で「は?」と口に出した。



「お兄ちゃんが綾さんと別れる」


「そう」


「それがなんでお兄ちゃんの友達と付き合うことになったの」


「二股かけられてたみたいだな」



 さらりと言う龍太に日菜子は納得がいかないとばかりに頰を膨らませていた。



「サイテー。大体、誠也くんは私にもしつこくナンパみたいなことしてきてたのに」


「女好きなのかもな。お前可愛いし」



 さらりとシスコン発言をした後、「もしくは俺のことが引くほど嫌いなんだろうなぁ」なんて考える。龍太はひらひらと手を振って「出かけてくるわ」と妹に告げた。


 外に出て気晴らしをしにきたは良いけれど、こういう時に限って嫌な人と出会うものだ。

 適当に街をぶらぶらしていると、「おい、負け犬が歩いてるぜ」とわざわざ目の前まで来てせせら笑ってきた。しばらく顔を見たくない二人組がそこにはいた。溜息を吐いて回れ右をしようとしたが、肩を掴まれる。



「いや、何。俺はもうお前らと関わりたくないんだけど」



 素直な気持ちを伝えると、綾と誠也はムッとした顔をした。それを見ても「二股かけてた女と、友人の彼女を寝取る男なんて、関わりたい人間がいるわけないだろ」としか思えない。

 しばし睨み合っていた時だった。

 目の眩むような眩い光が足元から発されていた。目を覆うように片腕を上げる。

 次いで、彼らの耳に届いたのは大きな歓声だった。



「勇者様だ!!」


「召喚に成功したぞ!!」



 異様な光景に龍太は目を疑う。隣にいた誠也は嬉しそうに「異世界召喚とかマジ?」と呟いていた。そういえば、異世界で無双する系の漫画とかが好きだったなと彼の好きな漫画を思い出して苦笑する。そして、大きな不安を持ったまま周囲を見回す。

 目の前に美しい少女が出てきた。



「どうか、この世界を救ってください。勇者様」



 手を組み、祈るようにそう訴える少女の姿を、どこか嘘くさく思いながら、ニヤニヤと笑う元友人に溜息を吐いた。

書きたくなったので好き勝手書いてるやつです。

気まぐれ更新です〜!

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