性なる聖戦 おっぱいラグナロク
猫、馬、艦隊。この世にはありとあらゆる擬人化が存在する。彼女らもその一つであり、その元ネタは――おっぱい。
ここに一人の擬人化おっぱいが、名をアルファという。アルファはAカップの擬人化であり、平らなそれに誇りを持つ。アルファに限らず、各々の擬人化おっぱい達が自身の持つカップに誇りを持ち、かつ最高のものだと自負している。
そして此度、その頂上を決めんと、ここにおっぱいラグナロクが開催された。
「ここが、おっぱいラグナロクの会場ね」
お椀型のドーム、それを前にするアルファ。彼女は優勝を目指し、そしてこのドームを更地にするのが夢だ。競技場はやはり、平らなものでなくてはならない。
「邪魔ですわ、そんなところに突っ立って。あぁ、動いたところで、アルファの乳は揺れはしないですわね」
「お前は……ガンマ。言うほどあなたも、乳揺れはしないわ」
「お黙り、何事も程よくが最良でしてよ。Cカップはそれを体現した、最強のお乳であることを、今日この日をもって証明してあげますわ」
バチバチと互いの乳首を向け合う二人。その稲妻は刺激となって二人の顔を恍惚とさせる。
「ふん、貧乳共が。我の乳の為に、幅広い道を空けるがいい」
「その声は……Pカップのパイ!」
「貧相な乳はこの場に相応しくないぞ」
「下向きの乳首が戯言を、ちゃんと向き合えるようになってから大口を叩きなさい」
「なんだと……」
そして再びバチバチと、パイは乳房を抱えながらに、互いの乳首を向け合った。
「まあ、ここでヤリあっても仕方がないわ。どうせこの先、おっぱいラグナロクで決着するのだから」
張り詰めるおっぱいの中、アルファは会場に足を運び、受付にて署名をしていると、背後から乳を揉む者が一人現る。
「こ、この手付きは……あっ……もしやベータね!」
「久しぶりぃ! アルファ! 私も参加しに来たよ」
振り向き、そしてがっちりと乳繰り合う両者。ベータはBカップにして、アルファの古くからの友である。
「アルファとは友達だけど……あっ……容赦はしないよ……あん」
「私もだよ……あぁ……正々堂々と……あはん……ヤリ合おう……」
そうして二十三名、集うおっぱいの擬人化達。間もなく開会の時刻が迫るその時、満を持してその者は現れた。
「あ、あれは……肉……?」
「違う、あれは紛れもなくおっぱいだ」
会場北側より運ばれる一つの台車、その上に鎮座するは二つの肉塊。誰も見たことのないとされる、伝説の擬人化おっぱいが今、この会場に姿を現す。
「オ、オメガ……」
「おっぱいに人が付いてるって、まさにそれくらいの迫力ね……」
オメガ、擬人化おっぱい最大の質量を持つおっぱいの化物。もはや自立することも不可能で、移動はこうして台車が主となる。
「私はオメガ、最後にして究極のおっぱいを持つ者」
そんなこと言われずとも、会場の全員が瞬時にそれを理解した。否応なしに目に入る、ωの字がそれを物語っている。
皆が息を吞む中、訪れる時間。壇上には役員が、そして開催を促す訳だ。気高き聖戦、おっぱいラグナロクの開催を――
「擬人化おっぱいの皆さま、よくぞお集まりくださいました。ではここに、おっぱいラグナロクを開催します!」