強さを求めて
ようやく、話が動きそう。
あの日から私は、強くなると決めた。
不甲斐ない思いはこれ以上したくない。
今までは罠を張って、罠にかかった生き物を仕留めていただけだった。
せいぜい自分自身の小手先が器用になったか、それくらいのもので、本質は何も変わっていなかった。
これじゃあだめだ。
この世界は弱肉強食。
弱いものは喰われ、強いものだけ生き残る。
この世界でとにかく生き残ると決めたんだ。
強くなるしかない。
私は、鍛錬した。
もう道具には頼らない。
私の全力の力には耐えきれない。
恵まれた力を使って自分だけの手で戦うと決めたのだ。何者にも縛られない、そんな力を求めて。
殴る蹴る、走る隠れる。時には逃げもした。
周りの環境をうまく使い、相手を翻弄し、素手の一撃を叩き込む。
あのツノの生き物は、機転が効かず、真っ直ぐ向かってくるので、旋回する様に近づき目を狙う。
視力を失って暴れるが、もはや敵ではなかった。
腹に蹴りを叩き込むと、その衝撃で体が浮く。
そのまま足を狙い、機動力をなくす。
最後に伸ばした爪を使い、血管を引き裂く。
程なく死ぬ。
あの憎たらしい緑の生き物は、見つけ次第殲滅している。見かけるたびに、怒りが込み上げるようになってしまった。
複数いる場合でも、そうじゃない時も、囲まれないように周りを観察し、隠密行動しながら一匹一匹、一撃で殺すようにしている。
声が出ないように首を狙うのが効果的だとわかったのは、かなりの数を殺してからだった。
この森には、他にもいろいろな生物がいた。
デカい蜘蛛のような生き物や、ミミズの化け物。
6本足の巨大なクマや、擬態するハイエナ。
とにかく、弱点を探り、環境を利用し、殺して殺してコロした。
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グガァァァァァァァ…
と声を上げながら大きなトカゲが倒れる。
この森で、唯一勝てなかった凶悪な生き物だ。
長かった。何度も挑んだ。そして逃げた。
強くなると決めたあの日から、一体どれくらいの時間が経ったのだろう。正確な時間なんて、とっくの昔に数えなくなってしまったのだ。
けれどついにやったのだ。
この森で最強は私だ!
私の身体は今や鋼鉄のように硬くなり、爪や歯は凶器のように鋭く固い。背丈も伸びて二メートル程だろうか。私もこの危険な森に染まってしまったみたいだ。
「…これからどうしようかな。」
そんなことを考えながら、私はいつもの洞窟に、ゆっくりと歩きながら帰っていた。
後からわかったことだが、洞窟の周りはあまり危険な生き物が少なかったみたいだ。
一度拠点を変えようとした時は、苦労した。
寝ている時も構わず襲ってくるのだ。
結局、この洞窟が私のホームになった。
洞窟に帰る道すがら、遠くから音が聞こえた。
気配や音は、かなり前に感じ取れるようになったのだが、何やら様子がおかしそうだ。
「…っ!?なんだこの生き物の鳴き声!?」
それはまだ一度も聞き覚えのない音だった。
もしや、まだ私の知らない生き物がこの森にいたというのか!
私は、緊張感と高揚感を味わいながら、その方角へと急いだ。木から木へと飛び移りながら。
…へっ?
「#/&☆☆%°#!!」
そこには、人間がいた。
知らない間に強くなる主人公。
いろんな能力を努力によって獲得していきます。
現在の所持能力
・隠密 new
・気配察知 new
・素手戦闘 new
・環境利用(森) new
・サバイバル術 new
後書きにはこれから毎回載せます。
ゲームでいうステータス、みたいなものですかね。
これから増えていくと思うので、新しいものに関しては能力名の後ろにnewとつけます。
ステータスとかあんまりという方はスルーでも大丈夫!