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魔法はびこる現代世界。
あちらこちらに魔力含んだ火が飛び散り水がぶっ飛び葉は辺りのものを切り裂いて散るし、光は失明を引き起こすほど輝やくし闇はそれこそ何がいるかわかりゃしないほど深い。
いや、それは学生ならでは、頭のネジがぶっ飛んだ学生たちの楽園の話か。ちゃんと公共の場では許可を得て魔法はぶっ飛んでる。
話がずれた。
まあ許可を得ているとはいえ弱っちい体の人間なんてあっちゅう間に死んじゃうような強さの魔法が飛び交うこの世界。人は助けてくれる存在が必要だった。
もうわかるね?
助けてくれる存在が誰かって。
その通り!人ならざる存在だ。悪魔なんて呼んじゃいけない。そりゃ種族名。想像上の存在だって?失礼すぎる。バカにしてるって燃やされちゃうよ、気を付けな?
人ならざるもの、そう、人間以上に強くて賢い奴らなんだから。奴らって呼ぶのは良いのかって?良いんだよ、人の身勝手な考えでは魔法で縛った彼らはパートナー。唯一無二の相棒なんだから。対等なの。わかる?
おっとっと、また話がずれた。戻すよ。
そう、人でなく、羽があったり、めちゃ強だったり、頭よすぎだったり、なんなら人のことだって食い物にしてきた彼ら。人じゃ到底及ばない存在。それこそ人は自分勝手に力をランク付けして、丁度自分達が真ん中に来るとして。
自分達は真ん中くらいか?
そうだろう。
じゃあ彼らをこう呼ぼうか。
パートナーに人間並みの奴らを据えても意味がないから。
人間〈並み〉なんていない存在。
ノン・オーディナリー。
この世界はとても豊かだ。
緑は茂り、川は輝いてるし、魔法が問題を解決する。
戦争だって滅多にない。なかなか平和で良いと思わないか?
ああ、でも差別はある。どこにでもつきものだろう?力とか、金とか。それはあれ。消えないから。むーりむりむり。消えちゃったらビックリするぜ。
まあ光あるところに闇があるなんてなかなか真理ついた良い言葉。輝かしい歴史は闇を内包してる。
その歴史を作る若人達。
さてここでクイズだ。歴史を作る若人達にこそ共に困難を乗り越えるパートナーが必要なのさ。
だがしかし!
そのパートナーとなり得るノン・オーディナリーには若人が必要なのか?
答えは否!
首を左右に振ってその前方で手なり前足なりが×マークを作るほど必要ない。人間うるさく喚くし。なんなら日頃同属を殺しにかかるじゃんね!
なのに何故?どうして?
何故もどうしても無い。わかるだろ、物語の定番だ。人は贔屓されてるんだ。彼らが紡ぐ物語があんまり面白くて、魅力的なものだから。
人に与えられた知恵と同じく特権の一つさ。彼らが指定した彼らを従えられる、対等なんてそんなそんな!それこそ尻尾まで振って否定させてもらうよ。
だがしかし、困ったことにノン・オーディナリーはまだその魔法を解除できる方法を探し当てられていないのさ。だから従わざるを得ない。彼らに許されているは自分達を不遇にしないだけの抵抗だけだ。それくらいは人間も等しく受けてもらうさ。まあ彼らに抵抗されちゃったら死ぬやつらも多いんだけど!
あああああ!勘違いしないでくれよ、縛られるのは誰だって嫌いさ。でもこの世界に生きてるんだ。順応してる奴らだって少なくない。友好的に人間と付き合うのが賢いんだってわかってるやつらも多いよ。
わかってるだろ、これはそれこそ魅力的かつ魅惑的な物語達の内の一つの前書きなんだ。だからそんな、やっベー!ノン・オーディナリー人間憎しじゃんヤバすぅ!みたいな顔しないでくれよ!
でも言ってることは分かるだろ?
人間に付く彼らと、人間が大嫌いな彼らがいるって。しかも後者はヘイトが溜まってる。思想が違う2つの勢力が、自分を押し通す為にする行為。ほら、人間の君なら簡単に分かるだろ?後にも先にもそれを1番していくのは君たちじゃないか!話し合いぃ?なんて可愛こぶるなよ、萎えるなあ。
戦争だって知ってるだろ。
もういいな!この物語を読み解いていくのに十分な事前情報は得たはずだ。まあ全部読んでいきゃ分かることなんだけど。
これは戦争の話だ!
明るく、楽しく、輝かしく!青春を送る彼らがいる!
暗く、辛く、誇り汚され、辛酸舐めた彼らがいる!
後者を懐柔しようなんて無駄だぜ。誇りをかける奴らはあらゆる面で強いから。でもじゃあ負けるなんて思っちゃいけない。何を隠し持ってるか全然わからないのが生き物ってものだから。
でもまあ、お前達は前者だから。言ってやれるのは1つだけかな。
大事にしてくれよ。
あ?話してるこの上から目線野郎は誰だって?それこそ愚問ってやつだ!
そのうち分かるさ、また、その時にね!