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1.Begin

つくると名付けられた少年は、すくすく育った。

その恵まれた体躯からか、保育園ではリーダーシップを発揮する親分的立場であった。

ガキ大将のように自己中心的だったが、仲間からの信頼は厚く、仲間はしっかり守ったし、仲間が傷つけられたら報復・・・というと言葉が悪いが、仕返しに行った。しょっちゅう保育士を困らせていた。


が、小学生になってからはそこまでで培った能力を発揮し、クラスの兄貴分的存在であった。教師からの信頼もあり、困ったときは作に頼もう、と誰もが彼を求めた。


「ツクルー!一緒に行こうぜ!」

「ごめん、先行っててくれ。これ終わったらすぐ行くから」

「分かった、先行ってるなー」


「さてと・・・あとは・・・」

「作くんここまでやってくれたのね、ありがとう。あとは先生やっておくから、早く行ってあげなさい」

「ありがとございます!じゃあ、先生、さようなら!」

「はい、さようなら。気を付けてね」


作は小学校入学とともに、リトルリーグのチームに入った。

3年生になった今、ようやくベンチ入りを果たし、チームのムードメーカーとして一役買っている。


学校を出ると、走ってグラウンドに向かう。

「しぁす!」

「遅いぞ作!さっさと準備しろ―!」

4年生投手にそうせかされて、慌てて防具を取りに行く。

作のポジションはキャッチャー。リードや盗塁阻止の安定感を買われ、たまに練習試合ではスタメン起用されることもある。しかし、まだフィールディングが甘かったり、守備のあらが目立つということで定着はできていない。


いつものように、ピッチャーの長谷川雄介はせがわゆうすけさんとキャッチボールをする。雄介さんは4年生で、期待のエースだ。少年野球では変化球の投球が禁止されているので、何より求められるのは球速と球のノビである。雄介さんの球は、実際の速さに比べて速く感じる球を投げる。

シュッ、パンッ

「昨日もやってたの?あの練習」

シュッ、パンッ

「はい、先輩もやってみませんか?」

シュッ、パンッ

「キャッチャーでもないのにあれはやらないって」

シュッ、パンッ

「ライナー飛んできても反応できるようになりますよ?多分」

シュッ、パンッ

「めったにいねぇじゃん、俺の玉を前に飛ばせる奴が」

シュッ、パンッ

「そうですか・・・ところで先輩、球速くなってません?」


「おっ、気づいたか。そろそろ投げようと思ってたんだよ。ちょっと座ってもらえるか?」

「はい」


ミットを構え、そこに投げ込まれた球は確かに速くなっていた。

「早くスピード計りたいぜー」

「すごい、これ120近く出てるんじゃないですか?」

「俺もそう思うんだよ。あー、もう今からワクワクしてるぜ!」


「集合!!!」

「「「「「オース!!!!」」」」」


監督の掛け声だ。

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