第7話 奴隷令嬢、逃げる
ここまで、
読んで下さりありがとうございます( ..)"
ドカッ、ドカカッ
砂塵を撒き散らしながら、こちらに向かって馬が走ってくる。
そして、近くからも悲鳴が上がる。
男達も、恐怖の悲鳴をあげる。
そして、馬車に衝撃が走った。横転し、私は転げ落ちる。
そして、目の前にいるのは……
「……っ!」
目の前に居たのは……
大きな牙で、馬に噛み付いた大型魔獣だった。馬が痙攣し、息絶える。
そして、バリ、ガリッ!バキバキッゴキュ
……食べている、馬を。
魔獣が振り返り目が合う。この場には、私しか居ない。
商人も、男達も、皆逃げだしていた。
その場から、私は動けなくなっていた。声など、もはや出るわけもなく。
ただただ、死を待つだけだった。
(痛いかしら……もう痛いのは嫌ですわね…)
でも、その時、声が響いた
『_____! ___逃げて!』
『はや____、』
(逃げる?何処に……)
『___立って!____』
『__こっちよ!!』
訳が分からない……、でも……
(逃げなくては……)
何故か、そう、強く思った。
手足を縛っていた縄は解けていた、恐らく、転げ落ちた時に解けたのだろう。
先程までこちらを見ていた魔獣は、興味が失せたのか、それとも、取るに足らないと思ったのかは定かではないが……また馬を食べ始めていた。
(逃げるなら、今しかありませんわね…)
痛む身体を叱責し、走り出す。
声がする方へ。
懐かしい、声がする方へ。
何処に向かって走ってるのか分からない。
でも、信頼出来る気がした。
姿形は見えないけれど、声も微かにしか聞こえないけれど……
(でも、とても懐かしい感じが、しますもの)
『こっち、こっち____』
『大丈___』
『走って、走っ___』
『____少しだから!』
どれくらい走ったかしら…
息が続かない、そう思った時、遠くの方に緑が見えた。もしかして、……オアシス?
走って、走って辿り着いたのは、砂漠に点在するオアシス。
(はぁ、はぁ)
(ここは、オアシス?…)
さっきまで、聞こえていた声が、もう聞こえなかった。辺りを見渡し、水辺に寄り、透き通った綺麗な水を口に含む。
(お行儀が悪いかしら…でも、喉が乾いて……)
夢中で水を飲む。
その時、後ろからウウウと唸る声がした。
先程の魔獣が追い付いたのかと、絶望が襲い掛かる。振り返るのが、とても怖かった。
(……)
襲われる、そう思い身を固くしていた。
だが、いつまで経っても衝撃は来ない。
ただ、唸り声だけは、ずっと聞こえていた。
静かに、静かに振り返る。
「……っ!!?」
そこに居たのは、太陽の光に反射し輝く大きな、…………
そろそろ、銀狼と出会います!
ワクワクです。