表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
砂漠の狼と奴隷に落ちた公爵令嬢  作者: 紫宛
神聖王国と砂漠の国
30/54

第28話 葛藤と茶会


案内された場所はお風呂場で、豪華な装飾が施された大浴場だった。

(ここは……)

王族専用と思われる場所に案内されて、私は戸惑っていた。

「な、なんで……」

「陛下から、此方を使うよう申し使っております。さ、アシャラ様、ココにお座り下さい」

有無を言わせぬ物言いで、鏡の前に座らされた。

「お怪我をされた場所に触らないよう気をつけますが、痛かったら申し付けくださいね」

フワフワの泡が体を包む。ナタリーさんの手が体を滑る度に、濁った泡が流れていく。髪も体も綺麗に洗われていく。けれど、貴族だった頃のような真っ白い肌、お父様と一緒の青銀の髪は1度洗っただけでは元に戻らなかった。

湯に案内され、ゆっくりと浸かった。温かくて、何故だか少し涙が零れた。


用意された部屋に戻る途中で、貴族と思われる方々が通った。私とナタリーさんは、壁に寄り頭を下げる。だが、貴族の1人が立ち止まり、私をジロジロと見てきた。

「貴様か、陛下を誑かしている奴隷というのは」

(つっ)

前髪を掴まれ顔を上げさせられる。

「ふん、平凡な顔立ちじゃの。貴様の様な小娘が伴侶になれるとでも思っておるのか?」

「下等な存在が、我等と同じ空気を吸う事すら烏滸おこがましい!身の程を知れ」

パッと手を離し、汚いものを触ったかのようにハンカチで手を拭った。そして、拭ったハンカチを一瞥し『いらぬ』と言って後ろに放った。

「奴隷なら奴隷らしく、床を這っておれ」

そう吐き捨てて、去っていった。

貴族がいなくなると、ナタリーさんが悲鳴に似た声を掛けてくる。

「アシャラ様!大丈夫ですか?!」

「大丈夫ですよ、伯爵で慣れてますから」

そう言うと、彼女はとても悲しそうな顔をして何かを呟いた。

私には聞こえなかったけれど、彼女は『慣れるものではありませんよ、アシャラ様』と言っていた。

部屋に戻り、ナタリーさんが香油を髪に付けてくれ、私は久しぶりのベッドで眠りについた。


翌朝、ナタリーさんが部屋に来て、食事と紅茶を用意しくれた。今日は、陛下にお茶会に誘われていた……けれど、昨日の貴族の言葉が脳裏をよぎる『下等な存在』

私は所詮奴隷…陛下と言葉を交わす事も、目を合わす事も本来ならば許されない事。

(だけれど……私は…)


昼間、私は1人馬屋に隠れていた。どうしても、茶会に行く事が出来なかったから。

陛下は顔に似合わずお優しいから、奴隷な私を哀れんで誘って下さったのでしょう。

ですが、行ってはいけない。立場があるのですから。



どれくらい時間が経ったのでしょうか

時間の経過は分かりませんが、太陽は傾き始め空を綺麗な鳥が横切っていく。

暫く見とれ、地上に視線を戻すと目の前に銀の狼がいた。

「!」

『探したぞ、こんな所で何をしている?』

「……へいか」

「わたくしは……」

『何も言うな、行くぞ』

立ち上がり、陛下の後ろをトボトボと歩く。陛下を避けたい訳では無い。

傍にいたい。

でも、そんな事が許されない事は分かっている。

狼がチラッと振り返り、再び前を向く。

『背に乗れ、アシャラ』

『茶会に遅れる』

「できません……」

陛下は『そうか』と言い諦めたように見えた。だが歩みを止め、アシャラの傍に来ると

股の下に潜り込み自身の背に座らせた。

「!へいか!?」

『走るぞ、アシャラ!落ちるから掴まっていろ』

何故か急に楽しそうな声を出し、走り出した。

狼の首に、落とされないよう抱き着いた。とても早くて、ずっとギュッと目を瞑っていた。


茶会の会場には、ルーカス様、ナタリーさん、グレッド様、ヴィムク様がいた。

みんな、私達の姿を確認すると安心しように顔を綻ばせた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ