第22話 助力と邂逅
昨日は投稿が間に合わずすみませんでした。
前話が長い為、2つに分けました。
重ねて、申し訳ありません
「申し訳ありません。本来関係の無いこの国を巻き込んでしまって」
「ソルファレナを頼るのは筋違いかと思う!だが!頼む!シアを見つけるまで力を貸して欲しい」
「俺達で力になれる事があれば、協力するから!」
必死に頭を下げる公子2人、沈黙が続く中、ファルークは笑みを浮かべた。
「顔を上げろ、レン、アル」
「昨日も言っただろう」
「お前達が自由に動けるよう手配したと」
ファルークが片手を上げると、すかさずルーカスが歩み出て手形と指輪を1つ手渡した。
「その手形があれば、国内どこでも行ける」
「そして指輪は、王家の紋章が入ってる。問題が起こったら指輪を出せ。解決するはずだ」
レンとアルは、自分たちの耳を疑い、ファルーク王を見つめた。
彼は苦笑いを浮かべ、更に言う。
「シルフィアには返しきれん恩がある」
「我が民を救い、国をも救ってくれた彼女を救えるならば力を惜しむ気など更々ないわ」
「これは、我が民の総意である」
アルベルトは、涙を堪え感謝を示すため跪き
レンフォードは、感謝の言葉を返した。
「ありがとうございます、陛下」
「ありがとう……ございます」
「それで、直ぐに出発するのか?」
「私は、父上やロズを迎えねばなりませんので王都に滞在しようと思ってます」
「太陽の力を持つ俺が、国内の捜索に当たります。リチャードも探さないと」
「ならばレン、宮殿に滞在すれば良い。公爵もロズの2人も歓迎しよう。アル、出発は明日にしろ、今日は歓迎パーティだ」
ファルークはニカッと笑い、宰相に部屋の準備をするよう命じた。
ルーカスが謁見室を出ていく。それならばと、公子2人は町に出たいと王に申し出た。
王都ファイサルの街の中、商人行き交うこの場所でレンフォードとアルベルトは邂逅する。
伯爵が屋敷に戻って来ていた。
とてもご機嫌で、仕事で近くまで来たから寄ったそうだ。そのまま、シアを連れて町に連れ出した。まだ熱が下がりきっていない彼女は、少しふらつきながら伯爵に付いて行く。
鎖がジャラジャラと音を出し、遅れそうになる彼女の鎖を引き歩く。
街の中をご機嫌で歩く。俯き歩く彼女の横を男性が2人通り過ぎた。話し声が聞こえ
(……!!)
バッと振り返り探す。
だが、探した人は何処にもいなかった。
(いまの声は…)
通り過ぎた男性は、レンフォードとアルベルトだった。2人は、伯爵に連れられたシアに気づくことは無かった。
彼女が俯いていた事と、髪の色が青銀でなく瑠璃紺だった事、そしてボサボサになった髪で隠れて翡翠の瞳が見えなかった事が原因だ。
「見たか?兄上」
「ああ、奴隷とはいえ、あれは無いだろう」
「あんな…、可哀想だ。年頃の娘が…見世物の様に鎖を付けられ練り歩くなど………」
立ち止まり、振り返ってシアを見つめていた。だがこの時、彼らが気づくことは無かった。
シアもまた、気付かない。彼女が見つけられなかったのは、彼らがフードを目深に被っていたからだろう。
この国で輝く金の髪は目立つ為、街の中を歩く際はローブを羽織、フードを目深に被る事にしたからだ。
レンとアル、シアは互いに気付く事はなく去っていった。
2人は、宮殿に帰る。
だが頭を占めるのは、先程すれ違った名前も知らぬ奴隷の少女。気になるが、目的を優先する事にした。
パーティに出た2人は、翌日宮殿を出ていった。
彼らが再びシルフィアと邂逅するのは……彼女が死の淵に立たされた時。
まだ少し先の未来であった。