第18話 涙の謝罪
投稿、遅くなり申し訳ありません。
夜中になっても、狼は帰らなかった。
「帰らないんですか?」
『…………』
「仕方ありませんね。明日、また来ます」
執事やメイドは、いつの間にか外していた。
シルフィアが苦しそうにしている。顔を逸らし、額に乗せたタオルが落ちる。それを手に持ち水桶に入れ絞……れない。
『そうだった』
「ん……っ」
苦しげなシルフィアの声がする。
「辛いよな」
その言葉の意味には、風邪や熱だけでは無い。伯爵の嗜虐心を満たす為だけに拷問を受けた、彼女に対する思いもあった。
奴隷をいいように扱う彼を、快く思わない貴族は多くいる。
(必ず解放してやるから)
人型に戻り、タオルを絞って彼女の額に乗せてやる。優しく髪を撫で頬に手を滑らせる。
上気したように赤くなった頬は、熱が高いのかとても熱かった。
「んっ……つっ」
「は……ぁ」
再び、苦しそうなシルフィアの声が聞こえる。
彼女が苦しんでいると、何故か俺も苦しくなった。
「早く治せ」
静かにそう言って、ファルークはその場に胡座をかく。
机も無ければ椅子もない。ベッドも風呂も何も無い。
あるのは……
そんな中で彼女は、俺達が用意した布団に包まれていた。暖炉はないから、火魔法と風魔法の力で部屋を暖かくしていた。
精霊は居ない。精霊の力であれば、こんな面倒な魔法を使わなくて済むのだが、屋敷に近付くと悲しそうに離れるのだ。
朝……か?
ここに天窓は無く、時間の経過が分からない。下にある通気口から微かに光が漏れている。
彼女の顔を覗きみれば、頬の赤みが消えていた。穏やかな寝顔に安心する。
「こうも効きが良いのか精霊の薬は」
呟くように言った時、コンコンと小屋の扉を叩く音がする。
入ってきたのは、ローゼスとルーカスだ。
ローゼスは、薬と白湯を持っていた。
「おはようございます、陛下」
「ああ、おはよう」
朝の挨拶を済ませ、ルーカスの用事を聞く。
ローゼスは、彼女に近寄り熱の具合を確かめ。
「熱は下がり始めたようですね。良かったです」
ホッと胸を撫で下ろし、安堵した表情で彼女を見やる。
あれこれと話してると…
「んん?」
重たげに睫毛が震える。彼女は、ゆっくりと瞳を開いた。
ポスンッ
シルフィアの目が開かれる直前、ファルークは狼に変化した。
「ここは……っ!」
ガバッと起き上がり、でも目眩が起きたのか、また布団に逆戻りしてしまった。
「大丈夫ですか?アシャラ様」
「ローゼス様…?」
まだ、状況が呑み込めていないようだ。
「アシャラ様は、風邪を引いて熱がおありなのですよ」
「風邪?」
優しくローゼス様に言われ、額に手を伸ばすと確かに少し熱かった。
「風邪を引いたのは久しぶりだわ」
「でも、このぐらいなら大丈夫そうね」
私は言い、布団から出ようとした。
でも、ウウウと唸り声が聞こえ、見ると狼が険しい顔で私を見ていた。
「ほら、銀狼も休めと仰ってますよ」
ローゼス様が銀狼に視線を移した。
目を見開き俺を凝視する彼女に、『休め!』の意味を込めて吠えた。
「あなたは…」
急に涙を流し泣き出したシルフィア。
『なっなんだ?どうした?なぜ泣く』
彼の念話は、聞かせる相手を選べる為、彼女には聞こえていない。
「会いたかった、会いたかったの」
手で涙を擦り、
(伝えなければ、今こそ、あの日の事を謝らないと)
でも、涙が止まらない。ファルークは、涙を流し続ける彼女に恐る恐る近づき、涙を舐めとると、彼女は堰を切ったように
「ごめん…なさい、八つ当たり、だったの、辛くて、悲しく、て、皆に、八つ当たり、ごめん、なさい」
嗚咽混じりに話しだした私を、周りの人達は、暖かい目で見守ってくれた。
「ガァウ」
『泣くな』
(お前の苦しみは分かってるから)
「ごめん、なさい、私、も大丈夫、だから、頑張る、って、決めた、から」
泣きながら話す私に、男性がハンカチを差し出してくれる。それを感謝して受け取り、涙を拭く。
(……?)
ふと、違和感を感じ
バッと、顔を上げて、ハンカチを差し出してくれた男性を見た。
男性は、褐色の肌に黒髪で眼鏡をした、この国の、宰相ルーカス様だった。
(なぜ、国の宰相様が、こんな所に)
驚いて、涙が一瞬で引いた。
宰相様は、驚いた私の表情に不思議な顔をしていた。
申し訳ありませんが
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