ギャングに殴り込み
「私はマッチ売りの少女。極寒の街角で震えているの。寒い寒い。火が欲しい。願わくば、灰皿の中のマッチを燃やし尽くせ。ファイア!」
私は、またもや現代風の魔法呪文を唱えてみた!
やっぱり、ダメか。時間が操作出来るだけね。
私の炎の魔法でギャングを焼き尽くそうかと思ったけどダメだった。どうやって、憎きギャングに仕返ししてやろうか!多少怪我させても死ななければ治せるんだし、ちょっと無茶しちゃおうかな。
よーし、買物だ。カイ君、付き合ってよ。ギャングと戦争だよ。得意でしょ。戦争が大好きなんでしょ。
「市販されているものは殺傷能力が無いんだ。その他も護身用しか市販されてない。俺達は銃に改造を重ねて自分だけのオリジナルを作るんだ」
「改造は任せるけど。多少怪我させてもいいから」
「後はスタンガン。強力なのがいいね。それと催涙スプレーとか。」
「目を瞑らせて顔に向かって連写するのね。素敵だわ」
とりあえず、武器一式は揃った。ちょっとカズ君に試してみるかな。
「なぜ、いつも俺で試すんだ」
あー。カズ君、逃げちゃったよ。意気地なしめ。カズ君は人体実験のためにいるのに。
で、コウ君。ギャングの情報はどこまで掴めたかしら?
「うん、このアキラってのが、中心人物らしい。ナンバー2ってのがタケシって呼ばれている人。」
「ありがと。じゃあ。乗り込んで来るから」
「え?ひとりで行くの?」
「そのつもりだけど?いざとなったら時間を止めて戻って来ればいいし」
「俺も行くよ。」「僕も」「オレも」
「え〜。だって怪我しちゃうかもだし。痛い思いするよ」
「それでも、ノンちゃんひとりでって納得出来ない」
「痛い思いするのは嫌だけど、僕らは自分の意思で動きたいんだ。思うようにやらせてよ。お願いだから!」
「どうなっても知らないからね」
心強いんだか、余計不安な気もするんだよ。男の子ってよくわからないところあるよね。
では、アキラって人に電話してッとアジトらしき場所発見。乗り込むかな。いざ!
「アキラって人に会いに来た!案内して」
私は正面から堂々と入った。ハジから片ずけるのも面倒だしね。女の子にビクつくとも思えないし。
なんの苦もなく、アキラって人には会えた。ギャングに囲まれているけど。
「ハハハ。なんだおまえ。知らねえ奴だな。そのチョー弱そうな男はなんなんだ」
「この前、私が襲われたんで仕返しに来たのよ」
「あっコイツ。俺から金を巻き上げた奴だ」
「久しぶりね。まだ借金は有効よ」
「てめえ、痛い目にあいたいようだな」
カードゲームのイカサマ氏が殴りかかって来た。
時間を止めてから、催涙スプレーを発射。時間を元に戻して顔にマシンガンを撃ち込む。
「てめえ」
みんなが敵意を剥き出しにしてきた。イカサマ氏は、ナイフを出した。
「無事で帰れると思うなよ!」
「ナイフを出したって事はそのナイフで自分が刺されても文句ないよね。良いんだよね!怪我しても!大怪我するよ!」
「やってみろ!」
私は時間を止めて足に棒を挟んでイカサマ氏を転げさせる。そしてナイフを奪った。
「ヒロ君の仇。容赦しないから。」
背中にグサ!ってやって『バカ』ってナイフで字を書いた。最後にお尻に深々と突き刺した。
「反省したら、治してあげるよ。時間よ戻れ」
イカサマ氏はあまりの痛みにのたうち回る。
「うるさいな!」
私は、スタンガンで気絶させた。
「私達に直接手を出した仕返しだよ」
やり過ぎたか?なんか、味方までも引いてるぞ!
「ふははは。おまえの度胸、気に入った。俺に用があるんだろう。なにかな、お嬢ちゃん」
「私や私の仲間に手を出さないで!お互い無関係でいましょう」
「それは良いけど。お嬢ちゃんは俺の子分に手を出したけど。まあ、そいつが悪いんだろうけどな。俺に泣いて謝れば許してやるぜ」
アキラはシュッてナイフで私の頬を掠める様に突き出した。早くてストップがかけられなかった。
怖いけど、踏ん張るんだ。
時間を止めて、マシンガンをナイフを持った手に撃ち込む。
手からナイフは落ちたけど、アキラは構わず私を殴りに来た。
「ストップ」したけど、間に合わない。
決死のカズ君が私の前に立ち塞がって代わりに殴られてる。カイ君とヒロ君がアキラの足にしがみついている。
「うぜぇ。コイツら」
アキラがカイ君、ヒロ君に暴力を振るっている。
「あああああああ!」
私は言葉にならない叫び声とともに時間を止めた。
「このオタク達はホントにホントにバカなんだから」
アキラの落としたナイフを手にとって向かい合って時間を戻す。
「おい、まさか」
「そのまさかだよ! ストップ」
止まった時間の中、私はゆっくりとアキラに近づきナイフを腹に刺す。治せなかったらゴメン。
「時間よ。戻れ!」
場内が騒然としている。ギャングのボスの腹にナイフが刺さっているんだから。
さらに私は、マグナムの銃口をアキラの口に入れた。
「私達には手を出すな。約束だよ」
「ああ。約束する」
アキラは相当苦しそうだ。朦朧としている。
私は、時間を止めて時間操作を始めた。アキラの腹部がナイフが刺さる前の状態に戻すんだ。刺さっていたナイフがゆっくりと押し出されてくる。元に戻って。お願いだから。ナイフは完全に抜けて傷の後も無くなった。流れた血が妙に生々しい。
「ん?ナイフが刺さってないぞ!」
「私は女神属性持ちだから、癒しの少女なのよ」
「ハハハ。おまえには勝てないな。ノンって言うのか?」
「そうよ。魔法少女、ノンノン」
「少女ってのは違うがな。愉快だ。仲良くしよう」
「そうね。それもいいかも」
「おい!飲み物持って来い!」
「私、オレンジジュース!みんな何にする?」
「俺たち、帰っていいか?」
アキラは話せる人だった。さすがリーダーだね。
「俺たちも台所事情が厳しくてな。ちょっと無茶しちまった。」
「ちょっとじゃないけどね。だったら、これあげるよ」
私は百万円の束を渡した。これで安全を確保出来れば安いものだ。
「待て待て。多過ぎる。良いのか。おまえの仲間を守るって言っても誰か知らないぞ!」
「オタクっぽい人だよ。あなたが言った弱っちい感じの」
「でも、俺に飛びついてきたし、代わりに殴られてたな。勇敢だ。負けたよ」
「ホントにホントにバカなんだから!」
「ノンほどじゃないと思うけどな。それと、ノンがケツにナイフをぶっ刺した奴は放っておくのか?」
「あっ。忘れてた。治してあげとくか」
私とギャングのリーダーのアキラは、メアドを交換した。もっと悪人だと思ったのにな。
これからは、私達をギャングが守ってくれるらしい。
ヒロ君。良かったね。これから安心してカードゲームが出来るよ。




