第二捜査.能力凍結
おはこんばんにちは。
合作2話目。
誤字・脱字等ありましたらご指摘頂けると嬉しいです。
「今日楽しかった!!ほんとにありがとね、豹牙!」
「あっそ。テキトーに時間潰してただけなのに、よく楽しく感じれるもんだな」
「ん、それにしては随分と手の込んだプランじゃなかった?テキトーじゃこうはならなかったでしょ」
「う、うるせぇな!!そんなんじゃねぇし……」
「すなおじゃないなぁ〜……でも、豹牙のそういうとこ、嫌いじゃないよ」
「……俺だって、お前のこと……」
「ん?何?聞こえなーい!」
「何なんだよ!!茶化してんのか!」
「ふふふ、照れんなって!かわいいなーもう!」
「ウルセェって!!」
彼は、その子が好きだった。
不器用な自分を受け入れて、自分を好きだと言ってくれたその子を。
これは、彼が特務課に入る前の話である。
「後輩ッ!その人の保護及び避難!!さっさと動け!!」
「っはい!!」
さっきまでの冷たいではない、なんか恐ろしい目つき。
そこまで夢魔に執着があるのだろうか。一体、過去に何があったんだろう。
そんなことを少し考えながら、夢魔から距離を置いた。
「さて、ゴミ処理の時間だ。」
手に持った警棒を改めて構える。
ピリッとした、張り詰めた空気。
「……ヴ……ヴアアアアア!!!」
その空気を先に切り裂いたのは夢魔の咆哮だった。
そして、口から放出される無数の液体。
「ッ!……汚ぇなッ!!」
体を捻り、全ての液体弾を回避する。その液体が当たったコンクリートの部分はシューッと音を立てて溶解している。
「……溶解液か。」
すぐに体勢を整え、稲妻の如く駆け、懐に入る。
間髪入れず、警棒を叩きつける。
「チッ、硬いな」
少し怯んだが、致命的なダメージは入らなかった。
「ヴアアアア!!!」
「くっ!!」
その一瞬の隙をつき、突進してくる。何とかガードするが、勢いが強く後方に飛ばされる。
「ッ!?危ないです聖塚さん!!」
「……やれやれ」
慈悲もなく、夢魔より吐き出される溶解液。
「聖塚s」
「喚くな後輩。俺の心配なんざせんでいい。そもそも、こいつ程度に手こずる俺だと思うか?」
いや、知らんけど。
刹那、周辺の空気が凍てついた。
……ように見えた。
「〈マテリアル・フローズン〉」
そう、聖塚さんが唱えたあと、その粘液はモザイク状になった後崩壊していった。
「ど、どういうこと?」
「さて、ではさっさと片付けるか」
そうそっと呟くと夢魔の方向に突っ込んでいった。
無数に吐き出される溶解液を華麗に避け、避けにくいものをさっきと同じ様に崩壊させつつ、夢魔の懐の中に入る。
「届いたぜ夢魔のクソ野郎。そんじゃあさっさと……」
そして、右手に持っている警棒を振りかぶり、
「失せろ!!」
叩きつける。
「チッ、ガードするのかよ。無駄に足掻きやがって」
何本かあるその足で、とっさに警棒をガードしていた。
「ギィィィ!!」
「なんだ、ザマァ見ろってか?笑わせてくれるな、虫ケラ。」
何を思ったのか聖塚さんは右手に持っていた警棒を手から離し、その右手でそのガードしている足に触れた。
「俺の触れることができる範囲にいる時点で、お前の死は決まってたんだよ」
すると、触れた足の力がだんだん抜けていくようにダランとし始め、その状態がだんだん全身に伝わっていき、最終的に地面に死んだ蝉のように倒れた。
その体からは、生きているという感じがしなかった。
「---討伐完了、任務終了だ。」
「お疲れー、いやー初仕事お疲れ様!大変だったでしょ」
「お疲れ様です。このトラックは?」
「夢魔を搬送するんだよ、研究所にね。討伐した夢魔は研究所に送る決まりなんだ。」
「あ、そうなんですか、大変ですね」
あんなデカイものをトラックに乗せたり下ろしたりするのか、お疲れ様ですなぁ。
「ほんと大変だよ。バラバラにしてくれれば運ぶの楽なのに、あいつの能力じゃバラバラにできないし。まぁ、研究部には好評だけどさ。」
あ、そういえば。
「聖塚さんの能力ってなんなんですか?なんかよくわかんなくて」
「え、本人から聞いてないの?はぁ、言っとけよあの脳内寒冷男……ま、いいか。あいつの能力は〈マテリアル・フローズン〉っていって、一言で言うと『生力の活動を凍結させる』っていうものだ。」
「……というと?」
「私たちは、生力を変換して能力を使っているだろ?その変換を止めることができる、みたいな感じかな。変換されていない生力はその場にとどまれず霧散する。そういう場面を見たはずだよ。」
溶解液が消えたときだ。
「また、生力ってのはもともと自分たちの生命を維持するということをしているわけだ。それも活動している生力な訳だから、それも止めることができる。すると生命が維持できなくなるため、一時的に仮死状態になる。」
だから、夢魔が動かなくなったのか。……って、え?強すぎない?
「危うい能力さ。触れるだけで人を殺せるんだからね。まぁでも、あいつはそんなことはしないんじゃないかな。そんなことしてるより夢魔を撲滅させるーとか言いそうだし」
「そーなんですか。……つかぬ事を訊きますが、なんで聖塚さんってそこまで夢魔にこだわるんですか?」
「あー、まだはなしてなかったね。」
切ないような顔で、トラックに夢魔を乗せるのを手伝っている聖塚さんを見ながら、静かに言った。
「あいつ昔、自分の恋人を夢魔に殺されたんだ。」
投稿ペース遅いってレベルじゃなくてすみません。引き続き頑張ります。