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リーアと一緒にクリス君に会いに行く前に、学院によってティア様に伝言を頼んでおきます。伝言と言っても、手紙を預けただけなのですが。リーアが動くときは教えてほしいとおっしゃられていましたからね。教えておくのが筋というものでしょう。間に合う皮解りませんけど、おそらく用事はないように思いますからすぐに来るでしょうね。
クリス君のいる治療院へ向かう途中リーアはそわそわしていました。
「わぁっ!」
背中に倒れてきたリーアがしがみついてきました。危うく私も倒れそうになりましたが、踏みとどまって二人で地面に倒れなくてすみました。
「大丈夫ですか?」
「ああ、済まない」
後ろの道を見れば、穴があるわけでも、物が落ちてるわけでもなく。転びそうな要因は無いのですが、恐らく自分の足に躓いたのでは無いでしょうか。
何もない道端で転びそうになったり。
「わぁっ」
「今度はなんですか」
「考え事してたら、人にぶつかりそうななってな」
「ちゃんと前を見てないからですよ」
「ああ、済まない」
見ず知らずの人にぶつかりそうになったり。
「リーア、そろそろ治療院に着きますよ」
リーアから返事が帰ってきません。また、考え事でもしてるのでしょうか。
「リーア?」
後ろを振り向けばそこにはリーアはおらず。少し遠くの脇道に向かって歩いていくのが見えました。背が高くて見つけやすくて助かりましたね。
「リーア、リーア」
「んっ、レティアどうしたんだ」
「そっちは治療院ではありません」
「あ、ああ。そうだな、済まない」
「手を」
「手?」
「はぐれないように、手を繋ぎますよ。このままでは治療院に着くまで時間がかかります」
「わかった」
私の後ろをついてきているかと思ったら、わき道にそれていたり。まるで手のかかる子供の様です。なので、はぐれたりしないように手を握ることになったのですが。
いつもクールなリーアがこうも慌てているのを見ると。リーアには失礼かもしれませんが、嬉しく思います。リーアのクールな姿はいわば鎧のようなもの、どちらかと言えばこちらの方が素なのですから。心の鎧を脱ぐことができるのも、クリス君のおかげですね。
手をつなぎながら歩いていても、急に立ち止まったりなどありましたが。無事に治療院に到着し、クリス君の居る部屋の前に着きました。
「さぁ、私が着いてくるのもここまですよ。ここからは頑張ってください」
「やっぱりダメなのか?」
「ダメです一人で行ってください」
「わかった。いなくならないでくれよ、そこに居てくれよ」
「わかりましたから、さっさと行ってください」
リーアが中に入り、扉が閉まると少し経ってから騒がしくなりました。成功したと思っていいのでしょうか。
「レティア」
「ティア様、ちょうどよい所に」
「それでどうなったのかしら」
「声は聞こえませんが、騒がしくなりましたし成功したのではないでしょうか」
「あらあら、それはいいことね。お祝いしなくちゃ」
「中に入るのですか?」
「もちろんよ」
「水を差すことにはならないでしょうか」
「それもそうね。じゃあ、扉を少し開けて覗きましょう」
「いえ此処は普通に中に入りましょう。のぞき見していたら誰かに見られたときに面倒です」
「確かに、ここは王宮じゃないものね。ノックしてから入りましょう。入っていいかしら」
「テ、ティア様!? だ、大丈夫です」
「お邪魔するわね」
扉を開けて、部屋の中に入るとベットの横に座ったリーアとクリス君が。なぜが二人とも顔を赤くしていました。何かあったようですが、ティア様には言わないでおきましょう。
「それで二人はお付き合いすることになったのかしら」
「はい。私はクリスと結婚したく思います」
「クリス君は?」
「僕も、リーアさんと結婚したいです」
「両想いね、祝福するわ。でも、最後の難関があるって聞いてるけどリーアは話したのかしら」
「難関ですか?」
「私の父は、自分に勝てない男に娘はやらんと言っているんだ。そして父は恐ろしく強い」
「僕勝ちます、勝ってリーアさんと結婚するんです。だから僕に剣を教えてください」
「もちろんだ」
二人で見つめあって。これhあ完全に二人の世界に入ってますね。これこそ水を差すことになりますが、言っておいた方がいいでしょう。
「訓練するのは結構ですが。リーア、先にお母様に話を通しておくのを忘れないでくださいね」
「わかってる、レティアの助けを無駄にはしない」
「それならばよいのです。クリス君も、剣の修業をするのはいいですが。学業をおろそかにしないように」
「はい、レティア先生」
「ではティア様。私たちはお暇しましょう」
「もう少しここに居たいのだけど」
「せっかく会えた二人の邪魔をしてはいけませんから」
「わかったわ。それでは失礼いたしますね」
「はい、ティア様」
これで、セレスティーナにいい報告ができますね。きっと喜んでくれることでしょう。
読んでくださりありがとうございました。
誤字脱字は下に専用のがあるので、ありましたらよろしくお願いします。感想などもお待ちしています。そして読んでくれてありがとうございます




