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「このようなものでしょうか」


 結界を張るための補助魔道具がおおむね完成しました。補助魔道具といっても仕組みは単純です。

 本体となる魔道具と八つの小型の魔道具です。八つの魔道具は本体を通じて場所を特定できます。これで目に見えない範囲でも結界の範囲を決めて張ることができます。

 欠点があるとすれば、小型の魔道具を設置する人員が必要だということくらいです。

 朝からアルビィーネ教授はマリーさんを連れてどこかへ行ったきり帰ってきません。今回の件と何か関係があるようなので心配ですね。


「レティア先生」

「アルビィーネ教授、おかえりなさい」

「時が来たようだよ」

「ときが?それはいったい」


 マリーさんと一緒に帰ってきたアルビィーネ教授は時が来たとそういいました。

 そしてマリーさんはいつになくやる気になっていました。


「構内にいる先生方に通達する」

「これは学園長?」


 学園長の声がはっきりと聞こえてきました。これは魔法によるものですね。


「学園の生徒が誘拐される事件が起きている。すでに数十名の生徒が誘拐されていることが確認されている。これは学園に対する明確な攻撃である。よって学園の総力をもってこれを解決する。直ちに先生方は講堂に集合するように」

「時が来たとはこのことですか」

「そうだとも。では講堂へ行こうか」


 すでに講堂には多くの先生が集まっていました。ほとんど研究室から出てこない教授が来ていたりと、学園長の影響力は凄まじいものです。そして先生だけでこの事件をどうにかすることができるのかというと、できてしまいます。

 学園であると同時に研究機関の役割を果たしているため、凄腕といわれる魔法使いが多く在籍し。騎士などを育てていることから、戦士として優秀な先生方も多くいます。つまり過剰とも言っていい戦力が集っているのです。


「すでに分かれているようだし、マリー君は攻撃部隊の方に行くといい。私とレティア先生は支援部隊だ」


 私の役目は予定通り犯人を逃がさない結界を張ることでした。八つの小型魔道具を設置し結界を張る。単純ですが、失敗すれば逃がしてしまうことになるため重要です。行動は明日、それまでに準備を行うことになりました。

 犯人は街の近くの森に潜伏していて、洞窟を根城としているそうです。そう、課外授業に行ったあの森に。

 あの時からすでにあの森にいたと考えるべきですが、あの時遭遇していなくてよかったとよろこぶべきでしょう。

 講堂に居た時間はさほど長くはありませんでした。部隊編成はすぐに決まり準備へと移ったからです。

 私がするべき準備はあまり多くはありませんでした。事前に知っていたということもありましたが、戦闘に直接関与しないため準備するものが多くなかったのです。

 なので私はクロードの準備を手伝っています。戦闘部隊でマリーさんと一緒になったクロードは準備するものが多いですから。


「レティア一つ質問をいいですか?」

「なんでしょうか?」

「マリー=ジョルジュさんの戦闘方法はどういったものなのでしょうか」

「マリーさんのですか。クロードはマリーさんの立場を知っていますか?」

「教授助手でしょうか」

「そうですね。ですが本来であれば教授という立場であってもおかしくない結界魔法の使い手です。マリーさんが辞退しているため助手のままですが。なので結界を使った戦闘になります」

「結界で戦闘ですか。結界は守るためだと思うのですが」

「マリーさんの使う結界魔法には、結界の内側と外側を遮断するものがあります。例えですが棒の半分を結界の外に出た状態で結界を使えば、棒は半分に切断されます」

「不可視の斬撃のような使い方ができるのですか」

「無機物であれば確実に、生体でも魔力抵抗が低ければ切断されます。そのため魔力の低い人では戦闘らしい戦闘にはならないでしょうね」

「つまり純粋な剣士であるほど戦闘は困難であると」

「はい。仮に接近できたとしても結界に阻まれて攻撃が届きません。なので相手をすること自体が困難であるといえます」

「では大丈夫ですね。魔法使いは守るべき対象という意識が強かったですから」

「この学園の魔法使いは特殊な方が多いですから」


本当にこの学園に所属する魔法使いの方々は特殊です。一癖も二癖もある方々ばかりですから。

それにしても、明日大きな被害なく事件解決が出来れば良いのですが。

相手方の戦力は未知数。大規模な犯行からそれなりの人数が居るものと予測はされていますが。相手の練度が低いことを祈るばかりです。





誤字脱字は下に専用のがあるのでそちらからお願いします。


感想は私のモチベーションに直結してるので頂けると泣いて喜びます。面白いの一言でも大変うれしいです。



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