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 ティア様が王女宮に来てから一年が経ちました。子供が成長するのが早く、もう私の腰辺りまで背が伸びました。

 小さい頃のティア様は侍女や近衛のあとを追いかけたり、ティア様が「レティア絵本よんで!」と絵本を抱き締めて私の方に駆け寄って来るのです。とーーーっても可愛いのです。


 とてとてとたどたどしい歩みですが、それも可愛くて王女宮のほぼ全員がティア様にメロメロでしょう。

 ベックさんなんてティアさまに食べてもらうお菓子の作り方を教えてくれって私の所に来ましたから。


 ちょうど良かったのでケーキの作り方を教えておきました。私も食べたかっですし、やはり甘いものは大事ですから。そしてティア様が六歳になったので私が家庭教師の仕事を始めてもいい頃合かも知れません。

 ただ家庭教師をするとなるとティア様の予定と勉強が被るといけませんから、夜セレスティーナに相談しないといけませんね


「セレスティーナ、夜時間ありますか?」


「レティア、夜は空いていますが何かありましたの?」


「実はティア様が六歳になったので、そろそろ勉強を教えてもいい頃だと考えていて。ただ、他の予定と被るといけないのでティア様の予定を管理しているセレスティーナと相談しようとおもっていたんです」


「わかりましたわ。それでは夜、部屋で準備しておくので来てくださいませ」


「わかりました、それではまた夜に会いましょう」


 夜セレスティーナの部屋に向かう最中、巡回中のリーアに会いました。


「レティア、夜に出歩くとは珍しいな」

「こんばんは。リーアは見回りですか?」

「ああ、そうだが。レティアはどこにいくのだ?」

「セレスティーナの部屋に。夜話す約束をしているので」

「ならば見回りついでに一緒に行こう。行く方向は同じだからな」

「ありがとう」


 セレスティーナの部屋に着くまでリーアと話していると部屋の前につきました。


「セレスティーナ居ますか?レティアです」

「レティア、今開けますわ」


 セレスティーナの部屋に入るのは今回が初めてではありませんがそれでも他人の部屋に入るのは少し緊張します。


「ようこそ、レティア。それでティア様の勉強の事ですけどどう考えてますの?」

「最初は文字の勉強から始めようと思っています。それから簡単な計算も教えるつもりです」

「わかりました、予定は変更しておきます」

「ありがとうございます。私からは以上ですが、セレスティーナからは何かありますか?」

「何もありませんわ」

「わかりました、それではおやすみなさい」

「おやすみなさい」


 次の日私は文字の勉強に使う教材を取りに一旦ヴェルンティース領に帰りました。私の部屋には弟と妹に勉強を教えた時の教材が残っていてまだ使えるはずです。

 そう言えば今の時期はクレンとレミリアが学園から帰ってきてますね。今日は家に泊まるつもりですし、久しぶりに家族が揃うかも知れませんね。家に着くと玄関でクレンとレミリアが待っていました。


「ただいま。久しぶりですね。クレン、レミリア、勉強はちゃんとやっていますか?」


「おかえり姉様。ちゃんとやってるよ」


「おかえりなさいお姉様。勉強は頑張ってますよ。それとお父様が書斎に来て欲しいと言っていましたよ」


 ちゃんと私が居なくても勉強頑張って居るようでひと安心です。教材を探し終われば時間も空きますし勉強を見て上げましょう。


「わかりました、この後書斎にいってみます。それと家に居る間なら勉強を見てあげられますから、分からないことがあれば部屋に来てください」


「わかりました、姉様(お姉様)」


 クレンとレミリアと別れ私は書斎に向かいました。


 コンコンコン


「お父様レティアです」


「レティアか、気をつけて入ってきなさい」


「気をつけてとは、何に気をつければ」


「レティア!」


 扉をノックして書斎の中にはいろうとすると正面からタックルするかのようにお母様に抱きつかれました。


「仕事が大変なのも分かるけど少しは家に帰ってきて欲しいの。クレンもレミリアも学園に行っててレティアも仕事でいなくて寂しいわ、それから」


「プランク、そろそろ離さないとレティアが窒息しちゃう」


「あっ!レティア大丈夫!?」


「お父様…助かりました。危うく窒息するところでしたお母様の胸で」


「ごめんね、ごめんねレティア」


「プランクのことは許してあげて、子供たちがみんな家にいなくて寂しがってるからさ」


「わかっています」


 昔からお母様には抱きつかれてその度にお父様に助けて頂いていますから。お母様に抱きつかれることの何が危ないかと言うと、もちろん胸に埋まって息が出来ないのもありますが、武官時代から続けている鍛錬のおかげで力が強く拘束されてしまうことが一番危ないのです。前には首に腕がきて締められかけたこともあります。もちろんその時もお父様に助けていただきましたが。


 そして書斎で後ろからお母様に拘束もとい抱きつかれたまま、最近のことを話しました。

 このような歳にもなって、お母様の膝の上にいることがおかしいのは分かるのですが、お母様は離してくれそうにありません。それから一刻程してお母様の拘束も終わりました。


 久しぶりに戻った自室は家を出た時と何ら変わってはおらず掃除が行き届いていました。

 さて教材を探さないと行けせんね。使えない時は作らないといけませんから使える状態だといいのですが。


 どうやらほとんどの教材が使えるようです。一部作らないといけないものもありましたが、直ぐに終わりますし大丈夫でしょう。

 その日の午後は足りない教材を作ったり、クレンとレミリアの勉強を見て過ごしました。

 二人とも優秀で、私に聞いてきたのは魔術論に関してでした。

 夜には家族揃って久しぶりに夕食を食べて、私の仕事の話やクレンやレミリアの学園の話をしました。


 休みは明日までとってあるので明日は少しゆっくりしましょう。


 次の日私は自分の部屋のバルコニーで読書をしました。


 このバルコニーは読書のために作ってもらったのもので晴れた日は良くここで読書するのが休日の日課でした。

 私の唯一のわがままと言ってもいいかもしれませんね


 久しぶりに読書をしていたらいつの間にかお昼になっていたようで、帰りの時間なっていました。


 そして案の定玄関でお母様に抱きつかれ、月に何度か手紙を書くと約束することで離してもらいました。


 お昼にヴェルンティース領を出発し王女宮に着いたのは夕方になってからでした。


 明日ティア様の勉強についてもう少し考えないといけませんね。

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